パンツの日

「先輩のそれ」
「何？」
「いいですね」
「俺、このブランドのしか履かねーもん」
「そんなに違うんですか」
「オシャレは下着からだぞ。お前もあんま安いパンツばっか履いてっと上條サンに嫌われるぞ」
「ヒロさんはパンツより中身を見てくれてますから大丈夫です！」
「おい」
#パンツの日

何の日 7月28日 ２０１７

#何の日 なっぱの日
「手伝う」
「じゃあこれを茹でて下さい」
「わかった」
真剣な横顔を盗み見る
「野分」
「はい」
「いつまで茹でるんだ？」
「あ、」
ぐったりしたほうれん草を助け出して水にさらす
「悪ぃ」
「大丈夫ですよ」
新婚気分を味わいながら笑いかけた
#1日1のわヒロ

何の日 7月27日 2017

#何の日 スイカの日
「やっぱ縁側で食うのが一番だな」
「西瓜となると目がないんだから」
「うっせぇ」
「野分くん知ってる？この子、西瓜のせいで死にかけたのよ」
「そうなんですか？！」
「ババァ！ガキの頃の話はやめろ」
蚊取り線香の煙と笑い声が夏の庭に流れていく
#1日1のわヒロ

何の日 7月26日 2017

#何の日 幽霊の日
「ヒロさん」
「ん？」
「実は俺、今まで一度も見たことなかったんです」
「そうなのか？」
「はい。だからやっぱりヒロさんはすごい人です」
「…今は人じゃねぇけどな」
「会いに来てくれて嬉しいです」
「幽霊に抱きついてもムダだぞ」
「残念です」
#1日1のわヒロ

何の日 7月25日 2017

#何の日 土用の丑の日
「ただいまです」
「おかえり。飯食うだろ」
「匂いだけで元気になりました」
「なんだよそれ…」
「ずっと食べてないですし」
「だからってがっつくなっての」
「無理です」
「せっかく鰻買ったのに」
「俺にはヒロさんの方がよっぽど効きます」
#1日1のわヒロ

何の日 7月24日 2017

#何の日 劇画の日
「ヒロさんもそういう本読むんですね」
「おかえり」
「ただいまです」
「俺の後ろに立つな」
まとわりつく野分に本の中の台詞をぶつけてみる
「ヒロさんになら殺されてもかまいません」
利き手も唇も奪われて
「俺が死にそうだ」
笑いながらやり返した
#1日1のわヒロ

何の日 7月23日 2017

#何の日 カシスの日
「頼んでねぇけど」
「俺からです」
隣の席にグラスを押しやる
「甘い酒は飲まねぇ」
「貴方は魅力的」
「は？」
「このカクテルの意味です」
「ソレ誰に習ったんだ、野分」
「ダメですか？」
「似合わねぇよ」
カシスソーダがきらりと光った
#1日1のわヒロ

何の日 7月22日 2017

#何の日 下駄の日
4人分の下駄の音が響く
「なんで会うんだよ」
「浴衣デートの邪魔して悪かったな」
「デートじゃねぇっ」
「違うのか？」
「お前らと一緒にすんな」
前を歩く二人の間に声をかける
「始まりますよ」
手を引いて並んで夜空に咲いた大輪の花を見上げた
#1日1のわヒロ

何の日 7月21日 2017

#何の日 0721の日
目を閉じて
「のわ…」
あの甘い声と大きな手を思い出していたはずなのに
「ヒロさん」
思い浮かべていた顔が目の前にある
「えっ、」
驚いて止まった手を握りしめられる
「そのまま」
「んな…こと」
大きな手の熱を感じながらもう一度目を閉じた
#1日1のわヒロ

何の日 7月20日 2017

#何の日 Tシャツの日
細い腰
「あっちぃなー」
Ｖネックからのぞく鎖骨
「野分、どうした？」
露わになった首すじ
「その服…」
「どうかしたか？」
身体のラインがわかりすぎる
「あの、着替えるわけには」
「おかしいか？」
「おかしくなりそうです」
「へ？」
#1日1のわヒロ