何の日 5月30日 ２０１７

#何の日 掃除機の日
勢いよくかけた掃除機が棚にあたりアメリカ土産が転げ落ちた
拾い上げたそいつは黒い目で俺を見つめる
「お前やっぱり似てるな」
「誰にですか？」
「野分？！いつ帰って」
「ただいまです」
笑顔とキスが降ってくる
手の中のパンダも笑った気がした
#1日1のわヒロ

何の日 5月29日 2017

#何の日 呉服の日
「どうした？」
「実は着たことがなくて」
「そうか」
襟元に手が伸びてくる
「苦しくねぇか？」
「…大丈夫です」
腰に手がまわり帯が締められる
「おらよ」
「ありがとうございます」
揃いの着物姿を抱きしめる
「脱がせる時は俺がやりますね」
#1日1のわヒロ

何の日 5月28日 2017

#何の日 花火の日
「買っちゃいました」
「もう売ってんのか？」
「今夜さっそくどうですか？」
「気が早いな」
「湿気っちゃうともったいないですし」
「そうだな」
「夏になったら一緒に花火大会にも行きたいですね」
「行けたらな」
「明日浴衣を」
「気が早いって」
#1日1のわヒロ

何の日 5月27日 2017

#何の日 小松菜の日
「今日も暑かったな」
「洗濯日和でした」
たわいもない会話をして
「これって」
「小松菜です」
「美味い」
2人で食卓を囲んでいるだけで
「なに笑ってんだよ」
「幸せだなぁと思って」
「アホか」
俺もだという言葉はおひたしと一緒に飲みこんだ
#1日1のわヒロ

何の日 5月26日 2017

#何の日 源泉かけ流し温泉の日
「気持ちよかったなー」
「ヒロさん、スベスベですね」
「温泉効果だろ」
「すごい気持ちいいです」
「野分」
「はい」
「俺は明日の朝も温泉に入りたい」
「加減します」
「…嘘つけ」
熱い手にのぼせながら、朝風呂を諦めて抱きついた
#1日1のわヒロ

何の日 5月25日 2017

#何の日 プリンの日
「やったことねぇの？」
「はい」
「ガキの頃も？」
「ないです」
カップの横に皿を出す
「ほら、やってみろよ」
野分の大きな手がプチッとつまみを折る
つるんと皿の上にプリンが鎮座した
「わぁ」
子どものように笑った顔につられてプリンも揺れた
#1日1のわヒロ

何の日 5月24日 2017

#何の日 伊達巻の日
「美味い」
「よかったです」
「まるで正月が来たみたいだ」
「いつでも作りますよ」
「でも、やっぱりこれは特別な日の料理だろ」
「大丈夫です」
甘い唇を啄んで微笑む
「ヒロさんといられる日はいつだってトクベツな日です」
「めでたいヤツ…」
#1日1のわヒロ

何の日 5月23日 2017

#何の日 キスの日
ダメ元で頼んでみたのに
「たまにはヒロさんから」
「わかった」
思いがけない返事に舞い上がり
「嬉しいです」
抱きついて唇を吸いあげた
「のわ、苦しいって」
「あ、すみません」
待てができずに項垂れた俺の頬に
「アホ」
そっと優しいキスが１つ
#1日1のわヒロ

何の日 5月22日 ２０１７

#何の日 サイクリングの日
「俺も大学に自転車で通おうかな」
「ヒロさんはやめたほうが」
「なんでだよ」
答えの代わりに唇を重ねられる
「明日はきっと乗りたくないと思いますよ」
抱き上げながら笑う野分の手の熱に煽られて
「てめぇのせいでな」
睨みつけながら跨った
#1日1のわヒロ

何の日 5月21日 2017

#何の日 小学校の日
「小学生のヒロさんも可愛いです」
「お前、その写真どこから出した？」
「この制服どこかで」
「返せよ」
微かな思い出の欠片はどこか甘く
「この写真下さい」
「ダメだッ」
写真の中と同じように頬を染めた顔が迫る
遠い記憶を探しつつ抱きしめた
#1日1のわヒロ