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frown

当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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文殊の知恵

美咲のお誕生日を祝おう!と思ったんですが、、おかしい、秋彦とヒロさんしか出てきません……


美咲、誕生日おめでとう!!!



「こんな所にいたのか」
「人の職場に来ておいて、こんな所とはなんだ」
 例によって突然研究室に現れた秋彦は真夏だというのにクールビズとは真逆の服装をしている。
「飲み物はコーヒーでいいからな」
「てめぇは人の話を聞いてんのか?」
 小説家なんていう人間は、世間一般の常識の外に生きているもんだとわかっているつもりではあるが、こいつはその中でもとびきりだ。
「大学は今は夏休みだろ?」
「学生はな」
「お前は違うのか?」
「俺は学生じゃねぇ」
「似たようなもんだろ」
 夏休み、とはいってもそれは学生だけの話だ。
「俺はこの休みに論文を書きあげたいんだ。暇つぶしに来たんなら帰れ」
 コーヒーを出しながら睨みつけても、こいつにはなんの効き目もなく、のんびりと煙草を出して火を点けて始めた。
 ゆるりと紫煙が部屋に広がる。
「暇つぶしに来たわけじゃない。相談したいことがあって来たんだ」
「そうなのか?」
 珍しく真面目な表情に自分のマグカップを手に近寄った。
「どうしたんだ?」
「誕生日プレゼントなんだが」
「は?」
「だから誕生日プレゼントだ。お前なら何を貰ったら嬉しい?」
「秋彦…」
「ん?」
「てめぇはそんな頭に花が咲いたような相談をしに人の職場まで来たのかよ!」
 心配したさっきの俺の気持ちを返せってんだ。
「こんな重要な問題はお前にしか相談できないだろう」
 それでもこんな風に頼られて、なんだか悪い気がしない俺も大概だと思う。
「じゃあ聞くが、お前は何をあげたいんだよ」
「そうだな……南の島、とか」
「はぁ?」
「もしくはアイツの好きなものを買い占める、とか」
「秋彦」
「なんだ?」
「てめぇはガキの頃、同じようなことをされて嬉しかったか?」
 デカイ家で、ビックリするほど豪華な誕生日パーティの主役でいても、山のようなプレゼントを並べられても、ちっとも嬉しそうな顔をしていなかった秋彦を思い出す。こいつはきっと愛情表現のカタチをそういう風にばかり示されてきたから、他のやり方を知らないんだろう。
「じゃあ、何を」
「お前がしてもらって嬉しかったことをしろよ」
 少し驚いた顔をした後、ふわりと笑った秋彦は煙草を灰皿に押しつけて立ち上がった。
「ありがとう。やはり持つべきものは幼なじみだな」
「褒めても何も出ねぇぞ」
「弘樹のおかげでいいプレゼントを思いついた」
「そりゃ良かった。とっとと帰って準備しやがれ」
ドアを開けた秋彦にそう言ってから、ふと気になって聞いてみた。
「で、何をするんだ?」
「俺が夕飯を作ってやろうと思う」
「えっ?!ちょ、待て、秋彦!」
「またな弘樹」
ドアが閉まり、煙草の香りだけが残った。
「高橋……すまん」

 ある意味忘れられない誕生日にはなるだろうと思いつつ、例の同居人の無事を祈る上條弘樹だった。

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性別:
女性
自己紹介:
ヒロさん溺愛中

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