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frown

当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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怖がる君の手を引いて

昨年の夏にツイッターにてアンケートを取った結果1番たくさんリクエスト頂いたお題を放置してしまってました。スミマセン。ようやく書き上げました。
2018.9

「夕方は少しマシだな」
この夏の暑さにすっかりまいっている様子のヒロさんが、流れてきた涼しい風に嬉しそうな顔をした。
「ヒロさん、夏バテしてるんじゃないですか」
「ンなわけあるかよ」
「だってこのへんとか細くなってる気が」
「ちょっ、てめぇ変なとこ触るんじゃねぇ」
久しぶりに一緒に歩くのが嬉しくてはしゃぐ俺をヒロさんが「ガキ」と睨みつけてきたけれど、Tシャツにジーンズというラフな格好のヒロさんの方こそまるで学生のようだ。
「そーいや今日はやけに子どもが多いな」
浴衣の子どもたちが元気よく俺たちの横を走り抜けていく。
「そうですね」
「なんかやってるのか」
ソースの焼ける香ばしい匂いにヒロさんの足が止まる。
「お祭り、ですかね」
「みたいだな」
商店街の一角から楽しそうな声と美味しそうな匂いが流れてきている。
「寄ってみませんか」
夕飯の買い物ついでの散歩の途中に思いがけない夏のイベントをみつけた俺たちは、提灯の揺れるアーチをくぐって進んで行った。
「ヒロさん、あれ」
並んでいる屋台の一番奥に『お化け屋敷』の看板が立っている。そのおどろおどろしい絵と文字を見たヒロさんの眉が上がった。
「おもしろそうですね」
「そうか?」
「入ってみませんか?」
「お前は入りたいのか?」
「はい!」
「じゃあ、行ってこいよ」
「えっ?」
待っててやるから行ってこいなんて言われるとは思わなかった俺は驚いてヒロさんの手を引いた。
「ヒロさんも一緒に」
「ヤダ」
「どうしてですか?」
「どうしてもこうしても…こんなのガキが入るもんだろ」
ヒロさんの瞳が微かに泳ぐ。
「俺、子どもの頃にこういうの入ったことなくて」
どうしてもヒロさんと一緒に入りたかった俺は、ズルイとわかりつつしょんぼりと項垂れてみた。
「それやったら俺が何でも言うこと聞くと思ったら大間違いだぞ」
「だって、お化け屋敷に入るチャンスなんて滅多にないですし」
「ウチの大学の学祭じゃ毎年学生がやってる」
「じゃあ、学祭で一緒に」
「アホか!大学のお化け屋敷なんてなおさら無理だっての」
「そうですよね。俺なんかが行ったらヒロさん困っちゃいますね」
笑った俺をヒロさんがポカリと殴った。
「困るとかじゃねーんだよ」
「違うんですか」
「ウチの学校のは、めちゃくちゃ怖いって有名なんだよ。なんでそんなとこにわさわざ」
「もしかして、ヒロさん…お化けが怖いんですか?」
「うるせぇな」
「でも大丈夫です。入りましょう」
「なんで大丈夫なんだよ」
「俺がいるからです」
「お前な」
「ちゃんと手を握ってますから」
「握るな!離せ!!やめろ!」
夏の名残のような熱を握りしめながらひんやりとした暗がりへと入っていった。
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プロフィール

HN:
さるり
性別:
女性
自己紹介:
ヒロさん溺愛中

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