frown
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- 2018/10/29 (Mon)
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ハロウィンのお話
2018.10.29
2018.10.29
予想外の荷物を抱えて車から降りる。
「頑張れよ」
「何がだよ」
意味のわからねー言葉がエンジン音とともに走り去った後に聞こえてきたのは賑やかな声だった。
明かりのついたマンションのエントランスにはマントや帽子を被った子どもたちが数人集まっ ている。
どこかの家でハロウィンパーティでもするのだろうか。
時間に不規則な仕事をしている割に野分は大家さんや他の住人とも顔見知りのようだが俺自身はほとんど近所づきあいがない。仮装している子どもたちを見てもマンションの住人なのかどうかはっきりしない。防犯的にはどうなのだろうかと思いつつも、楽しんでいる最中にどこの家の子どもかと問い質すのも気が進まなく素通りをきめこんだ。正直言うと子どもはあまり得意ではないせいもある。それなのに、呼び出したエレベーターに乗りこんだ俺の後ろからわらわらと子どもたちも乗ってきてしまった。
甘酸っぱいようなひなたのような不思議な匂いに囲まれながら上昇していく。いつもは冷え冷えとしているエレベーターが今日は随分とあたたかい。
子どもがこんなにあったかいもんだとは知らなかった。
(アイツがやけにあったかいのもガキだからなのかも知れねぇ)
うっかりそんなことを思って一人で笑った俺を魔女の子が不思議そうに見上げてきた。
小さな魔女や吸血鬼から逃れるように自宅にたどり着くとどっと疲れが浮かんできた。ジャケットを脱ぎネクタイを外してソファーに沈む。
野分も仕事だし、とっとと風呂にして寝てしまいたい。
それでもとりあえず秋彦の家から持ってきたモノは野分に見つかると煩いから片付けてしまおうと立ち上がった。
箱から出てきたのはまさに意味不明のものばかりだった。CAの制服らしきもの、なぜか体操服、フワフワの耳付きバニーガールの衣装、そして警官の制服。
「……頭痛ぇ」
秋彦が何の資料にこれらを用意していたのか考えるのも嫌になる。まとめてゴミ袋にでも突っ込んでやろうと思ったが、警官の服は帽子までついていて捨てるのもめんどくさそうだ。そして、なぜかこれだけが男物の服で。
少しだけ、ほんの少しだけ、ほんとにちょっとだけ、気になる。
自分の仕事は制服がないし、こんな機会はもうないし。
誰が聞いてるわけでもないのに一人で言い訳をしながら俺は袖を通していった。
水色のシャツは半袖で、どうやら夏服のようだ。いつも着ているワイシャツとあまり変わらないような気がしなくもないが肩についている肩章がいかにも警官、という感じでなんだか嬉しくなってくる。濃紺のズボンを履いてややごついベルトを締め、帽子を被ろうとしてはたと手が止まった。
帽子は被ったことがあるが、この手の帽子はどういう風に被ったらいいんだろうか。
とりあえずは鏡を見ようと帽子を手に洗面所へ入った。
浅く被ってみたり、深く被ってみたり、前髪を垂らしたり入れたり、あれやこれやと試行錯誤をしてようやく納得のいく感じに出来た。
改めて鏡を見て思う。
制服ってすげぇ。
こんな偽物でもなんだかホンモノの警察官になった気分になれる。調子にのって敬礼でもしてしまいそうだ。
確か手錠や拳銃もついていたはず、と廊下に出た俺はありえないものを見て固まった。
「ただいまです」
なんでお前がここにいる?
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プロフィール
HN:
さるり
性別:
女性
自己紹介:
ヒロさん溺愛中