frown
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それはまるで夢の国
- 2018/06/23 (Sat)
- 捧げ物 |
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エメラルドカフェで公開されたケモ耳なヒロさんたちに興奮していたあの頃、捧げものとして書いたカフェネタ純情組
2015.9
「ということで、みんな頑張れよ~」
笑顔で手を振って歩き出した井坂の肩を朝比奈がガシッと掴んだ。
「何?」
「何、じゃありません。貴方も一緒に仕事をするんですよ」
「俺を誰だと思ってんだよ」
「例え社長であろうと、今日はウエイターです。それが不満ならキッチン担当になりますか?」
「いや、作るのは・・・」
「宇佐見先生たちを見習って下さい。みなさん腕まくりまでしてますよ」
開店前のエメラルドカフェ初日
渡されたエプロンを身にまとい、朝のミーティングを終えた店員たちは店長の鈴木の指示のもと、それぞれ自分の持ち場に向かっている。
「なんでこんなことしなきゃなんねーんだよ」
「働かないといつまでたっても人間に戻れませんよ」
その言葉に井坂の頭から出ている耳がふるりと揺れた。。
「・・・わかったよ」
諦めたように黒いエプロンの紐をキュッとしめた音を合図のように、カフェのドアが開いた。
「パフェ1つ」
「はい」
グラスを並べて飲み物のレシピを睨みつけるように覗きこんでいる弘樹を野分は嬉しそうにみつめている。
「よし!野分、パフェできたか?」
シルバーのトレーに3つグラスを乗せた弘樹が取ろうとしたパフェの器は野分のトレーに乗っている。
「こっちは俺が運びます。ヒロさん3つも乗せてるじゃないですか」
「お前、俺を舐めんなよ。これくらい平気だ。それに」
「なんですか?」
「俺に持ってきてくれってさ」
その言葉に野分がにっこりと笑うと厨房から出た。
「どちらのお客様ですか?」
「ん?だから俺が行くって」
オーダー票を確認して席に向かう野分に、弘樹も自分のトレーを手に向かう。
「パフェも寄こせって」
「俺が持っていきます」
「それは俺の仕事だって言ってんのがわかんねぇのか」
「・・・わかりました」
野分からようやく奪い取ったパフェを置こうとした弘樹の手に野分の手が重ねられる。
「なにを、」
「お待たせしました」
二人がかりでパフェを渡された客が固まってしまっているのを見て弘樹は眉間に皺をよせた。
「ごゆっくりどうぞ」
パフェと一緒にとびきりの笑顔を客にサービスした野分の黒い尻尾が嬉しそうに揺れている。
この日、エメラルドカフェに新しいサービスがうまれた。