frown
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はじまりの風 ①
- 2016/10/09 (Sun)
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宮城教授と上條助教授のおはなし
木瀬さん設定の「二人とも運命の恋人に会えていない、そんな世界の物語」
木瀬さん設定の「二人とも運命の恋人に会えていない、そんな世界の物語」
「なあ、上條」
「なんですか?」
夏休み明けだとはいえ、まだまだ暑かった大学構内にはどこか生温さが漂っていて、鬼と名高い上條助教授の講義でさえだらけた輩が目立っていた。
しかし、さすがに10月ともなると日差しも丸くなり風もさらりと心地よさをはらんで通り抜ける。M大のキャンパスの雰囲気もようやく引き締まってきた。
これでこそ大学ってもんだ。
上條はコーヒーを片手に研究に適した季節が来た喜びを噛みしめていた。
それなのに
「助けてくれー」
ある意味上條を学生よりも悩ませている上司がその静寂を打ち破りながら飛びこんできた。
「またですか」
「そんなこと言わないで頼むって」
「他を当たって下さい」
「かーみーじょーおーーー」
氷の刃のような冷たさで一刀両断したにも関わらず、宮城は上條の肩にすがりついてくる。
あまり他人から馴れ馴れしくされることには慣れていない上に、学生時代からずっと友人と呼べる人間が少ない上條は、自分が人からあまり好かれる方ではないと自覚していた。だからこそ、こんな自分に平気でベタベタと触れてくる宮城に対して、最初の頃は驚いたものだ。
もっとも、それが毎日ともなれば別だ。上條も今じゃすっかり慣れて、気にしなくなっていた。
「今度は何なんですか」
「連休明けに使う資料が揃わない」
なぜそんなことを金曜日の夕方に、と忌々しく思いながらまとわりつく腕を外すと、自分の鞄を手にした。
「俺は忙しいんです」
「えっ、なに?まさか、デートか?」
「…そんな相手いませんよ」
「だったら俺につきあえ〜〜」
今度は正面から抱きつかれる。
煙草の香りのする中で、上條はやれやれとため息をついた。
「少しは計画的に準備して下さいよ」
「わかった。次からはちゃんとするから、頼む」
どうやら本当に困っているらしい宮城を放っておくこともできず、連休前の樹海探索へと向かって行った。
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プロフィール
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さるり
性別:
女性
自己紹介:
ヒロさん溺愛中