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frown

当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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ジューンブライド

遥さんの幸せなのわヒロイラストに捧げます。

2016.6.18
「え?」
読んでいた本から顔を上げると、ニコニコと嬉しそうな野分と目があった。
「ですから、6月といえば、ジューンブライドですね」
「らしいな」
「それに今日は大安ですし」
本を閉じると、弘樹は座っていたソファーから立ち上がった。
「野分、何度も言うようだけど式は挙げねーからな」
「はい。それはわかってます」
そう言いつつも少しばかり寂しそうな野分の顔に弘樹は思わず黙りこむ。
静かに降り続ける雨音がマンションの部屋を満たしていく。
「じゃあ、なに?」
「指輪を」
「指輪?」
野分は手にしていた指輪の入った箱を差し出した。
二人揃いの指輪。
ずっと一緒にいる証に買ったものの二人で一緒につけたのは数えるほどしかなく、リビングに静かに並んでいるだけの指輪は、まるで二人のすれ違いの生活を表しているようだった。
「今日はせっかくの休みですし」
「わかったよ」
朝から雨の日に、突然重なった休み。嬉しい反面、どこかへ出かける予定もなかった。
部屋の中で指輪をつけて過ごす位なら、と弘樹は箱に手を伸ばした。
その手を野分がそっと握りしめる。
「ヒロさん」
「ん?」
「せっかくだから、指輪の交換をしてもいいですか?」
「…大袈裟」
口を尖らせつつも左手を差し出す。
恭しく箱から出した野分がゆっくりと薬指に指輪を通していく。
ひんやりとしているはずの指輪が温かく感じる。
蕩けそうな顔で見つめられて、箱に残っている少し大きい指輪へと手を伸ばす。
「ほら、お前も手を出せよ」
「はい」
差し出された大きな手。
この手から、全てが始まったんだったな。
初めて会った日のことを思い出す。
「…ヒロさん?」
「あ、悪ぃ」
握りしめていた手を緩め、ゆっくりと薬指に指輪を通す。
お揃いの指輪は、まるで捕らえられた証にも思えて頬に血がのぼってくる。
「誓いのキスをしてもいいですか?」
「聞くな、バカ」

雨に祝福されながらかわした誓いのキスは、雨音よりも大きな水音をたてはじめた。

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さるり
性別:
女性
自己紹介:
ヒロさん溺愛中

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