frown
当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。
一方通行な想い
- 2016/01/19 (Tue)
- 捧げ物 |
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ライ夢さんの誕生日に、ライ夢さんがツイッターで呟いていた「ヒロさんモブにもてもてなのに、気づかずに、秋彦のせいだと思っている」というネタを使って書かせてもらいました。
同じ大学とはいっても、学部が違うから、待ち合わせをするのは少しばかり面倒くさい。
建物の中から、ざわめきとともに人が流れてくるのを目で追いながら、少し離れた所に立つ。
待つのは、別に嫌いじゃない。それが・・・好きなやつなら尚更だ。
だけど
「ねえ、何してんの?」
この手の声をかけてくるやつが、大学構内にもいるのが気にくわない。
ぎろり、と無言で睨みつけてもどこ吹く風で話し続ける男にため息をついた。
俺が秋彦といつもつるんでるからだろう。俺をきっかけにして、有名人の知り合いになりたいとでもいう魂胆なのか、やたらと馴れ馴れしくしてくるヤツが必ずいて、いつもウンザリさせられる。
「待ち合わせしてっから」
目も合わせずにつっけんどんに答えることで、暗に興味がないと示しているつもりなのに、しつこく連絡先を聞かれてむかっ腹を立てていると、ようやく秋彦の姿が見えてきた。
「弘樹」
そう言って秋彦が近寄ってくると、しつこかった男はサッと離れていってしまった。これはやはり秋彦の持つ人嫌いのオーラのせいなんだろうか。
そういや秋彦の友人というだけで、俺ですらガキの頃からワケのわからないやつらに近寄られているんだから、コイツはもっと大変なんだろう、と思うのだが、秋彦が困っているところは見たことがない。
「待たせたな」
「別に待ってねぇよ」
周りはどう思っているのか知らないけれど、俺はコイツの幼なじみであって、別に特別な人間って訳ではないのに。
全部コイツが悪いんだ。
「どうした弘樹?」
ガキの頃からその整いすぎた見た目で学校中の女子に騒がれるようなやつだった。おまけに今では直森賞作家という肩書きまでついている秋彦は、普通に立っているだけで人目を引く。
書き上げた原稿の下読みをしてくれと頼まれて大学構内のカフェに入ったのはいいが、秋彦と一緒に座った途端に視線が集まってくる。
「お前、よく平気だな・・・」
原稿を読んでいる間は夢中になっていて気づかなかったけれど、知らないやつらからの好奇の目というのは気持ちのいいものではない。それなのに当の本人は気にもしてない、というか視線が見えてもいないような達観した様子でコーヒーを啜る姿には感動すら覚える。
「なんのことだ?」
「お前は目立つから、大変だなと思ってな」
そう言った俺の頭を秋彦はクシャリと撫でた。
「・・・お前はあいかわらずだな」
「なんのことだよ」
同い年なのに、いや正確には俺の方が少しだけ早く生まれているのに、秋彦はまるで子ども扱いするようにクシャクシャと俺の髪の毛をかき回した。
「そこが弘樹のいいところでもあるんだけどな」
褒めてんだか貶してんだか分からない言葉だけを返してくると、秋彦は立ち上がった。
「さっき言っていた本、たしか弘樹が持ってたよな」
「ああ、よかったら今から取りにくるか?」
「そう、だな。場所を変えた方が良さそうだ」
「じゃ、行くか」
隣を歩くのは嫌いじゃない。
二人きりなら、なおさら。
「弘樹、お前少しは気をつけろよ」
「は?何にだよ?」
「これでも心配してんだぞ」
「俺よりお前の締め切りの方がよっぽど心配だろーが」
やれやれ、という風に肩を竦めた秋彦に向けられている熱い視線を遮るように伝票を押しつけると、一方通行な想いだけが行き交うカフェを後にした。
建物の中から、ざわめきとともに人が流れてくるのを目で追いながら、少し離れた所に立つ。
待つのは、別に嫌いじゃない。それが・・・好きなやつなら尚更だ。
だけど
「ねえ、何してんの?」
この手の声をかけてくるやつが、大学構内にもいるのが気にくわない。
ぎろり、と無言で睨みつけてもどこ吹く風で話し続ける男にため息をついた。
俺が秋彦といつもつるんでるからだろう。俺をきっかけにして、有名人の知り合いになりたいとでもいう魂胆なのか、やたらと馴れ馴れしくしてくるヤツが必ずいて、いつもウンザリさせられる。
「待ち合わせしてっから」
目も合わせずにつっけんどんに答えることで、暗に興味がないと示しているつもりなのに、しつこく連絡先を聞かれてむかっ腹を立てていると、ようやく秋彦の姿が見えてきた。
「弘樹」
そう言って秋彦が近寄ってくると、しつこかった男はサッと離れていってしまった。これはやはり秋彦の持つ人嫌いのオーラのせいなんだろうか。
そういや秋彦の友人というだけで、俺ですらガキの頃からワケのわからないやつらに近寄られているんだから、コイツはもっと大変なんだろう、と思うのだが、秋彦が困っているところは見たことがない。
「待たせたな」
「別に待ってねぇよ」
周りはどう思っているのか知らないけれど、俺はコイツの幼なじみであって、別に特別な人間って訳ではないのに。
全部コイツが悪いんだ。
「どうした弘樹?」
ガキの頃からその整いすぎた見た目で学校中の女子に騒がれるようなやつだった。おまけに今では直森賞作家という肩書きまでついている秋彦は、普通に立っているだけで人目を引く。
書き上げた原稿の下読みをしてくれと頼まれて大学構内のカフェに入ったのはいいが、秋彦と一緒に座った途端に視線が集まってくる。
「お前、よく平気だな・・・」
原稿を読んでいる間は夢中になっていて気づかなかったけれど、知らないやつらからの好奇の目というのは気持ちのいいものではない。それなのに当の本人は気にもしてない、というか視線が見えてもいないような達観した様子でコーヒーを啜る姿には感動すら覚える。
「なんのことだ?」
「お前は目立つから、大変だなと思ってな」
そう言った俺の頭を秋彦はクシャリと撫でた。
「・・・お前はあいかわらずだな」
「なんのことだよ」
同い年なのに、いや正確には俺の方が少しだけ早く生まれているのに、秋彦はまるで子ども扱いするようにクシャクシャと俺の髪の毛をかき回した。
「そこが弘樹のいいところでもあるんだけどな」
褒めてんだか貶してんだか分からない言葉だけを返してくると、秋彦は立ち上がった。
「さっき言っていた本、たしか弘樹が持ってたよな」
「ああ、よかったら今から取りにくるか?」
「そう、だな。場所を変えた方が良さそうだ」
「じゃ、行くか」
隣を歩くのは嫌いじゃない。
二人きりなら、なおさら。
「弘樹、お前少しは気をつけろよ」
「は?何にだよ?」
「これでも心配してんだぞ」
「俺よりお前の締め切りの方がよっぽど心配だろーが」
やれやれ、という風に肩を竦めた秋彦に向けられている熱い視線を遮るように伝票を押しつけると、一方通行な想いだけが行き交うカフェを後にした。
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プロフィール
HN:
さるり
性別:
女性
自己紹介:
ヒロさん溺愛中