frown
当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。
暗闇の森
- 2016/01/29 (Fri)
- 捧げ物 |
- Edit |
- ▲Top
ツイッターで仲良くしてもらってる育さんの呟きを元に書いて送りつけたお話。
野分の性別が行方不明です。童話風捏造話です。
それでも大丈夫な方のみどうぞ。
野分の性別が行方不明です。童話風捏造話です。
それでも大丈夫な方のみどうぞ。
ここはとある小さな王国。
青い空には白い雲が浮かび、太陽は国中をあたたかく照らしているという、まさに絵に描いたように美しい国でしたが、そんな恵まれた王国にも一ヶ所だけ、陽の光さえ届かない薄暗い場所がありました。
遠くからだとまるで黒い山のように見えるそこは、昼でも暗闇に覆われている深い森。
細い一本道はあるものの鬱蒼と茂る羊歯や枝を張り巡らせた大木が人間を拒むかのように生えているこの森を、通り抜けて行こうとする者は滅多におりません。
人々はいつからかそこを「暗闇の森」と呼ぶようになりました。
◇◇
「ごらん、ヒロ王子様だよ」
月に一度の王子の遠駆けの日は、村の人々にとっても楽しみな日でした。
普段は城から出ることもない王子が数人の家来とともに馬で通りかかるからです。
「あいかわらず、綺麗だねぇ」
数々の武道をたしなむ勇ましい王子ですが、その見た目は白い肌と、それによく合うきれいな茶色の髪。そして透き通るような琥珀色の瞳の持ち主です。
「まったく、そこらへんのお姫様よりよっぽどベッピンだ」
農作業の手を止めて振り返るほど麗しいその姿は、城下の者にとっては自慢の種でもありました。
「ヒロ王子!!」
真っ白な王子の愛馬が 突然駆け出しました。
お供の家来が慌てて追いかけましたが、王子の馬は城で一番と言われている駿馬です。みるみるうちに引き離されていきます。
後ろから自分を呼ぶ声が聞こえているのはわかっていましたが、王子は走り続けることを止められませんでした。
さっきまで久しぶりの遠出を楽しんでいた王子は、自分でも分からないまま、どうしても走り出したくなったのです。
不思議な何かに導かれるように馬を走らせた先にあったのは「暗闇の森」でした。
前に一度だけ家来に頼んで通り抜けたことのあるこの森が、まるで自分を呼んでいるようで、ヒロ王子は迷わず森へと足を踏み入れました。
ところが木の根がはりだした森の道は、馬で駆け抜けるには難しかったのです。
馬もようやく落ち着きを取り戻していたので、王子はゆっくりと慎重に進みました。
すると、一片の光もないように思われた森の奥にある微かな明かりに気がつきました。
何があるんだろう
膨れ上がる好奇心に勝てなくなった王子は、道から外れると、その明かりの方へと進みました。
すると、あんなに深かった森が突然開けて、小さな一軒家が建っているではありませんか。
こんなところに住んでる人がいるなんて
驚いて近づいていくと、ドアが開き、中から人が出てきました。
森の精?
思わず王子がそう思ったのも無理はありません。真っ黒なマントを頭からすっぽりと被り、足首まで隠れるような真っ黒なドレスに身を包んだその姿はまるでこの暗闇の森そのもののようでした。
ふいに鋭く王子を乗せた馬が嘶きました。
その声に、顔を上げたマントの中の瞳は、まるで黒曜石のようにきらきらと煌めいています。
「あの……」
王子は慌てて馬から降りました。
「驚かせてすみません。私は…」
王子が名乗ろうとすると、その人は頭に被っていた黒いマントをふわりと外しました。
現れたのはみたこともないような美しい人です。
夜の闇のように真っ黒な髪の毛をそっと手で直すと、王子に向かって丁寧なお辞儀をしました。
「はじめまして、私はのわ姫と言います」
そう名乗ると嬉しそうに近づき、王子の手をとりました。
「あの、」
王子はその手から伝わる熱の心地良さに驚きました。
こんなにあたたかな手に触れたの初めてだったのです。
「お待ち申しておりました。ヒロ王子様」
甘い声で囁かれ、ゆっくりとその手を引かれて、王子はその漆黒の瞳にのみこまれるように家の中へと入っていきました。
(続かないw)
PR
プロフィール
HN:
さるり
性別:
女性
自己紹介:
ヒロさん溺愛中