アマドコロの日 ツイッター三連投まとめ

「また増えたのか？」
「おかげさまで」
子どもの頃、朝比奈にあげたアマドコロは枯れることなく育ち、株分けされた鉢も行儀良く並んでいる
「めんどくさくないのか？」
そんなに手がかからないとはいえ、水やりだってばかにならないだろう
「好きなものの世話は苦になりません」
「龍一郎様、夕食になさいますか？それとも風呂にしますか？」
手の込んだ料理が当たり前のように並ぶ食卓を改めて眺める
「お前って、マメだよな」
「そうですか？」
「仕事もしてるんだし。面倒じゃねーの？」
「好きなものの世話は苦になりませんから」
「花と一緒にするな」
「まさか。花と一緒になんかしてませんよ。そもそも花はうるさくしませんし」
「おい」
「貴方の方がよっぽど手がかかりますし」
「悪かったな…」
「それに貴方のことが」
「もういいって」
「花より何より好きですから」
アマドコロの白い花がまるで笑ったようにふるりと揺れた

【暑】

「ただいまで…」
「おかえり」
腰にタオルを巻いただけの姿に息をのむ
「ヒロさん、そんな、ダメです」
「暑いし平気だ」
「無理です」
湯気の立つ肌を腕の中に閉じこめて
「だから暑いって」
「俺もです」
もっとあつくなりたいと濡れたうなじにキスをした
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【家】

「家を建てるなら絶対書庫は必要です」
「悪い」
「寝室を１つにすれば部屋数も問題ないです」
「いや、俺はゆっくり眠りたいんだが」
「大丈夫です。俺、すごくいいダブルベッド見つけました」
「無理だ」
「スプリングも丈夫ですし」
「そこじゃねぇっ！」
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

雷

突然暗くなった窓の外に目をやる
空を裂く光と少し間をあけて響く鈍い音
「雷だ」
窓にはりついた俺の腰に腕が巻きついてきた
「危ないですよ」
「危なくねーよ。遠いし」
「おヘソ、とられちゃいます」
大きな手が腹をさする
「ヤメろって」
抱きしめる熱に心臓の音が雷よりも大きな音を打ち始めた

両手に花

母の日のお話し　
　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2018.5.13

【意味のない約束】診断メーカーさんより

「必ず行きます。座っててくださいね」
そう言ったのに
「どうして外にいるんですか！」
待たせた時間の分だけ冷えきった腕を掴む
「座ってただろ」
「だからそうじゃなくて」
「今日は晴れてるしお前も来たし、問題ねぇ」
もう2度と待たせたりしませんと言える日はいつになるんだろう
#1日1のわヒロ

【子どもの日】

「これって」
柱に残る印には俺の名前と秋彦の名前がついている
「どっちが大きいか勝負してたからな」
隠すように柱に寄りかかる
「じゃあ俺とも勝負して下さい」
「お前の勝ちに決まってんだろ」
しょぼんとした顔を引き寄せて重ねた唇から柏餅の味がした
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【15周年】

「15年？」
「はい！」
「マジかよ。俺も歳をとるわけだ…」
こぼれたため息をすくい上げるように唇が触れてくる
「ヒロさんは出会った頃と変わらず可愛いです」
「お前はあいかわらずバカだ」
「はい」
ケーキにさしたロウソクの数だけキスが重ねられた
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

診断メーカーさん #horakawaii より

よく眠っているヒロさんの腕の中にそうっと貰ったパンダのぬいぐるみを置いてみる
「ん…」
目を閉じたまま頬をすりつけ、ふっと微笑んだその顔に
起こしてはいけない、と思っていたことなんてどこかへ飛んでいってしまった
「ただいまです」
パンダを抱きしめているヒロさんを抱きしめてキスをした

【GW】

「のわ…」
本の山の中で寝ているヒロさんの寝言をキスで奪う
「え？」
「休みになりました」
「休み？」
「1日ですけど」
「じゃあちゃんと休まねーと」
「はい。ちゃんと補給します」
驚いて大きく開いた目元にも口づけて
ようやく重なった休日が始まる
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負