【帰り道】

駅が近づいてくるのが嫌だった
だけど今は
「腹減ったな」
並んで同じ家に向かう幸せな時間
「早く帰りましょう」
遠回りなんて必要ない
溢れる気持ちを指先にこめて握りしめる
「公道でンなことすんな」
あの頃と変わらず赤くなる顔を見つめた
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

９／3

「洗濯日和ですね」
窓を見る目の下にクマが浮かぶ
「俺がやっとくから寝ろ」
「でも」
「ちゃんと休まねぇヤツとは遊ばねぇ」
「わかりました」
笑いながらおやすみのキスを落とされて
「とっとと寝ろ！クソガキ」
火照った顔を見られないように蹴り飛ばした
#9月は毎日がのわヒロ記念日

9/2

「冷蔵庫空っぽでした」
「ンなことねぇし」
「水は入ってましたけど」
「だろ」
「栄養が足りませんよ」
頬をなぞられて身体が震える
「ちゃんと食べて下さいね」
出された美味い飯より何よりも
お前がいたら満たされる
言えはしない言葉と卵焼きを頬張った
#9月は毎日がのわヒロ記念日

9/1

蝉の声が聞こえなくなり
「おはようございます」
「…おはよ」
さらりとした空気が流れこむ
「ヒロさん？」
「なんか…寒ぃ」
「はい」
あたたかな手と唇の心地よさにもう一度目を閉じる
寝苦しかった一人の夜はようやく終わり
待っていた季節がやって来た
#9月は毎日がのわヒロ記念日

朝の香り

「おはよ」
「おはようございます」
「コーヒー淹れたけど」
「ありがとうございます」
「つか寝癖すごいぞ」
「え？」
「ここ」
笑いながら髪の毛を撫でられて
「早く顔洗って、うわっ」
夢の続きのような時間を抱きしめる
「…遅刻するぞ」
「少しだけ」
幸せな香りをゆっくりと味わった

【イチャイチャ】

「もうすぐ夏も終わりますね」
「まだ暑いけどな」
ベランダに並んで缶ビールを開ける
「浴衣を着てもらえばよかったです」
「ヤダ」
「着てなくても可愛いですけど」
「アホか」
尖らせた唇に熱い唇が重なる
閉じた瞼の中で赤い花火が上がった
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

！？！

カウンターがもうすぐ10000に？！こんな僻地にいらっしゃってくださりありがとうございます。
もし、よろしければ10000を踏まれた方、リクエストお受けしますので、お知らせ下さい。

【夢】

ヒロさんが微笑んでいる
「野分、寒い」
裸にエプロンで
「ヒロさん！」
伸ばした腕は空を切りアラームが鳴り響いた
「野分」
目を開ける
「飯食うか？」
エプロンをつけたヒロさんがいた
「…正夢」
「食わねぇの？」
「今すぐ食べます」
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【高橋美咲】

自分のせいで誰かが悲しむのはもう嫌だ
そんなことを言ったらみんなが困るから
大丈夫だよと笑う
それなのに
「お前がいないと生きていけない」
そう言うこの人は俺が困ることばかりする
だけど
きっと
ウサギさんがいない世界はもっと困るんだ
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

診断メーカー様の #同棲してる2人の日常

「風鈴を買ってきたんです」
窓辺に吊るされたガラスの西瓜を2人で見つめる
「涼しくなるかと思って」
「ふーん」
開け放った窓から陽射しだけが入りこむ
「鳴らねぇな」
「鳴るまで待ちますか」
長い腕が巻きつき押し倒される
「…暑いっての」
フローリングの冷たさを奪いながら抱きあった