何の日 5月22日 ２０１７

#何の日 サイクリングの日
「俺も大学に自転車で通おうかな」
「ヒロさんはやめたほうが」
「なんでだよ」
答えの代わりに唇を重ねられる
「明日はきっと乗りたくないと思いますよ」
抱き上げながら笑う野分の手の熱に煽られて
「てめぇのせいでな」
睨みつけながら跨った
#1日1のわヒロ

何の日 5月21日 2017

#何の日 小学校の日
「小学生のヒロさんも可愛いです」
「お前、その写真どこから出した？」
「この制服どこかで」
「返せよ」
微かな思い出の欠片はどこか甘く
「この写真下さい」
「ダメだッ」
写真の中と同じように頬を染めた顔が迫る
遠い記憶を探しつつ抱きしめた
#1日1のわヒロ

【休日】

目が覚めても隣にいる顔に驚きながら
ぼんやりとしたまま黒い睫毛を眺める
薄く開いた唇に指を這わせ
健やかな寝息に呼吸を合わせて
そっと胸に顔を埋める
休日の朝はどこか甘い
久しぶりに嗅ぐ匂いを吸いこんで
もう一度、幸せの余韻へ沈みこんだ
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【丸川書店】

「秋彦！2度と書くなって言っただろ」
怒鳴りこんだ先にいたのは
「久しぶり」
「井坂…さん」
思いがけない顔で
「お前のシリーズ売れてるな」
「アレは俺には関係ないです」
「そっか。じゃあ文句もなしな」
遣り手の社長はにっこりと笑った
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

何の日 5月20日 2017

#何の日 ローマ字の日
「同じの２つ買ったのか」
「同じですからね」
「NとHにしたらよかったんじゃねぇのか」
「いいんですよ」
堂々とヒロさんの飲んだカップを使えるし
「野分。お前、何考えてる？」
「ヒロさんのことです」
Kの文字がついたマグカップを2つ並べた
#1日1のわヒロ

何の日 5月19日 2017

#何の日 セメントの日
「セメントだけつっこめばいいってもんじゃねぇ」
「はい」
砂利を混ぜながらかきまわす
「なんでもバランスが大事だ。コンクリも恋愛もな」
背中を叩かれて固まる
好きだという気持ちだけでは叶わないというならば
俺は何をすればいいのだろうか
#1日1のわヒロ

何の日 5月18日 2017

#何の日 ベビーブームの日
「ヒロさんに似てたら良いなあ」
「俺はヤダ」
「えー、絶対可愛いですよ」
「お前似の方が可愛いっての」
「ヒロさん」
「苦しいから抱きつくな」
「いっそのこと双子ならいいですね」
「産む方の身にもなれよ…」
「ヒロさんは凄い人です」
#1日1のわヒロ

何の日 5月17日 2017

#何の日 高血圧の日
「なんだよその格好」
「ヒロさんの健康管理は俺の仕事ですから」
「そんな本格的にしなくても」
「あれ？血圧高いですね」
「ンなことねーって」
「精密検査の必要がありますね」
「お前のせいだろッ」
白衣の野分に抱きかかえられて心臓が騒ぎ出した
#1日1のわヒロ

何の日 5月16日 2017

#何の日 旅の日
改札を走り抜け
「野分！」
ホームで手を振るヒロさんの元へと駆け寄った
「すみません」
「いいから、乗るぞ」
発車のベルが鳴り、風景が流れ出す
「眠かったら寝ろよ」
並んで座った足が触れる
「もう夢の中みたいです」
小さな旅の始まりに胸が高鳴る
#1日1のわヒロ

何の日 5月15日 ２０１７

#何の日 ストッキングの日
「思った通りです」
「何がだよ」
「よく似合います」
「ンなわけねぇだろ」
「触り心地もいいですね」
「その触り方ヤメろ」
「すごく気持ちいいです」
「ふざけんなッ！」
「俺、ストッキング履いた足で蹴られたのは初めてです」
「変態」
#1日1のわヒロ