何の日 3月30日 2017

#何の日 マフィアの日
初めての恋に目が眩み
「てめぇ、どこから入りこんだ？」
「好きです」
「殺されてぇのかガキ」
銃口が額に押しつけられる
「貴方になら殺されてもいいです」
冷たく光る瞳をみつめる
「お前…バカなのか？」
「貴方のせいです」
命をかけて跪いた
#1日1のわヒロ

何の日 ３月29日 2017

#何の日 マリモの日
「可愛いですね」
「こーゆーの好きか？」
「ヒロさんは好きじゃないんですか？」
「いらねぇって言ったのに送ってきやがったんだよ」
「…誰ですか？」
「誰って、」
「もしかして」
「誰でもいいだろ」
冷たい空気の中でコロリとマリモが転がった
#1日1のわヒロ

何の日 ３月２８日 2017

#何の日 三つ葉の日
「すげぇ」
器をのぞきこむ瞳がキラキラ光る
「早く食べようぜ」
「熱いですよ」
「平気だって」
フウフウと息を吹きかける頬が膨らむ
「美味い」
ニコニコと笑う口元から三つ葉を奪う
「あっ」
「美味しいです」
温かな味が喉をつるりと通りぬけた
#1日1のわヒロ

何の日 ３月２７日 2017

#何の日 さくらの日
「だから早いって言っただろ」
冷たい風の中で蕾が震えている
「寒ぃ」
冷たい指先を握りしめる
「桜よりヒロさんの方が綺麗です」
「頭の中に花咲かせてんじゃねー」
「すみません」
握りしめた手をポケットに押しこんで
まだ来ぬ春を二人で見上げた
#1日1のわヒロ

何の日 ３月25日 2017

#何の日 電気記念日
「えっ」
「停電、ですかね」
「マジかよ」
「ちょっと見てきます」
立ち上がりかけた服の裾が引かれる
「動かねぇほうが…」
「はい」
暗がりの中でそっと距離をつめる
「寒くねぇか？」
「寒いです」
声のする方へ腕を伸ばし甘い呼吸を吸いこんだ
#1日1のわヒロ

何の日 ３月２４日 2017

#何の日 マネキン記念日
「あれいいな」
「ダメです」
「そうか？俺はいいと思うけど」
「なんか、小さいし」
「ちょうどいいって」
「ヒロさんには似合わないっていうか」
「試してみなきゃわかんねーだろ」
「ダメです！」
「え？」
「あんなのより俺の方がずっと」
#1日1のわヒロ

何の日 3月23日 2017

#何の日 世界気象の日
「あったかいんだか寒いんだか…」
とりだしたコートを手にしばし悩む
「ただいまです」
「おかえり。なぁ、どっち着たらいいと思う？」
「どっちも似合います」
「そーじゃなくて」
腕の中で上がり始めた体温に身を任せて、コートを床に落とした
#1日1のわヒロ

何の日 3月22日 2017

#何の日 世界水の日
白い喉が大きく動く
「…風邪引きますよ」
「飲んだら着るし」
赤い口元から垂れた雫があごを伝う
「着なくてもいいです」
「お前が風邪引くって言うから！」
冷えた唇を塞ぐ
倒れこむように重なったテーブルの上でペットボトルの水がちゃぷんと揺れた
#1日1のわヒロ

何の日 3月21日 2017

#何の日 ランドセルの日
すっかり柔らかくなった古いランドセルは
「野分！」
他の子のようにピカピカ光ってはいないけれど
「気をつけてね」
すぐに僕になじんでくれた
新しいお守りをぶら下げて走り出す
「いってきます」
背負っているのは新しい夢と希望とみんなの願い
#1日1のわヒロ

何の日 3月19日 2017

#何の日 カメラ発明記念日
「…ヒロさん？」
ぐったりとした身体をそっと横たえて呼吸をたしかめる
「ごめんなさい」
閉じた瞼に口づけを落として見下ろせば暗がりの中で白い肢体がぼんやりと浮かび上がった
そっとフラッシュを瞬かせて。俺だけの秘密がまた１つ増えていく
#1日1のわヒロ