何の日 4月29日 2017

#何の日 畳の日
「よく部屋がとれたな」
「ラッキーでした」
「お、海が見えるぞ」
後ろから長い腕が巻きつく
「…何」
「食事の前にお風呂にしませんか」
「いいな」
「でもその前に…ヒロさんを補給したいです」
甘い声と重なる波の音
たちのぼる畳の匂いに目眩がした
#1日1のわヒロ

何の日 4月27日 2017

#何の日 ロープデー
「痛くないようにちゃんと練習したんですよ」
「すんな…」
「少し悩んだんですけど、やっぱり赤で正解でしたね」
「色の…問題じゃねぇ」
「本当によく似合います」
「ンなわけ…あるか」
「思い切って買って良かったです」
「とっとと解けッ」
#1日1のわヒロ

何の日 4月26日 ２０１７

#何の日 よい風呂の日
「風呂はいいなあ」
手足を伸ばして息を吐く
「お前もそう思うだろ」
向かい合って浮かぶアヒルがとぷんと揺れた
「俺も入れて下さい！」
勢いよくドアが開く
「えっ！？」
「仲間外れはさみしいです」
一気に熱くなったバスルームでアヒルが笑った
#1日1のわヒロ

何の日 4月25日 2017

#何の日 拾得物の日
こっちを見ている
そう思った瞬間、隣の席の友人にチョークが飛んで来た
「寝るなら出て行け」
空気がピシリと凍りつく
「すみません！」
「お前、よく上條の前で寝られるな」
もったいない
胸の中で呟きながら落ちたチョークの欠片をそっと拾いあげた
#1日1のわヒロ

何の日 4月24日 2017

#何の日 植物学の日
「いい天気だな」
「今日はあったかいですね」
陽射しに誘われて子どものように寝そべった
「なんか咲いてる」
「あ、これ食べられるんですよ」
「マジか！」
「試してみますか？」
「夕飯に花を添えるのも悪くねぇな」
笑い声に小さな花が揺れた
#1日1のわヒロ

何の日 4月23日 2017

#何の日 子ども読書の日
色褪せた本を広げる
畳や風の匂いとともに
古い写真が滑り落ちた
いつも一緒だったあの頃の
懐かしい物語と甘酸っぱい感情
忘れたわけではないけれど
ゆっくりと本を閉じて
胸の奥深くにしまいこむ
いつかまた二人で
子どもに戻るその日まで
#1日1のわヒロ

何の日 4月22日 2047

#何の日 よい夫婦の日
「野分」
「はい」
「…また増えてねぇか？」
食卓に並ぶ揃いの食器
「わかりますか」
「ったりめぇだろ」
「ダメですか？」
「ダメっつうか…おかわり」
「はい」
嬉しそうな顔に負けながら小振りの茶碗を差し出す
「ハート柄はもういらねぇぞ」
#1日1のわヒロ

何の日 4月21日 2017

#何の日 民法の日
「オリーブオイル？」
「あ、それは」
「買ったんですか？」
「テレビでみて、つい…」
「ヒロさんがこういうの好きだなんて」
「お前は嫌いなのか？」
「俺はヒロさんがやりたいならオイルでもなんでも大丈夫です！」
「野分」
「はい」
「料理だぞ」
#1日1のわヒロ

何の日 4月20日 2017

#何の日 郵政記念日
待ち合わせたのは懐かしい場所だった
「悪い、待たせた」
「大丈夫です」
「何笑ってんだよ」
「ちょっと…思い出して」
「思い出すんじゃねぇ。つか忘れろ」
「嬉しすぎて忘れられません」
思い出のポストよりも赤くなった顔を見つめながら歩き出した
#1日1のわヒロ

何の日 4月20日 2017

#何の日 郵政記念日
待ち合わせたのは懐かしい場所だった
「悪い、待たせた」
「大丈夫です」
「何笑ってんだよ」
「ちょっと…思い出して」
「思い出すんじゃねぇ。つか忘れろ」
「嬉しすぎて忘れられません」
思い出のポストよりも赤くなった顔を見つめながら歩き出した
#1日1のわヒロ