何の日 7月6日 2016

ピアノの日
「はぁ」
弱った心がこぼれる
「弘樹」
「何？」
「来週発表会だろ？」
「まあな」
「聴きに行っていい？」
「なんで？」
「好きなんだ」
「えっ？」
「弘樹のピアノ」
「…来れば」
フォルテッシモで鳴り始めた心臓を押さえて、ため息をこぼした
#1日1のわヒロ

何の日 7月5日 2016

ビキニスタイルの日
青い海
降りそそぐ太陽
砂浜を走ってくるヒロさん
ヒロ…さん
「野分、起きろ！」
「あ、先輩…」
「なんだよガッカリした顔して。どんなイイ夢見てたんだよ」
「ビキニの人が手を振りながら海辺を走って来る夢です」
「なんだそれ最高だな」
#1日1のわヒロ

何の日 7月4日 2016

梨の日
「昨日は何を食べたんですか？」
「スイカかな」
「まさかそれだけじゃないですよね？」
「梨も食った」
「…ヒロさん」
「ん？」
「それ、どっちもアイスですよね？」
「暑かったし、それに…1人だったし」
「今日はちゃんと食べて下さいね」
「うん」
#1日1のわヒロ

何の日 7月3日 2016

ソフトクリームの日
白くて、甘くて
ひんやりとしていて
「野分、垂れてる」
「うわっ」
溶けたクリームが手に伝わる
「もたもたしてっと下からも垂れ始めるぞ」
慌ててパクリと頬張って
「ヒロさんみたいですね」
指を舐めながら笑いかけたら蹴りがとんできた
#1日1のわヒロ

何の日 7月2日 2016

たわしの日
どうしよう
暑かったからかな
「のーわーきー」
「ちょっと待って下さい」
予想外の展開に鍋を洗う手が空回りする
「お前も飲めよー」
「あと少しで」
背後から抱きつかれて手が止まる
「おそーいー」
泡だらけのたわしと理性を投げ捨てて振り向いた
#1日1のわヒロ

何の日 7月1日 2016

童謡の日
キッチンから旨そうな匂いと懐かしいメロディが流れてきた
つられて口ずさみながら本のページをめくる
窓から夕焼けが入りこんでくる
「幸せだな…」
「俺もです」
覗きこんできた笑顔に驚いて赤くなったのも
恥ずかしい告白も
全部夕焼けのせいにした
#1日1のわヒロ

何の日 6月30日 2016

ハーフタイムデー
気がつけば半袖の季節になっていて
ヒロさんは寒いと言わなくなってしまった
ちゃんと食べてるかな？
半分になったカレンダーのパンダに聞いてみる
「ただいま」
「おかえりなさい」
「…暑い」
「汗をかくと涼しくなります」
もうすぐ夏が来る
#1日1のわヒロ

6月28日 2016

パフェの日
「野分これは何だ？」
「パフェです」
「お前が頼んだのか」
「はい」
「で、なんで俺の前に？」
「ヒロさんに似合うからかな？」
「アホか」
「パフェよりヒロさんの方が美味しそうですけど」
「さっさと食えバカ！」
「はい。早く帰りましょうね」
#1日1のわヒロ

何の日 6月27日 2016

ちらし寿司の日
「手伝う」
「じゃあ、これを切って下さい」
「分かった」
真剣に包丁を握る顔
「出来た！」
「ここにのせて下さい」
繋がっている太めの錦糸卵
「野分には大盛りにしてやる」
「ありがとうございます」
ちりばめられた優しさと愛に手を合わせた
#1日1のわヒロ

何の日 6月26日 2016

露天風呂の日
夜なら大丈夫だと思ったのに
「まるで貸切みたいだ」
今日はゆっくりするつもりだったのに
「晴れてよかったな」
星空を見上げる赤い顔
「お湯も気持ちいいし」
白いうなじ
「どうした？」
月明かりに浮かぶ姿は俺の気持ちをひたすらに押し上げた
#1日1のわヒロ