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当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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童話パロ「シンデレラ」

診断メーカーさんからのお題「シンデレラ」をツイッターで投下したものをまとめました。
 

                     2019.3


「準備できたかー?」
「はい」
仕事用の鞄を手に研究室を出ると一緒に出張に行くはずの宮城教授は足首まであるような長いマントで現れた。
「え?」
「あれ?お前なんでスーツなの?」
「今日って学会ですよね?」
「学会じゃない、舞踏会だって」
「ぶとうかい……?」
「で、上條はどんなドレスが着たいんだ?」
宮城教授がマントから杖を出して真顔で聞いてくる。
「は?」
「ピンク、いやピンクはちょっと違うなー」
「教授、落ち着いて下さい。自分はドレスを着たいなんてこれっぽっちも」
「ほらほら、早くしないと始まってしまうぞ」
鞄を取り上げられて立たされる
「ですから、さっきから何の話を」
「お前もよく知っている話だ。とりあえずドレスは俺が選んでやる。任せろって。お前の今日のラッキーカラーは水色だからそれでいくぞー」
ビビディ・バビディ・ブー、と宮城教授が声高らかに唱えると、上條の着ていたスーツは消え、水色のドレスに変わってしまった。
「ええええっ?!」
ドレスってなんだ。ウエストはキツいし、膨らんだスカートの部分はなんだかスースーとして頼りない
「これは…いったい」
「よく似合ってるぞ。これなら王子様もイチコロだ」
「こんな格好で歩けませんよ」
ガラスの靴が足に食いこむ
「大丈夫だって。乗り物は用意してあるから」
宮城が指差した先を見て上條の顔色が変わった
「乗り物って」
「ここはやっぱりカボチャの馬車だろ。いやーウチにあるカボチャがこんなところで役にたつとはな」
「まさかアレに乗るんですか?」
「お姫様は馬車に乗るもんだろ」
「誰がお姫様ですか!!」
「細かいことは気にすんな」
「気にします」
渋々乗りこんだ馬車が走り出す直前、宮城が窓を叩いた
「スマン、1つ言い忘れた。12時になると魔法とけちゃうから」
「どうなるんですか」
「ドレスが元に戻る」
「スーツに戻るならありがたいです」
「靴は戻らないから」
「は?」
「スーツにガラスの靴になるから、気をつけろよ」
「はぁぁぁ?!」
とっとと終わらせて帰ってやる、と悲壮な決意を胸に城へ向かった上條を待っていたのは眩しいくらいに笑顔の王子だった
「可愛いです」
「可愛くねーっての。つか、俺もう帰る時間だから」
「無理です」
やたらデカい王子にぎゅうぎゅうと抱きしめられているうちに城の時計が12時を告げる
「あっ」
「離せよ」
時計の鐘が鳴り終わり、みるみるうちにドレスは消え、いつものスーツ姿に戻っていく
「え?」
「ほらな、お伽話はもう終わりだ」
「この服もよく似合ってます」
「もしかして熱でもあるんじゃ」
「そうかもしれません」
「だったら、こんなことしてねぇで早く寝たほうが」
「そうですね」
ヒョイと王子に抱き上げられた上條の足から靴が脱げ落ちる
「草間王子、何を」
「野分って呼んでください」
ずんずんと城の奥へと進んでいく野分の腕から逃れようと暴れてみたが全く歯が立たない
「ハナシが違うぞ」
「ここからは大人時間ですから」
「嘘だろ」
残されたガラスの靴がキラリと輝いた
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