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frown

当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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馬鹿か趣味か

夏休みも大学の先生たちは忙しい。

2014.7.7 pixiv投稿
「ヒロさん出張なんですか。」
「ああ、一泊だけどな。」
荷物を詰めながら何気なく伝える。
「朝食、俺の当番だったのにできなくて悪いな。」
「そんなこといいです。俺の方が仕事でヒロさんに迷惑かけること多いんですから。」
「別に迷惑なんてかけられてねーよ。」
そう言って立ち上がる。
「明日早いから、今日は早目に寝るわ。」
「わかりました。何時に起こせばいいですか?」
「いいって。お前は明日午後からだろ。ゆっくり寝てろよ。」
そう言って自分の部屋に入ろうとしたが、えらくしょんぼりした野分の姿が目に入ってしまった。
「、、、じゃあ、一緒に、、寝て、明日俺を起こせ。」
ぱあああああっと効果音が聞こえそうな位に明るくなった野分、、、、恥ずかしい、、、、、バカが、。
「わかりました!」
ものすごい勢いで一緒に部屋に入ってきた野分にもう一度クギをさす。
「いいな。隣で寝るだけだからな!」
「はい。わかってます。」
「目覚まし時計がわりだからな!」
「はい!」


「ヒロさん、ヒロさん、起きてください。」
「ん、、。」
「ヒロさん、今日は出張だって言ったじゃないですか。ヒロさん。」
!?!
慌てて起き上がる。
「起こせって言っただろ!」
「30回起こしました。」
「知らねーよ。」
「じゃあ寝てたんですね。」
「あ〜〜やべえ。」
「急いだほうがいいですよ。」
「わかってるよ。」
支度をして玄関に向かうと野分も出かける用意をしてついてきた。
「お前、どっか行くのか?」
「はい。お見送りに。」
そう言うと一緒に部屋を出て鍵をかける。
「見送りって、まさか、。」
「新幹線のホームまで行きますね。」

嘘だろ。

駅に着くと待ち合わせの場所まで向かった。
面倒なことにならないといいが。いや、なる。絶対なる。
あ、いた。
俺が見つけると同時に野分も気がついたようだ。
「ヒロさん、、、出張って一人じゃなかったんですね。」
「ああ、宮城教授も一緒だ。」
急に黒雲を出し始めた野分と宮城教授のいるところまで無言で歩く。
あれ、でも教授もいつもと様子が違う。おとなしくないか?
「おはようございます。」
挨拶をすると、横に、いた。
例の大学生か。いつものように俺のことを睨んでる。
俺の後ろから野分が突然前に出た。
「おはようございます。いつもヒロさんがお世話になって「なっ、何言ってんだお前!教授、時間じゃないですか、行きましょう。」
「ああ、そうだな。」
「おい、宮城!」
例の子が教授の腕を引っ張った。
「イテッ、なんだよ忍。」
「、、、こいつと一緒なのかよ。」
忍君、、だっけ。すごい顔で見てんだけど、俺、何かしたか?
悩んでいると後ろにいた野分の声が耳元で聞こえた。
「ヒロさん、気をつけて下さいね。」
野分の黒い瞳は真っ直ぐに教授に向かっている。
「宮城、気をつけろよな。」
忍君の目は、俺に向かっていた。


結局見送りの二人も入場券を買ってホームまで来た。
笑顔の野分と仏頂面の忍君に見送られて、俺たちを乗せた新幹線は発車した。
「教授、、。」
「なんだ上條。」
「あの二人、大丈夫ですかね?」
「そーだな、、、。」
はあぁぁぁぁ〜
二人のため息が重なった。

[newpage]
ホームから改札に向かう間、二人きりになることを考えてなかった。
上條と来たデカくて黒い服の男が話しかけてきた。
「あの、俺、草間野分っていいます。君の名前は?」
「、、忍。高槻忍。」
すると、ニコニコしながら聞いてきた。
「えっと、学生さんかな?」
「そうだけど。」
「、、高校生?」
「バカにすんな。大学生だよ!」
なんだよ、自分がデカイからって子ども扱いすんなよ。
「じゃあ、、えっと、趣味は何?」
「、、、宮城、、、。」
「東北の?」
「お前バカじゃねーの。宮城って言ったら宮城だよ!」
この状況で、東北なわけねーだろ。
「俺のことより、お前はなんなんだよ!」
「ヒロさん馬鹿です。」
「、、、、、何言ってんの。」
「いや、そのままです。」
「じゃ、仕事は何してんだよ。」」
「病院に勤めてます。」
「ひょっとして、医者、とか?」
「まだ、研修医ですけど。」
馬鹿かと思ったら、まさかの医者かよ。
噛み合わないような、噛み合ってるような会話をしているうちに改札も通った。
「じゃあな。」
「はい。」
「それから上條にあんまり宮城にベタベタするなって言っておけ。」
「ちょっと待ってください。それはどういう意味ですか?」
「そのまんまだよ。しょっちゅう抱き合ったりしてるじゃねーか。あの二人。」
笑っていたはずの野分の目が、、真っ黒になった。
「それは、宮城教授がヒロさんにベタベタしてきてるんじゃないんですか?前だって、、ヒロさんにキスしようとしてたじゃないですか。」
「おい、なんの話だよ。それ?」
改札の前、睨みあう。
「ちょっと話聞かせろ。」
「そうですね。俺も聞きたいことがあります。」

[newpage]

学会も無事に終わり、帰りの新幹線が時間通りにホームに着いた。ホームに降りて、少しホッとする。
「お疲れ様でした。」
「おー、ご苦労さん。上條と一緒に行けて楽しかったよー。」
「、、それはよかったです。」
相変わらずふざけたことを言う教授を軽くかわしていると、目の前に
野分?!
「おかえりなさい。ヒロさん。」
「お前、仕事は?」
「ちょうど終わったんで、迎えに来ました。」
「俺、到着時刻教えてないよな?」
「忍君から教えてもらいました。」
え?
横には、、忍君もいる。
「お前たちって、知り合いだったか?」
「いえ、昨日仲よくなりました。」
仲良くって言ってるけど、忍君はあいかわらず俺を睨んでるが、、、、。
「ヒロさん帰りましょう。」
それでも、嬉しそうな野分の顔につい俺も嬉しくなってしまったわけで。
「教授、お先します。」
振り返って挨拶をすると教授はなぜか忍君の前でオタオタしている。
??
「かみじょー、、」
なんだ?
「教授、どうしましたか?」
近寄ろうとすると野分が俺の腕を摑んだ。
「大丈夫ですよ。忍君いますし。帰りますよ。」
忍君がいるったって、二人はあきらかにもめている。
「おいっ!宮城、やっぱりお前、、」
「だーかーらー違うって言ってるだろ。ほら、恋人が迎えにきてるしな。上條、帰っていいぞー。」
これは俺たちいないほうがいいな。
「はい、じゃあ、、お疲れ様です。」
なんか知らんが頑張って下さい。教授。
「ヒロさん、行きますよ。」
野分が俺の鞄を持ってどんどん歩いて行くのに慌ててついて行った。

「ヒロさん、出張はどうでしたか?」
「ん、ああ、学会は面白かったよ。ただ、」
「ただ、なんですか?」
「ん、寝るときに電気をどれ位暗くするかで教授と意見が合わなくてなあ。寝不足だよ。」
「、、、それってどういうことですか?」
「だから、相部屋だったから、、。」
「宮城教授と、相部屋、ですか?」
「、、、ツインだぞ。」
「当たり前です!!いや、シングルじゃなかったんですか?」
「大学から出る旅費なんてたかがしれてるだろ。ツインの方が安いし。」
「ヒロさんはお金と安全どっちをとるんですか?」
「あのな、俺と教授は男同士だぞ。」
「俺たちもそうです。」
「教授は別にそういうのじゃな、、くないか、、?」
「忍君って、恋人ですよね。男ですよね。」
「いや、教授は俺にはそんな気持ち持ってないって。」
「忍君から聞きました。大学で抱き合っていたとか、、色々と。」
「あれはふざけてんだって。」
「いつも言ってますよね。ヒロさんはかわいいんですよ。」
「あのな野分。」
「次は絶対にシングルにして下さい。」
「、、、わかったよ。」
「じゃあ早く帰りましょう。」
「なんだ?用事あるのか?」
「いえ、ヒロさんを身体検査します。」
「な、何言ってんだお前はッ!」
「一応、医者ですから。」
「お前の専門は小児科だろーが。」
「身体検査に関してはヒロさん専門です。」
"顔から火が出る""いたたまれない""羞恥に身を揉む"
俺の今の気持ちをどう表せばいいのか。文学を愛し学び極めんとしているくせに出る言葉はいつも同じだ。

「馬鹿か!」
「はい。俺、ヒロさん馬鹿なんで。」
そう言って野分は笑った。




俺はこいつにはかなわない。


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