frown
当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。
Cloth of Love
褌のお話を、というリクエストにお答えしてみました。
ちょっと甘々?
2017.2.11投稿
ちょっと甘々?
2017.2.11投稿
「すげぇな」
感心したように呟く声につられテレビの画面に目をやる。
「寒そうですね」
風邪引きそうだなぁ、なんて思わず心配をしてしまうのは野分の職業柄もあるが、大型の低気圧が居座っている日本列島は、全国的に冷え切っている。そんな雪のちらつく神社の境内でひしめき合っている男たちの格好は真っ白な褌一つという勇ましさだ。
「こういう時は寒さなんて感じないんだって」
激しくぶつかりあいもみくちゃになる人々からはテレビ画面ごしにも熱気が伝わってくる。
「こういうお祭りに参加したことあるんですか?」
「さすがにねぇな。寒い中で何かやったのは剣道の寒稽古くらいかな」
「…見てみたかったです」
「見て楽しいもんじゃねーっての」
そう言って、また祭りの様子を見ながら、弘樹は感心したようにかっこいいな、と呟いた。
「ヒロさん、こういうの好きなんですね」
「いいと思うぞ。昔から続くものってのは大事にするべきだと思うしな」
「そうですよね」
嬉しそうに頷くと野分は自分の寝室に隠しておいたプレゼントを取りに行った。怒られるかもしれない、と思っていたけれど、今なら受け取ってもらえそうな気がする。
「ヒロさん」
「なに?」
「少し早いですけど、これ」
「ん?」
「プレゼントです。本当は14日に渡したかったんですけど、俺、その日は仕事なので」
「14日って、あれか」
ありがと、と頬を赤くしながら包みを開けていった弘樹の手が止まった。
「野分…これって」
「この色がヒロさんには似合うかなぁと思ったんです」
「いや、似合うとか似合わないとかじゃなくてだな」
「やっぱり白の方がよかったですか?」
「そーじゃなくて!なんだよこれ」
「褌です」
濃いピンク色の布に水玉模様の青い紐がついているそれはやたらカラフルではあるが、まぎれもなく褌の形をしている。
「こんなもん、どうしろってんだよ」
ひらりと広げた弘樹は呆れたように野分を見上げている。
「褌をしめて寝ると健康にいいそうです」
「そうなのか?」
「はい。一度試してみてください」
「しかし、派手だな」
「俺以外誰も見ませんから」
「お前にも見せねーよ」
「ええー、そんな」
しょぼくれた野分の顔を見てケラケラと笑った弘樹だったが、ラッピングを見て首を傾げた。
「なあ野分。これってバレンタインのプレゼントだよな?」
「違いますよ」
「でもお前、14日には早いけどって」
「2月14日はふんどしの日でもあるんです」
「…それ、誰に教えてもらったんだ?」
「先輩です」
「あのやろう」
今度会ったら、絶対にこの事をネタにからかってくるに決まっている、と眉間に皺を寄せた弘樹をそっと野分が抱きしめた。
「ヒロさん」
「何だよ」
「さっそくしめてみますか?」
「ヤダ」
「どうしてですか」
「まだ昼だっつーの」
「残念です」
ちゅ、と弘樹の唇にキスを落として野分が囁いた。
「夜が楽しみです」
「どんな健康法だよ…」
「俺にとってはヒロさんと一緒に寝るのが何よりの健康法です」
「アホか」
床に落とされたピンクの褌を見ながらそっと抱きしめる手に力をこめた。
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プロフィール
HN:
さるり
性別:
女性
自己紹介:
ヒロさん溺愛中