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frown

当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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学び舎にて①

ライ夢さんの
生徒会長うさぎさん、副生徒会長ヒロさん、生徒会役員野分、書記美咲くん学パロとても見たい~~~!
という呟きがあまりに魅力的だったので、書かせてもらいました。
   2018.7
 

  窓から射し込む日差しに暖められた講堂の空気の中を校長の声がゆるりと流れていく。面白みもなくただ長いだけの挨拶に何人かの生徒がコッソリと欠伸を噛み殺した。
 入学式というのにどこか緊張感に欠けた様子なのはここが幼稚園から始まり高校まで続く、所謂エスカレーター式の私立学園のせいだろう。ピカピカの新入生といっても中等部から上がってきている生徒が大半を占めており、新鮮さはあまりない。
 知ってる顔ばかりの中で、他の中学から入学してきた草間野分のような生徒は少数派だ。入場してからずっと彼は容赦ない好奇の目に晒されている。もっとも野分の場合は周りから頭一つ飛び出る背の高さのせいもあるだろう。男子からはやや羨望の眼差しを、女子からは品定めするような視線が向けられている。
 しかし野分自身はそんなことに気づきもせず、ひたすら在校生の方に視線を向けていた。
 ようやく校長の挨拶が終わり、式典が進み出す。
「在校生代表、宇佐見秋彦」
 名前を呼ばれた生徒が立ち上がると保護者席に小さな囁きの波が起きた。
 本当に目立つ人だ、と野分は改めて思う。
宇佐見グループの一員であり、優秀な成績を誇る宇佐見秋彦は、背も高く、見た目も華やかだ。
生徒会会長として挨拶をするよく通る声。何でも持っている人間の象徴のような存在に、野分はそっとため息をついた。
(勝てるんだろうか)
何度見てもそう思う。それでもこの人に勝たなければ自分の欲しいものは手に入らない。この人に勝つためにここに来たのだと宇佐見秋彦の整った顔を見上げ、野分は自分自身を奮い立たせた。
実の両親の顔さえ知らずに育った野分は、裕福な家庭の子弟が多く通うこの学校を自分が目指すことになるとは思ってもいなかった。
あの日、あの人に会うまでは。
三年生の席で少し眉を寄せて宇佐見さんを見守っているその人の顔を見るだけで心臓がばくばくと落ち着かなくなる。
上條弘樹、という名前を何度も胸の中で噛みしめる。
あの人は自分のことを覚えているだろうか。
あなたに会うために来ました
そう言ったならどんな顔をするだろう。
「みなさんが素晴らしい学校生活を送ることができるよう願っています」
宇佐見さんの声が始まりを告げるように響く。
甘い風にのって桜の花びらが一枚、ひらりと舞い降りた。
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女性
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ヒロさん溺愛中

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