frown
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無意識
- 2015/04/19 (Sun)
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粽さんのあさいさの絵と呟きから、妄想して書かせていただきました。
ありがとうございます。
2015.4.19
「疲れたぁー」
そう言うと、ソファーに沈みこむように座りこんだ龍一郎様からジャケットとネクタイを受け取る。
年度始めの慌ただしさは何年経っても予想以上で、ここ数日は流石に疲労の色を見せていた。
社長業には慣れてきたとはいっても、出版業界全体の厳しさはあいかわらずだ。
日頃の軽々しい態度の裏で、自分の双肩に乗っている責任の重さを誰よりもわかっているゆえに、龍一郎様は他人への要求も高いが自分にはもっと厳しい。
無理をしすぎないように体調管理を中心に気を配っていた。
もちろん、私生活においても。
ようやく少しは落ち着いてきたのが、口から出す文句に現れるところが、可愛らしいとも思えた。
クローゼットにジャケットをかけて戻ってくると、龍一郎様はシャツの首元を緩めて、ソファーの背にもたれかかっていた。
ボタンを外して緩められた首すじは鎖骨が見えそうなほど露わになっている。
また、少し痩せてしまわれだろうか
そう思って見つめた長めの黒い艶のある髪の毛と、髪の毛の間からチラチラと見え隠れする真っ白な項がひどく艶めかしく映った。
気がつくと手を伸ばしていた。
少しクセのある毛先を指先でつまみながら、そっと手のひらを白い首すじへと這わせるとその滑らかな触り心地に小さく息を吐いた。
指が触れたところから朱を刷いたように色づいていく首すじの美しさに見惚れていると、振り向いた龍一郎様と目が合った。
見上げた顔は真っ赤になっていた。
「・・・薫」
大きく開いた黒い瞳は潤んでいた。
少し息苦しそうにも感じられる。
「龍一郎様、もしかして、熱でもあるんではないですか?」
慌てて体温計を取りに行こうとすると、腕を捕まえられた。
「薫!」
「どうしましたか?」
「熱なんかない」
手のひらを額に当てると振り払われ、睨まれた。
「だから、熱なんかねーって」
「ですが」
「お前が悪いんだろ!」
いったい何をそんなに怒っているのだろう
「私が何かしましたか?」
「お前がっ、、」
また赤くなって目を逸らされた。
「龍一郎様?」
「・・・急に触ったりするから」
「ああ・・そうでしたか」
「そうでしたか、じゃねぇよ。なんなんだよ」
「貴方があまりにもきれいだったので、つい。驚かせて申し訳ありませんでした」
そう言うとキッチンへと向かった。
さて、今日の夕飯は何にしようか
冷蔵庫を開けようとしたところで名前を呼ばれた。
「薫」
振り向くと、シャツの襟を強く引き寄せられる。笑った龍一郎様の顔がすぐ目の前にきた。
唇が触れ、舌が差し込まれてくる。
久しぶりの熱に応えるようにその舌先を強く吸い上げた。
舌も唇も味わってから、ゆっくりと離れる。
いつもよりさらに赤く色づいた唇をペロリと舐めた龍一郎様が囁く。
「なぁ薫、先にこっちにしようぜ」
無意識に触れてしまう程に、自分も龍一郎様を求めていた。
ここは、互いに火をつけた責任を取るべきなのだと、訴える瞳を見つめ返して、もう一度深く唇を重ねた。
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