【お化け】

「入りましょうよ」
「男２人でお化け屋敷って…」
「絶対楽しいですって」
「ならお前１人で入れ」
「ヒロさん…もしかして怖いんですか？」
「は？こんなの怖くねぇし」
「じゃあ行きますよ」
ひんやりとした暗がりの中に踏みこんで、そっと手を繋いだ
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【ショタ化】 +ａ

「ヒロさん？？」
隣で寝ていたヒロさんは随分と縮んでしまっていて
「んん」
寝返りを打つ姿はどう見ても子どもだ
夢かもしれない
夢なら思う存分好きなことをしてみよう
眠っている幼いヒロさんのお腹にタオルケットをかけてから
ホットケーキを焼き始めた
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

続き

寝室からヒロさんが出てきた
「おはよ」
「おはようございます」
「…お前、また背が伸びた？」
ブカブカのTシャツを着て見上げてくる
「俺が伸びたんじゃなくてヒロさんが小さくなったんですよ」
「へ？えっ？！」
「朝ごはん、どうぞ」
ホットケーキの皿を差し出すとほっぺを膨らまして睨まれた
「飯食ってる場合かよ」
「でも、腹が減っては、と言いますし」
「食えば何でも治るんなら医者はいらねぇだろ」
「そうですね。あ、シロップかけますか？」
「ガキ扱いすんな」
「すみません」
ムッとしつつシロップをかけたホットケーキを頬張る小さなヒロさんを眺める
「ジロジロ見んな」
「あの、ヒロさん。その身体って小学生くらいですか？」
「かもな。なんでこんなことになってんだよ俺」
「食べたら診察しますよ」
「何でお前が」
「大丈夫です小児科医ですから。小学生のヒロさんを診るのは問題ないです」
「待て待て待て待て」
「俺、小児科医になってよかったです」
「変態」

【匂い】

「始まるぞ」
先にベランダに出たヒロさんの足元に蚊取り線香を置く
「晴れてよかったですね」
並んで缶ビールを開ける
「夏って感じだなー」
「そうですね」
夜の風に、風呂上がりのヒロさんの匂いが流れてくる
花火を見上げながら夏の始まりをすいこんだ
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【七夕】

「短冊に書く願いは手習い事の上達がいいんだぞ」
「わかりました」
「おい、お前いったい何を書いて…」
「ですからヒロさんとする色々なことの上達を願って」
「アホか！ンなもん吊るすな！」
「わかりました。じゃあ」
『ずっと一緒にいられますように』
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【髪型チェンジ】

「珍しいですね」
「あ？」
「前髪」
「ああ、うっとうしくてな」
「今日は暑かったですしね」
「まあな」
「でもヒロさん、そんなゴム持ってましたっけ？」
「コレはゼミの子がくれた」
「そうですか」
パンダのゴムをそっと取って、白いおでこに唇を寄せた
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【外食】

「じゃあ駅で待ってるから」
「楽しみです」
「勘違いすんなよ。俺はただ飯を作るのが面倒なだけだからな」
「はい
「いつも同じファミレスってのも飽きるし」
「はい」
「わかってんのか？飯食うだけだぞ」
「はい。デートですね」
「おい」
「楽しみです」
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【旅行】

「沖縄が1番人気だそうですけど北海道もいいですね」
「お前、旅行に行く気なのか」
「ダメですか？」
「だめっていうか仕事は」
「新婚旅行は休めますよ」
「新婚旅行？誰の？」
「俺たちのですよ。いっそイタリアなんてどうですか」
「待て待て待て待て」
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【濡れシャツ】

前を走る背中を追いかける
「ヒロさん！」
「野分か、助かった」
傘をさしかけるとホッとした顔で振り向いた
「急に降られてまいった」
前髪から落ちた雫が白い頬を伝う
「早く帰りましょう」
雨に濡れてはりついたワイシャツを隠すように並んで歩き出した
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【雨】

「濡れますよ」
「お前が1本しか持ってこないからだろ」
「この傘大きいから大丈夫だと思って」
「男2人で相合傘は無理だろ」
「もっとくっついたら濡れないですよ」
並ぶ肩から温もりが伝わってくる
「雨も悪くないですね」
返事の代わりに少しだけ近づいた
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【フルーツ】

本当はデカイのにかじりつきたいと思いつつカットされたスイカを頬張る
「ただいまです」
「おかえり」
視線が口元に注がれる
「食うか？」
「はい」
差し出したフォークは無視されて唇をペロリと舐められて
デカイのに食われながら初物の甘さを分け与えた
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負