エメラルド夏号 その2

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エメラルド夏号！

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【フルーツ】

「立派な桃ですね」
「ババアが送ってきた」
ヒロさんの指が柔らかな皮をむいていく
「美味しそうです」
「待ってろ」
「はい」
甘い香りの中でじっと見守る
「ほらよ」
少しいびつになりつつも切り分けられた桃が差し出され、果汁の滴る指ごと口に含んだ
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

イケナイ太陽

リクエストしてもらった夏ののわヒロ

2018.8.22

【お祭り】

「懐かしいな」
りんご飴の甘さに頬が緩む
「帰りましょう」
「仕事か？」
「いえ、ヒロさんの格好がちょっと」
「お前だって浴衣だろ」
俺よりよっぽど目立ってることにも気づいてねぇのかよ
「バカなこと言ってねぇで行くぞ」
短い夏の夜へと歩き出した
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【高橋美咲】

「誕生日くらい素直に好きと言ったらどうだ」
「あのさ、誕生日なのは俺だよね？」
「だから歳をとった記念に」
「何でだよ！」
「じゃあロウソクの数だけキスをするというのは」
「俺が？」
「俺が」
おめでとうの声と一緒に降るキスにロウソクの炎が揺れた
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【瞳】

「ダメですか？」
真っ黒な瞳が真っ直ぐに見上げてくる
なんなんだその目は。反則だろ
「…１回だけだぞ」
「ありがとうございます！」
「言っとくけど絶対似合わねーからな」
「そんなことないです」
期待に満ちた視線を浴びながら薄っぺらな服に手を通した
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【アイス】

「当た、り？」
「え？」
「コレ、見ろよ！やった」
「よかったですね」
「お前のは？」
「ハズレです」
「残念だったなー」
「ヒロさんが当たったからいいです」
「当たりのアイスは俺のだぞ」
子どもに返ったように笑いながら夏の夜の真ん中を並んで歩いた
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

杏仁豆腐のお酒

白くて甘くて、まるで
「どうだ？」
「ヒロさんみたいです」
「俺は味を聞いてるんだ」
「えっとですね」
お酒をもう一度口にして、ヒロさんにキスをする
甘い味のついた舌を絡めてからゆっくりと唇を離す
「こんな味です」
「…わかるかボケ」
もう一度の合図を逃さずに重ねた唇の味に酔いしれた

ハグ

「暑ぃ」
朝だというのにすでに強い日差しがリビングに入りこんでいる
「昨日は涼しかったのにな」
「台風のせいじゃないですか」
腰に手が巻きついてくる
「だから暑いって」
「少しだけ」
夏の太陽よりも熱い声と手に包まれて
「少しだけかよ」
本音がとろりと溶け出した
#ハグの日
＃1日1のわヒロ