ミョウガのせいに

ミョウガのせいにして、昨夜の睦言を忘れたふりするヒロさん(というchimomoさんのフリに応えて)


「ヒロさん」
「ん？」
「俺すごく嬉しかったです」
「何のことかわからねぇな」
「そんな」
「うっせぇ、お前がミョウガなんて食わせるから悪いんだ！」
「あんなに可愛かったのに」
「てめぇも忘れろ！」
「じゃあもう一度やり直しましょう」
ミョウガより赤くなった頬にキスをした

【スーツ】

「そろそろ慣れろよ」
「すみません」
曲がっているネクタイを直してやりながら見上げた顔の近さに目をそらす
「脱がすのは得意なんですけど」
「アホなこと言ってねぇで早く行け」
憎たらしいほど似合うようになったスーツの背中に張り手を入れた
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【朝比奈薫×井坂龍一郎】

「どれになさいますか？」
「入浴剤？」
「温泉に入りたいと」
「俺が入りたいのは本物だ」
「それは無理です」
「なんでだよ」
「他の人のいる風呂に入るだなんて」
「お前…意外と恥ずかしいヤツだな」
「知らなかったんですか」
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負
#あさいさ

sweet time

#ハロウィンなエゴお題交換会　にて
私に当たったのは「飴」でした。

2017.10.

【ハロウィン】

「デカすぎる」
ふざけて着た野分の白衣はぶかぶかで面白くない
「やっぱりヒロさんにはこっちの方が」
「てめぇ、どっから持ってきた」
ピンクのナース服を投げ返す
「婦人警官もあります」
「このッ変態小児科！」
悪戯な夜は甘くながれていく
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【映画】

明かりが落ちた館内で隣り合った手を重ねてみる
「…おい」
「始まりますよ」
「覚えてろよ」
絶対に忘れませんと心の中で呟きながらゆっくりとその手を握りしめる
甘いラブストーリーを映し出すスクリーンの光りに照らされた横顔をじっと見つめた
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【冷える夜】

「野分〜」
「ちょっと待って下さい」
空になったグラスをシンクに下げて
「寒ぃ寒ぃ寒ぃ」
フローリングの上で転がるヒロさんを抱きしめる
「今夜はずいぶん冷えますね」
「お前のせいだ」
絡めた舌の温度が上がり
冷えた空気も甘くなっていく
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【おでん】

「熱っ」
「猫舌のくせにがっつくなよ」
「すみません」
「こーゆー日はおでんにかぎるよな」
湯気を立てる大根にかぶりつくヒロさんを見つめる
「寒い日も悪くないですね」
「…1人じゃねぇならな」
みるみる赤くなっていく顔に胸も熱くなった
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【草間野分×上條弘樹】

「金木犀の匂いがする」
仄かに香る甘さに見上げた夜空には小さな花が揺れていた
「秋だな」
「そうですね」
寒ぃ、と呟いた顔を見つめながらそっと手を繋ぐ
「何してんだよ」
「早く帰りましょう」
冷たい風の中に立ち昇るのは俺だけの甘い香り
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【読書】

「あんま見んな」
「邪魔ですか？」
「そうじゃねぇけど」
「見ていたいです」
「じゃあ椅子の代わりにしてやる」
「はい」
すっぽりと包まれて本を広げる
「どうですか？」
「悪くない」
背中から伝わる温かさを味わいながらページをめくった
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負