何の日 10月4日 2016

天使の日
「可愛い」
「あっ！その写真どこから」
「これは制服ですか？」
「そうだけど」
「似合います」
「もういいだろ。返せ」
「これは俺のです」
「てめぇ、最近ナマイキだぞ」
「ヒロさんは今も昔も」
「ンだよ」
「可愛いです」
まるで天使のように
#1日1のわヒロ

何の日 10月3日 2016

アンパンマンの日
「しっかりしろよ研修医」
「すみません…」
もし自信をなくして
「はぁ」
くじけそうになったら
『着替え足りてるのか？必要なら今から持っていく』
『ありがとうございます。お願いします』
いいことだけいいことだけ
「ヒロさん」
思い出せ
#1日1のわヒロ

何の日 10月2日 2016

豆腐の日
「食べたって、まさかこれだけですか？」
「いいだろ、低カロリー高タンパクだぞ」
「そうですけど」
「イソフラボンも摂れるし」
「ヒロさん…」
「ンだよ」
「それ以上可愛くなってどうする気ですか？」
「は？」
俺はその白い絹のような頬を食んだ
#1日1のわヒロ

何の日 10月8日 2016

木の日
『今夜はヒノキの湯にしませんか』
確かそう言っていたはず
「野分ー、温泉のもとが入ってねーぞ」
「あ、すみません」
「早く、って、なんで裸で来るんだよ！」
「一緒に入らないとヒロキの湯にはなりませんからね」
「ヒロキ？」
「本当にいい湯ですね」
#1日1のわヒロ

何の日 10月1日 2016

コーヒーの日
向かい合って座る二人にかけよる
「宇佐見先生、こんにちは」
「どうも」
「お前も何か飲むか？」
いつまでたっても熱いコーヒーは苦手なのに
「同じのを」
いつまでたってもこの人の前では大人ぶりたくて
コーヒーの苦さだけが残った舌をもてあます
#1日1のわヒロ

何の日 9月30日 2016

草間の日
「お前、パスコード全部同じなのか？
「はい。"ヒロさん"です」
「ダメだろ」
「好きなのに」
「アホか」
「じゃあヒロさんの好きな数字を教えて下さい」
「ヤダ」
好きな数字は0930だなんて
嬉しそうに0163と打つ野分にだけは絶対に教えねぇ
#1日1のわヒロ

何の日 9月29日 2016

クリーニングの日
「アホなことしやがって」
「すみません」
「どうすんだよこれ」
「クリーニング？」
「何の汚れって説明する気だ」
「じゃあ、俺が新しいのをプレゼントしますから」
俺だけの秘密の宝物にしようと決めて、皺になったネクタイを手首から外した
#1日1のわヒロ

何の日 9月28日 2016

プライバシーデー
「いいかげんにしろ！」
飛びこんできた怒鳴り声を迎え入れる
「で、最近はどうなんだ？」
「そんなに聞きてぇのか〜、しかたねぇなぁ」
柔らかくなった幼馴染を祝福しつつ飲む酒はやけに甘ったるくて
少しだけスパイスを効かせた物語を書き散らす
#1日1のわヒロ

何の日 9月27日 2016

世界観光の日
「どこがいいかな」
「なあ、本当に行くのか？」
「ヒロさん、嫌なんですか？」
「そうじゃねぇけど…」
「けど？」
「お前、休み取れるのかよ」
「それは心配いらないです」
「やけに自信満々だな」
「当然です。新婚旅行なんですから」
「へ？」
#1日1のわヒロ

何の日 9月26日 2016

台風襲来の日
「別に待ってなんかいねぇ」
「ウソつき」
荒々しい手つきに暴かれていく
「やめろって」
言葉は激しい息遣いに吹き飛ばされ、熱い唇に覆われていく
閉じた心は湿り気を帯びていく身体ごと解かれて
熱を含んだ風に巻きこまれながら登りつめていった
#1日1のわヒロ