何の日 ８月１６日 2016

女子大生の日
正門前で、と言ったのを後悔した
デカイあいつは人目を引く
「ヒロさん！」
「悪かったな」
「いえ。ここって女子学生多いんですね」
「そうか？」
「少し心配です」
「アホそれはこっちのセリフだっつーの」
「えっ？それって」
「あーもう帰れ」
#1日1のわヒロ

何の日 8月15日 2016

終戦記念日
「ただいまです」
驚く顔に微笑みかける
「お前…どうして」
「ちゃんと約束したじゃないですか」
俺が守りたいものは
「本当に本物なのか？」
「幽霊なんかじゃないです」
国じゃなく
「遅ぇんだよアホ」
「すみません」
あなたとともに生きる世界
＃1日1のわヒロ

何の日 8月14日 2016

専売特許の日
「いらねぇよ」
「本当に？」
「しつこいな」
「じゃあ他の人に売っちゃおうかなぁ」
「えっ？」
「野分の写真は欲しがるナース多いんですよね〜」
「…」
「今なら上條さんに優先して譲りますよ」
「津森先輩！！」
「お前、もう来たのかよ…」
＃1日1のわヒロ

何の日 8月13日 2016

左利きの日
「左利きならよかったですね」
それはいったいどういうことだ
「だってヒロさん、こっちの方が好きみたいだし」
バカじゃねぇのか
「俺が左利きならもっと」
てめぇの手は右も左もどっちだって
「気持ちいいですか？」
聞かなくてもわかれってんだ
＃1日1のわヒロ

何の日 8月12日 2016

配布の日
「どうぞ〜」
フリフリの服で猫耳をつけた女の子からチラシを渡される
「何ソレ」
「えっとメイド…カフェ？」
「お前、そーゆーのに興味あんの？」
「少し」
「ほー」
「ヒロさんは興味ないですか？」
「ねーよ」
あの子より似合うのに
「残念です」
＃1日1のわヒロ

何の日 8月11日 2016

山の日
「おじゃまします」
訪ねるたびに高まる想いを抑えこんで
「よくできてる」
「ヒロさんのおかげです」
少しずつ少しずつ
「てめぇが頑張ってんだろーが」
ふと見せる笑顔に息が止まりそうになりながら登って行く
そびえ立つ本の山に咲く花を手にするために
＃1日1のわヒロ

何の日 8月10日 2016

帽子の日
「ちゃんと被って行きなさいよ」
「わかってるって！」
飛びこんだ秘密基地に蝉の声が降り注ぐ
「すごいな」
「鳴かないと振りむいてもらえないからね」
「俺は別に」
「え？」
「なんでもない…」
帽子で顔を隠しながら、並んで蝉時雨を浴びた夏の午後
＃１日1のわヒロ

何の日 ８月９日 2016

ハグの日
「たった30秒で」
「それだけで？」
「１日のストレスの3分の1が解消されるんですよ」
「そりゃすげぇ」
「さらに脳内にβエンドルフィンが出て幸せに」
「なあ野分」
「はい」
「もう30秒過ぎただろ」
「やだなぁヒロさん。2週間分ですからね」
＃1日1のわヒロ

何の日 8月8日 2016

ヒゲの日
なぞった指先に当たる感触に目を凝らす
「珍しい…」
「ヒロさん」
「お前ッ、起きて、」
頬を撫でていた手を握られる
「ヒゲ、好きなんですか？」
「へ？」
「それなら伸ばしますけど」
「別にヒゲが好きなんじゃねぇ」
「それって」
「うるせぇッ」
＃1日1のわヒロ

何の日 8月7日 2016

バナナの日
「ただいまです…」
「おかえり、お前大丈夫か？」
「あ、はい」
「なんか食うか？そうだ疲れてんなら甘いものとか、何か」
「ヒロさん…」
「なんだ？」
「バナナはおやつに入りますか？」
「バナナ？」
「俺が今すぐ欲しいものはたった１つなので」
＃1日1のわヒロ