何の日 1月29日 2016.

タウン情報の日
「秋彦、この本借りてもいいか？」
「ああ」
「やたら付箋付いてるな」
「その店、美味かったぞ」
「マジで？」
「彼は何が好きなんだ？」
「あいつは特に好き嫌いはねぇよ」
「なるほど」
「何？」
「まあいい。今度ゆっくり聞かせてくれ」
#1日1のわヒロ

何の日 1月28日 2016

宇宙からの警告の日
どうして気がつかなかったんだろう
侵略は始まっていた
あの時の「おまじない」はそういうことだったんだ
俺の身体はあの時に乗っ取られて、俺はもう今までの俺じゃなくなってしまった
今だってコイツが隣にいるだけでこんなにも胸がドキドキする
#1日1のわヒロ

何の日 1月27日 2016

求婚の日
「サプライズとか、マジでありえねぇ」
「そうなんですか」
「あんなの恥ずかしくて無理」
「普通ならいいんですね？」
「まあ、そうだな」
「ヒロさん」
「ん？」
「俺と結婚して下さい！」
「…」
「これもダメ、ですか？」
「直球すぎて驚いた…」
#1日1のわヒロ

何の日 1月26日 2016

有料駐車場の日
見覚えのある車を見て立ち止まる
あの人が部屋に来ている？
二人きりで何を
「野分？」
「ヒロさん！」
「何こんなとこで突っ立ってんだ？」
「なんでもないです」
「行くぞ」
ゴメンねとそっと車に謝って、マンションまでの短いデートを楽しんだ
#1日1のわヒロ

何の日 1月25日 2016

日本最低気温の日
「寒い」
「最強寒波だそうですよ」
「ずいぶんと強そうな名前だな」
「勝負してみますか？」
「勝負？」
「あったかくなったら俺の勝ちです」
「てめぇは脱がしながら言うんじゃねぇ」
背中にはりついた台風はどんな吹雪の日でも俺をあたためる
#1日1のわヒロ

何の日 1月24日 2016

金の日
「かわいい」
「ンなこというのはお前だけだ」
この人は自分の価値に気づいていない
その硬さの中に隠された輝きに気がついた人は、目が離せなくなるに決まっているのに
本当の姿は俺だけが知っていたい
何度も繰り返す我儘を今日もまたそっと胸の奥で呟いた
#1日1のわヒロ

何の日 1月23日 2016

電子メールの日
「なになに、今夜は冷えますから気をつけて下さいね」
「ちょっ、教授！勝手に読まないで下さい」
「ラブラブだなー」
「単なる健康上の注意ですよ」
「じゃあその次はー、えっ？、宮城教授にも気をつけて下さいね、って…」
「単なる…注意ですよ」
#1日1のわヒロ

何の日 1月22日 2016

カレーの日
「だから、ウチの野分は辛いカレーなんて食いたがらねぇって言ってんだよ」
「ウチの、ね」
「てめぇの書く風間とは違うんだって」
「ほう」
「俺の作ったもんなら何だってうまいって言うし」
「なるほど」
「わかったか？」
「甘々なのはわかった」
#1日1のわヒロ

何の日 1月21日 2016

大寒
「こんな日にレッスン？」
「レッスンじゃねー。稽古だ」
「寒くない？」
「当たり前だ」
胸を張った途端にクシャミが飛び出した
「これ」
「いいって」
巻きつけられたマフラーを返して走り出す
この暴れる心臓を鍛えるにはどんな稽古をしたらいいんだろう
#1日1のわヒロ

何の日 1月20日 2016

玉の輿の日
「ヒロさんとなら玉の輿ですね」
「アホか。それは秋彦みたいな金持ちに使う言葉で」
「宇佐見さん、ですか」
「イヤ、そうじゃなくて」
「俺、お金持ちになってヒロさんを迎えに」
「ヤメろ」
「でも」
「そのままでいい、つか迎えにってなんだよ！」
#1日1のわヒロ