何の日 11月22日 2016

いい夫婦の日
「違うからな」
何が違うというんだろう
お揃いの指輪までしているのに
昨夜だってあんなにかわいかったのに
「何が夫婦だ。俺はてめぇの嫁じゃねぇっての」
「わかりました」
「ん」
「別に俺が奥さんでもいいですよ」
「そこじゃねぇっ！アホ」
#1日1のわヒロ

何の日 11月21日 2016

インターネット記念日
「いつまでホームページ見てんだよ」
「だってヒロさんがこんなに載ってるなんて」
「仕事なんだからしかたねぇだろ」
「それはそうですけど…」
眼鏡をかけて講義をしているヒロさんの姿はやけに色っぽくて
「絶対ダメです！」
「何がだよ」
#1日1のわヒロ

11月19日 2016

世界トイレの日
「たまにはこんな所も悪くないですね」
「ンなわけあるか」
首すじにかかる吐息
「動きます」
「やめ、」
個室の温度が上がり出す
「声、聞こえちゃいますよ」
「誰の…せいで」
2人の息に合わせるようにペーパーホルダーがカチャカチャと鳴った
#1日1のわヒロ

何の日 11月20日 2016

ピザの日
「んまい」
赤く染まった顔を見ながら座る
「お前も食えよ」
「はい」
溶けたチーズが唇を直撃する
「あつッ」
「なーにやってんだよ」
ケラケラと笑う顔に喉も胸も熱くなっていく
「ゆっくり食えって」
「無理です」
きっとその唇はワインの味がする
#1日1のわヒロ

何の日 11月18日 2016

雪見だいふくの日
「ただいまです」
「おか、へひ」
「あ」
もぐもぐと動く口元についている白い粉を指で払う
「ン？」
「美味しそうです」
「お前も食うか？」
「はい！」
冷えた頬にちゅっとキスを落として
「なっ」
「いただきます」
甘い唇に舌をはわせた
#1日1のわヒロ

何の日 11月17日 2016

肺がん撲滅デー
「大げさ…」
「煙草の害は吸ってる人だけの問題じゃないですから」
脱がせたスーツから漂う匂いを振り払う
「わかったって」
「気をつけて下さい」
離れて欲しいのは煙草の煙からじゃない
「本数減らすように言わねぇとな」
その優しさに胸が痛む
#1日1のわヒロ

何の日 11月16日 2016

いい色の日
「きれいだな」
高く澄んだ青い空
白い雲
秋の色に染まった木々が揺れている
「野分？」
「きれいです」
「…どこ見てんだよ」
真っ黒な瞳が撓む
「もちろんヒロさ」
「黙れアホ」
「待って下さい」
顔に上る熱を隠すように銀杏並木をくぐりぬけた
#1日1のわヒロ

何の日 11月15日 2016

のど飴の日
「大丈夫ですか？」
「大…丈夫じゃ…ねぇ」
掠れた声で目を開ける
「すみません」
覗きこんでくる真っ黒な瞳
「水飲みますか？」
「ん」
寝そべったままの顎をたどる指
「ヒロさん」
口うつしにゆるりと与えられた水は甘露のように喉を潤していった
#1日1のわヒロ

何の日 11月14日 2016

アンチエイジングの日
「上條〜頼りになるのはお前だけだ」
「今日はなんなんですか…」
「若さの秘密を教えろ」
「はぁ？」
「お肌スベスベだしー」
「とりあえず離れてもらっていいですか」
「やっぱあれか？彼氏が若いと」
「その言葉そのままお返ししますよ」
#1日1のわヒロ

何の日 11月13日 2016

#何の日 いいひざの日
「くっつくなよ…」
「イスだと思って下さい」
背中がやけにぽかぽかしてくる
「落ち着かねぇ」
「俺はすごく落ち着きます」
「あっそ」
膝の間に挟まれながら読みかけの本に手を伸ばす
「幸せです」
「よかったな」
俺もだ、なんて言わねぇけど
#1日1のわヒロ