何の日 5月4日

ファミリーの日
「本当にヒロさんそっくりな子でした。もう一人の子は俺に似てて」
「あっそ」
「ヒロさんは産んでも可愛いらしくて」
「わかったから。その夢の中で家族サービスでもして来い。俺はもう寝る」
「3人目はどっちに似るか試しませんか？」
「？！」
#1日1のわヒロ

何の日 5月3日

ゴミの日
「イタッ」
「どうしました？」
「ん、なんか目にゴミが…」
「こすっちゃダメですよ」
ポロポロと落ちる涙
「洗った方がいいです」
少し乱暴に手を引くと洗面所へと向かう
入りこむことは許さない
例えどんなものでも
俺は渦を巻く排水口を見つめた
#1日1のわヒロ

何の日 5月2日

緑茶の日
「ここまでして俺にカテキョしてほしい理由は何ですか？」
「…分かりませんか？」
「分かりませんよ」
ため息とともに二人分のお茶を注ぐ
どうやって伝えたらいいのだろう
「何故でしょう…」
俺はマグカップの中に立った茶柱に願いをこめて啜った
#1日1のわヒロ

何の日 5月1日

すずらんの日
「ヒロさんにピッタリです！」
「あのな」
「花は白くて可愛いし」
「野分」
「花言葉は、謙遜、意識しない美しさ、純潔、幸福が訪れるですよ」
「いや、だから」
「ウェディングブーケを自分で作れるなんて。俺、花屋でバイトしてて良かったです」
#1日1のわヒロ

何の日 4月30日

図書館記念日
「教授、なんですかこの印？」
「記念日だ」
「研究室のカレンダーに書くような記念日ですか？」
「上條が俺に最高級の玉露と和菓子を買ってきてくれる日だ」
「…もう時効じゃないですかね」
「俺は昨日のことのように覚えて」
「忘れて下さい！」
#1日1のわヒロ

何の日 4月29日

羊肉の日
「食べないのか？」
「あのキャンディー以来、羊はちょっと」
「悪かったって。これは美味いぞ。食ってみろ」
「そうですか？」
「ダイエットも効果あるらしいぞ。お前はまあ・・・大丈夫そうだけどな」
「教授、それ以上触ったらセクハラで訴えますよ」
#1日1のわヒロ

何の日 4月28日

庭の日
森のような庭を抜けてたどり着いた
久しぶりに見上げた空はあの頃と同じ色をしている
どうして俺たちはこの空のように同じではいられなかったんだろうか
もし今、俺が「元気になるおまじないをしてくれ」と言ったなら、お前はどんな顔をするんだろうか
#1日1のわヒロ

何の日 4月27日

ロープデー
天気予報の数字は夏の日のようだ
「暑いのに」
「すみません」
ほっそりとした手首に残る赤い跡が長袖のワイシャツの下に隠れていく
縛りつけておくことはできなくても
この跡がある限り貴方は俺のモノだ
俺は笑って、いってきますのキスを落とした
#1日1のわヒロ

何の日 4月26日

よい風呂の日
本当に
ヒロさんがいてくれたなら
それだけで
どんな温泉なんかよりも効き目がある
嘘じゃないです
ヒロさんがいてくれるだけで
俺は元気になります
「って言ったよな？」
「…はい」
「確かにお前には効き目があったな」
「…すみません」
#1日1のわヒロ

何の日 4月25日

カレーラーメンの日
「どうした？」
「カレーかラーメンか選べなくて」
「じゃあ、これにしろよ」
「あ、これいいですね」
「一度に両方楽しめる」
「ああ、ヒロさんと一緒にお風呂に入ったら一度に両方、いや、もっと・・」
「野分、お前今日はもう帰って寝ろ」
#1日1のわヒロ