何の日 4月14日

オレンジデー
「すみません」
走ってくる白衣姿を真っ直ぐ見れずに鞄を持った腕を伸ばす
「ほら」
「助かりました」
「あ、これは差し入れだ」
オレンジジュースも渡すと出口に向かう
気づかれないと信じて
オレンジデー
それは二人の愛情を確かなものにする日
#1日1のわヒロ

何の日 4月13日

喫茶店の日
ページに影が落ちた
顔を上げると荒い息の野分がいた
「ごめんなさい。遅くなりました」
「ん」
店員が持ってきた水を一気に飲み干す姿に笑いがこみ上げてくる
「お前も何か頼めば？」
俺は読んでいた二冊目の本を鞄に入れると冷えたコーヒーを飲んだ
#1日1のわヒロ

何の日 4月12日

世界宇宙飛行の日
「パンダ星だってあるかもな」
二人で星空を見上げる
「行ってみたいな」
宇宙から見ると白黒模様な星を思うだけでワクワクする
「秋彦も行くか？」
「弘樹が行くなら行ってもいいかな」
その笑顔にドキドキしながら、また星空を見上げた
#1日1のわヒロ

何の日 4月11日

ガッツポーズの日
プールサイドでガッツポーズをしている弘樹はキラキラしている
あれは水飛沫のせいなんだろうか
秘密基地では泣いていたのに
泣いたり笑ったり怒ったり忙しいな
メダルより輝いているその笑顔に手を伸ばす
「よくできました」
#1日1のわヒロ (ミニマム)

何の日 4月10日

駅弁の日
「ヒロさんは駅弁食べたことありますか？」
「あ、なに？」
読んでいる本から顔も上げずに聞き返されて苦笑する
「だから駅弁ですよ」
「あー、やったことはねぇな」
「…ヒロさん」
「だからなに？」
「じゃあ今日が初めてということで」
「は？」
#1日1のわヒロ

何の日 4月9日

大仏の日
柱の穴をくぐればご利益がある
そんなことを信じてくぐった修学旅行を思い出していた
あれほど叶えたかった願いは思い出に変わった
「お前、なにしてんだよ？」
「くぐればご利益が、、ウッ」
「アホか！自分の身長考えろって」
今はこんなに笑える
#1日1のわヒロ

何の日 4月8日

参考書の日
「それは捨てません」
ヒロさんが不用品の方に置こうとしたのを取り返す
「もう必要ねぇだろ？」
「ダメです」
「なんでだよ」
「ヒロさんに初めて買ってもらったものですから」
赤くなった顔に微笑む
使いこんだ参考書は初恋も導いてくれた
#1日1のわヒロ

何の日4月7日

世界保健デー
「今年のテーマが決まりました」
「テーマ？」
「ヒロさん不足の脅威」
「は？」
「今動かなければ明日は手遅れに」
「何の話してんだ？」
「世界的に重要な健康についての課題を」
「重要でもなんでもねぇだろーが」
「俺にとっては深刻なんで」
#1日1のわヒロ

何の日 4月6日

北極の日
「ヒロさんと行きたいです」
「オーロラか？」
「オーロラはどうでもいいです」
「よくねーよ」
「寒いのがいいんです」
「俺は寒いのは嫌だ」
野分の腕が腰に回る
「俺は寒いのがいいです」
「別に北極まで行かなくても」
お前の熱は嫌いじゃねぇし
#1日1のわヒロ

何の日 4月5日

ヘアカットの日
「髪、切っちゃったんですね」
「変か？」
「可愛いです」
「バカなこと言ってんじゃねぇよ」
「本当のことです」
「じゃあ何だよ、その顔」
「誰か知らない人にヒロさんが弄られて、捨てられたかと思うと」
「だからお前の日本語おかしいって」
#1日1のわヒロ