何の日 2月14日

バレンタインデー
水泳と同じだ
ここは一息ににあの人波をかきわけていけばいいんだ
そして剣道で培った足捌きで目標へと接近して素早く一本取ればいい
できるはずだ
大きく息を吸い込み、甘い匂いと熱気にあふれる売り場へと今年も飛びこむ
自分に買うふりをして
#1日1のわヒロ

何の日 2月12日

ブラジャーの日
「寄せたり上げたり、あれは詐欺だ！草間もそう思うだろ？」
「わかりません」
「わからない？」
「はい。寄せているのも上げているのも見たことがないので」
思い浮かべてため息をつく
寄せなくて上げなくても
俺にとって天使よりも可愛い人を
#1日1のわヒロ

何の日 2月11日

万歳三唱の日
会場に万歳と拍手が響いた
新郎新婦の笑顔に想い人の顔を重ねる
式を挙げたいなんて言ったら怒られるな
真っ赤な顔が目に浮かぶ
お互いの心はもう分かっている
それでも
これからもずっと一緒にいる
その誓いを立てたい
俺は自分の左手をみつめた
#1日1のわヒロ

何の日 2月10日

ふとんの日
顔を見た途端に眉を顰められた
「てめー何してんだ」
「緊急避難」
俺は布団に潜りこむ
変わらない匂いに包まれる
そこはいつだって一番落ち着く場所
「誰にも会いたくない」
子どもに戻ったように呟く
お前以外、誰にも会いたくない
#1日1のわヒロ (ウサヒロ)

何の日 2月9日

服の日
「野分」
抱きしめてきた腕を叩く
「はい」
「前も言ったろ。同じ服3日も着てんじゃねぇよ」
「あ、すみません。でも、」
「なんだよ？」
「なんでわかるんですか？」
「…なんとなくだよ」
いつもより濃い野分の匂いに包みこまれる
「嬉しいです」
#1日1のわヒロ

何の日 2月8日

椿の日
病院では縁起が悪い花だというけれど、この花は色の少ない冬の日を色づけてくれる
「ん？椿か」
ヒロさんも俺の視線の先を見る
「ヒロさん、椿の花言葉知ってますか？」
「いや、知らない」
「俺の気持ちと同じです」
「？」
『私は常にあなたを愛します』
#1日1のわヒロ

何の日 2月7日

長野の日
「やっぱり温泉がいいよな。雪の中で露天風呂に入りてぇな」
温泉かあ
え！？てことは他の人の前でヒロさんが
「ヒロさん、温泉はやめましょう」
「じゃあスキーか？」
「あ、これ！これにしましょう」
『軽井沢ウェディング合同ブライダルバスツアー』
#1日1のわヒロ

何の日 2月6日

海苔の日
「弘樹のおにぎりは真っ黒だね」
「海苔をいっぱい巻いてもらってるからな」
「海苔が好きなの？」
「髪の毛を黒くしたいんだ」
そう言った弘樹の髪に手を伸ばす
「綺麗なのに」
赤くなっていく顔によく似合う茶色の髪を撫でながら呟いた
#1日1のわヒロ (うさヒロ)

何の日 2月4日

ぷよの日
「勝負だ野分！」
「本当になんでも言うこときいてもらいますよ」
「お前が勝ったらな」
ヒロさん、ごめんなさい
俺はヒロさんのためならどんなことでもする
「あっ！てめぇ、連鎖って、あ、あぁー！？」
「俺の勝ちですね」
「てめぇ最近生意気だぞ」
#1日1のわヒロ

何の日 2月3日

節分
「ただいまです。ヒロさん、恵方巻買ってきましたよ」
「それ昼も食った」
「え？！」
「いや、食うけど」
「どこで食べたんですか？」
「どこって、学食で」
「学食！よりによって学食で？」
「なんだよ悪ぃのかよ」
「そんなみんなの前で」
「？」
#１日１のわヒロ