青い ②

何か一つ古いものを、何か一つ借りたものを、何か一つ新しいものを、そして何か一つ青いものを
結婚式で身につけた花嫁は幸せになるという
「希少本だろ、秋彦に借りた本だろ、あいつの新刊だろ。なあ野分、青い本ってなんだ？」
「ヒロさん、本じゃなくていいんですよ」
#1日1のわヒロ

夏休みのヒロちゃんと秋彦

「秋彦、ちゃんと体操したか？」
「弘樹、こんなにたくさんの人と一緒に泳ぐの？」
「あ？夏休みなんだから混んでるに決まってるだろ」
「泳ぐ場所なんてないんじゃ」
「隙間をみつけんだよ」
「だったらウチのプールで泳ぐ？」
「お前んち、プールもあるのか？」
#1日1のわヒロ ミニマム

世界猫の日

「先輩、猫好きなんですか？」
「なんで？」
「意外でした」
「そうか？柔らかい茶色の毛並みとか、ちょっと人見知りする感じとかいいよな」
「…」
「手を出すと引っ掻いてきそうなタイプが特に」
「手出さないで下さいね」
「いや猫だって」
「ダメです」
#世界猫の日
#1日1のわヒロ

可愛いのは？

「黙れ！」
「でも」
「だいたいお前の方が俺よりずっと可愛いだろ」
「え？」
「あ、」
「俺のことそんな風に思ってたんですか？」
「絶対思ってねぇっ！いいい今のは忘れろ」
「でもやっぱりヒロさんの方が可愛いですよ」
「忘れろって言ってんだろーがっ！」
「痛ッ」
#1日1のわヒロ

台風が来ました

「休みになればいいのに」
「ほぅ。お前達はこんな雨くらいで講義を休むのか？」
「うわっ！スミマセン嘘です冗談です」
「台風っていっても直撃してねーだろ。ちゃんと授業はあるからな」
「上條先生は台風平気なんですね」
「上條は台風が好きだからなー」
「教授っ！」
#1日1のわヒロ

放たれる熱

蒸し暑い夜がきた
窓を開け放った寝室
外から風と音が入ってくる
灯りを落とした部屋に浮かぶ肢体
必死に声を抑える姿に煽られていく
意地悪したいわけじゃないのに
そうさせるヒロさんが悪い
そんなことを想いながら唇を這わせた
互いの汗が絡み合う
蒸し暑い夜が始まる
#1日1のわヒロ

食べたいのは・・

「あっ」
「ん？」
「牛乳アイス…」
「あ、悪ぃ。暑かったから」
「楽しみにしてたのに」
「ゴメン」
「よく見せて下さい」
「まだ半分くらい残ってるぞ。食うか？」
「いえ、見るだけで」
「見る？」
「早く舐めないと垂れてきますよ」
「ん…」
「ご馳走様です」
#1日1のわヒロ

捕らえられる

「美味い」
「よかったです」
「俺はお前に胃袋から捕まれてる気がする」
「胃袋だけなんですか？」
「だけ、じゃねぇ。胃袋からって言ってるだろーが」
初めて朝ごはんを作ってあげたあの日から何年たつんだろうか
俺はあの時から捕らえられている
心も身体も何もかも全て
#1日1のわヒロ

朝ですから

「野分」
「あ、おはようございます」
「おはよ、っつか、何か当たってる」
「朝ですからね」
「朝って、てめぇは昨夜も」
「だってヒロさんといるんですから。当然です」
「…アホか」
「でも、ヒロさんもほら」
「こ、これは朝だからだ！」
「今日休みでよかったです」
#1日1のわヒロ

寝癖

「ヒロさん、寝癖ついてます」
「ん？どこ？」
「ここ。つきやすいんですね」
「ああ…だからか」
「何がですか？」
「なんかよく触られる」
「…ちゃんと直してから行って下さいね」
「ガキじゃねぇって」
子どもじゃないから困るんです
梅雨時はまた一つ心配が増える
#1日1のわヒロ