frown
当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。
最初の日
あけましておめでとうございます。短いですが、エゴの二人のお正月です。
昨年は、書き始めたばかりの私に、評価、ブクマ、コメントなどを頂きまして本当に嬉しかったです。ありがとうございました。
今年もまた、エゴの二人を考えて過ごせる年になりますように。
2015.1.1
寒い。
ベッドの中で目を覚ますと無意識に手を横に伸ばしていて、苦笑いした。
こんなに寒いなら、隣にいるわけないのに。
しばらく天井を見上げてから、ゆっくりと身体を起こす。
時計の秒針の音だけがやけにうるさく聞こえてくる。
いつもよりずいぶんと静かだ。
少し不思議に思って窓際に行くと、カーテンを開けた。同時に眩しいくらいの陽射しが目に入ってきて、思わず顔を顰めた。
雪だ。
薄っすらと雪が積もっていた。
いつの間に降ったんだろうか。
陽射しを反射してキラキラと白く光っている。
この陽射しだと、きっともうすぐ溶けてしまうだろうけれど、なんとなく嬉しくなった。
野分、雪に気づいているかな。病院の中にいるんじゃあ、気づかないかもしれないな。
そんなことを思って外を見ていたら、ぶるっと身体が 震えてきて、慌てて着替えをした。
新しい年が始まった。
静まりかえったリビングの中に鏡餅があるだけの正月だけれど、なんとなく気持ちが昨日とは違う気がする。
顔を洗って、キッチンに入るとコーヒーを淹れた。
テレビのスイッチを入れると着物を着たタレントがいつもより華やかなセットの中で笑っている。
コーヒーを飲みながら、なんとなく見ていると携帯電話が鳴った。
画面の名前を見ると、母親からだった。そのまま放っておくと、また、携帯電話は静かになった。
俺は読みかけの本を取り出すとソファーに座ってページをめくった。
◇◇◇◇◇
「ただいまです。」
玄関から聞こえる声に意識が本から離れた。
「ヒロさん?」
手に年賀状の束を持った野分の視線がソファー周りの本の山と俺の顔をとらえる。それからテーブルの上のマグカップに移った。
「ヒロさん、まさか、起きてからコーヒーしか飲んでないわけじゃないですよね?もう、夕方ですよ。」
俺は野分の質問に答えずに、本を閉じると野分の正面に立った。
野分からは、微かに消毒薬の匂いが漂い、目の下には薄く隈ができている。
それなのに、俺のことばかり心配している野分に対して言いたいことはあったけれど、今、一番言いたいのはその言葉じゃなかった。
じっと野分の顔を見上げた。
「あけましておめでとう。野分。」
野分は、ちょっとだけ目を大きくさせた後、優しくその瞳をたわめた。
「あけましておめでとうございます。」
そう言ってそうっと抱きしめられた。
「ヒロさん。」
野分が俺を呼ぶ。
外の空気をコートに纏ったままの野分だけれど、抱きしめられて触れたところからは野分の気持ちいい体温がじんわりと伝わってくる。
新しい年の始まり。
例え一緒に年を越せなくても、俺が一番最初に会うのは、一番最初に話をするのは、いつだってお前であればいいと願いつつ、俺は野分の背中にゆっくりと両手を回しながら想う。
今年もまた、二人で、、。
俺の祈りは野分からの口づけの中に飲み込まれていき、俺もまた与えられるその熱を飲み込んでいった。
野分もまた同じことを願っていると信じながら。
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