frown
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草間野分の場合
これも「丸川書店夏祭り開催!」というシリーズでpixivに投稿していた中の一つ。
浴衣にまつわるお話です。
庶民とぼんぼんの買い物
2014.7.14 投稿
今日はヒロさんとデートです。
そう思っていました。さっきまでは。
「どうも。」
「こんにちは。俺、高橋美咲といいます。今日はお世話になります!」
え?
「あの、、ヒロさん、、これは?」
今、俺の目の前には宇佐見さんと男の子がいる。
「悪ぃな。今日はこいつらも一緒に買い物するんだよ。ほら、入るぞ。」
そう言ってヒロさんが和風の趣きの店に入ってしまったので、慌てて後について行った。
「いらっしゃいませ、上條のぼっちゃん。お久しぶりですね。」
「大勢で悪いな。」
「いえいえ、大歓迎ですよ。さっそく採寸しましょうかね?それとも先に生地を見ますか?」
初めて入った呉服屋に驚いている俺とは違って、ヒロさんは店主と思われる人と親しく話をしている。
やっぱりヒロさんっていいところのぼっちゃんなんだ。
わかってはいたけれど、改めて思う。
俺とは違う世界の人。
「秋彦、どうする?」
「そうだな。採寸をしてしまおう。美咲、脱がしてや「自分で脱ぐし!てか、ここでは脱がないし!!」
美咲くんは宇佐見さんを叱り飛ばすと採寸をしに奥に入っていった。
「秋彦、、お前、、。」
ヒロさんが二人のやりとりをじっと見ている。
ヒロさん。やっぱり、まだ、、。
「お前、すげー言われようだな。」
そう言うと、嬉しそうに楽しそうにヒロさんが笑った。
宇佐見先生も穏やかな顔をして生地を選んでいる。
ああ、違う。ヒロさんは宇佐見さんが美咲くんと幸せに暮らしているのを本当に喜んでいるんだ。
それなのに俺はいつまでも宇佐見さんと自分を比べてしまう。
「野分、どうした?」
ヒロさんが俺の顔を覗きこんでいた。
「なんでもありません。」
「、、お前のも選んでおけよ。」
そういうと並んだ生地を指差した。
「え?俺のって?」
「お前、浴衣持ってないだろ。せっかく来たんだから作っておけ。」
「いや、そんないいです。」
「お前もデカイんだから、ちゃんと仕立ててもらったほうがいいぞ。それに、浴衣、、に、似合うと思うし。」
え?!今なんて。ヒロさん。
最後のほうは消えいるような声だったけど。
「はい!わかりました。でも、」
「でも、なんだよ。」
「俺、初めてでわからないです。それに、ヒロさんに選んで欲しいです。」
「自分の好きなのにしたらいいじゃねえか。」
「いえ。ヒロさんが似合うと思うのでいいです。」
「、、じゃあ選んでやる。」
たくさんある生地の中から、ヒロさんは黒絣の市松模様を選んでくれた。
「これはどうだ?」
「はい!」
「お前、本当にいいのか?」
「はい!」
俺はヒロさんが選んでくれた生地を手にした。
「ヒロさんはどうするんですか?」
「俺も新しく作ろうかな。」
そう言うと生成りの麻絣の生地を選んだ。
ああ、きっとよく似合う。
採寸をした美咲くんが戻ってくると宇佐見先生は並んでいる生地を指差した。
「この生地全部でお願いし「一つでいいッ!!!」
「どうしてだ美咲?せっかくだから色々作っておいたほうが、」
「俺は一つあれば足りるんだよ!金は老後にとっておけ!」
この二人はずいぶんと楽しそうに買い物をする。
美咲くんは宇佐見さんとは違って普通の子なんだな。
宇佐見さんもヒロさんも買い物のときに値段も見ないで買うようなところがある。美咲くんは俺と同じようでうれしくなった。
そういえば
「ヒロさん、なんで浴衣を作ることになったんですか?」
「ああ、高橋が会社の夏祭りで着なくちゃならねーんだとよ。」
「へえー、大変ですね。彼はなんのお仕事しているんですか?」
「、、、出版社だ。」
ヒロさんが急に赤くなった。
どうしたんだろう?
「そうだ、弘樹、お前も来るか?夏祭り。」
宇佐見さんがヒロさんに聞いてきた。
「なんで俺が行くんだよ。関係ねーだろ。」
「いや、弘樹も草間君もいつも貴重なネタを提供してくれているんだから、相川だって喜んで招待すると思うぞ。」
「行かねーよ!!!」
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