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frown

当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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近くて遠い

大好きなあかねちゃんのお誕生日のお祝いに書きました。

片想い中のヒロさんです。

(秋弘です。苦手な方は注意してください)

2016.5.24




『弘樹だから見せるんだ』

二人だけの秘密
幼かったあの日かわした約束

あんなにも嬉しかった言葉が
今では俺をこんなにも苦しめている

◇◇◇

「へぇ、そうなのか」
グラスを揺すりながら相槌を打つ。
ぶつかりあった氷がカチリと澄んだ音を立てる。
「ああ、孝浩は…優しいやつなんだよ」
少し目を伏せてそう言うと秋彦は煙草の箱を手に取った
「吸いすぎじゃねぇの」
グラス越しにみつめる。
「お前は飲みすぎだ」
煙草を持つ長い指。
「つきあってやってんだから文句言うな」
「悪かった」
煙を吐きだす形の良い唇。
「悪いと思ってんのかよ」
「お前にしか言えないからな」
子どもの頃のように、トクベツだと笑う顔から視線を外して、グラスの中身を一気に呷る。
「おい、あんまり無茶な飲み方をするな」
クシャリと髪の毛をかきまわす冷たい手の感触。
「真っ赤だぞ」
「ほっとけ」
「ったく。これでも飲め」
車だからと、アルコールじゃないものを頼んでいた秋彦のグラスを手渡しされる。
「余計なお世話だっつーの」
「幼馴染からのありがたい忠告だと思って飲め」
「腐れ縁のな」
 笑いながら、秋彦の飲んでいたグラスに口をつける。それは、どんな酒よりも俺の身体を熱くしていく。
「弘樹はみつかったのか?」
「…なにがだよ」
「誰かを好きになれたのか」
なにげない風を装っている秋彦が本当に心配しているのも、俺は知っている。
秋彦は優しい
「俺のことはいいって」
好きなやつならいる
「誰かを好きになるのは悪くないぞ」
そんなこと、とっくに知っている
「報われなくてもか?」
だからこそ
「そばにずっといられるというのも悪くはない」
こんなにも苦しい
「辛くねぇのか?」
お前も辛いと言ったなら、俺は手を伸ばすことができるのだろうか。
俺が
俺の方が
ずっとずっとお前のことを
「辛くても」
「ん?」
「やめられないから恋なんじゃないのか」
「…そうだな」

そしてきっと分かっていても
諦め切れないから恋なんだ

何年たっても同じところに立ちつくす俺たちは
いつになったら進むことができるのかも分からずに今夜も二人で並んでいる。

 

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