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frown

当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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闇夜

のわヒロではありませんが、初めて書いたヒロさんだったので記念に?置いてあります。
セカコイの世界と絡んでいるため、ダメそうな方はお戻りください。

羽鳥とヒロさんです



綺麗な横顔だ。

茶色の髪はサラサラと柔らかそうに額に垂れていて、大きな垂れ目の少し憂いを含んだ瞳を隠すように揺れている。細身の身体、洋服の襟ぐりから見える鎖骨のラインが骨格の美しさを感じさせる。

笑ったらさぞかし、と思わせる美形。それなのに、まるで、難しい数学の問題にでも取り組んでいるかのような顔をして、ビールを飲んでいる。

店内には音楽も流れていて、客もあちこちで話しをしたり、笑ったりしていて、かなり騒がしいのに、なぜか彼の周りだけ、まるで無音のように感じる。

綺麗な 綺麗な人だ






俺は、別に女性が嫌いな訳ではない、と思う。
実際、彼女がいた時期もある。ただ、どうしても長続きはしなかった。
理由は、自分が一番よくわかっている。

俺には 好きな人がいる

まだ子どもの頃から、ずっと、同じ人に片思いを続けている。

それは決して叶わない想い。

その想いを持て余しては、時々「彼女」を作ってみた。
でも、そんなのは上手くいくはずもなく、もう、「彼女」を作ってみるのはやめようと思った。

------もし-------

相手が、俺の好きな人と同じ、「男」なら、俺は他の誰かを好きになれるのだろうか、、、、。


俺は幼馴染の「男」に長い、長い恋をしている。





こういう店に来たのは、初めてだった。
入った時から、なんとなく、チラチラ見られているような気がしながらも、平気なフリをして店内を見回した。すると、綺麗な顔なのに眉間にシワを寄せて一人でビールを飲んでいる男がいた。

見た目の良さではっきりと周りに存在感を示しているのに、この世のものではないようなあやうさが漂う不安定感。

なんだか今にも壊れてしまいそうだ。


「隣、いいですか?」
気がついたら声をかけていた。
「、、別にいーよ。」
俺もビールを頼み、なんとはなしにグラスを合わせる。
「学生、、ですか?」
「あぁ。お前もか?」
「そうです。実はこういうところに来たのは、初めてです。」
「、、お前、女にモテそうだけど?」
「実は女性がダメとかいうのではなく、好きな人が男なんです。」
「あぁ。」
「しかも、もう、20年近くの報われない片思いで。」
隣の席の男の肩がビクッと跳ね上がった。
誰にも話したことがないのに、初めて会ったこの人には、聞いてもらえる気がして続ける。
「好きな男は実家が近所の幼馴染で、友達で、ストレートっていう三重苦です。」
「、、三重苦ね。」
「それで、他の男の人を好きになれるかどうか試してみようと思ったんです。」
「はぁ〜。」
「やっぱり、こういうのダメですか?」
隣の男は前をジッと見たままグイッとビールを飲んだ。口の端が微かに震え、への字を描く。
「いや、その、なんつーか、俺に似すぎてて、聞いてて辛いわ。」
「え?」
隣の男は低い声で話す。
「俺も実家が近所の幼馴染で友達に片思いしている。」
「え、、、。」
「ただ、俺の好きな男には他に好きな男がいるんだ。しかも、そいつも片思いだよ。」
そう言って彼は切なく微笑んだ。

周りの話し声と音楽が急に聞こえなくなり、目の奥が熱くなった。

あぁ、この人も。
俺と同じ。
だから。


隣の席の男をみつめる。

この人の不安定な感じは、心と身体が限界だからだ。
もう自分の気持ちを心の中に留めることが長すぎて、身体中から溢れてきている。

どこかで出してこなければ

好きな人の前でこの気持ちが
あふれかえりそうで 怖い。
友達でなくなってしまうのが 怖い。

せめて「友達」でいたいから。

一番近くにいる権利は離したくない。
なにがあっても
誰よりも一番近くにいるのは俺だ。

そのために
一番近くにいるために
自分の気持ちに蓋をするから
時々
壊れそうになる


俺も、きっとこの人も、、、。

隣の男はあいかわらず前を見たまま。
俺は彼から目が離せなかった。
隣の男はフッと小さく笑うと俺を見る。
「酷い傷の舐め合いだな。」
「、、そう、ですね。それでも、、。」
「いいよ。行こうか。」

俺たちは席を立ち、店を出た。

多分彼を見ていたであろう何人かの客達が、溜息をつくのが聞こえてきた。


ホテルに向かって歩きながら話す。
「他の客に恨まれそうです。」
「なんで?」
「あなたのような綺麗な人を、俺なんかが連れ出してしまったから。」
「バ、バカか。男に綺麗とか言うな。それにお前の方が見られてたぞ。」
顔を真っ赤にして睨まれる。
あれ?意外にシャイな人だ。
「お前の好きなやつ、俺に似てるのか?」
「全然似てませんね。見た目もですが、あいつは天然で、食い意地がはってて、だらしなくて、人の気持ちがあまり分からない、そんなやつです。」
「なんだそれ?悪口にしか聞こえねーぞ。それが好きなやつの説明か?」
「そうですね。でも、そんなところも全部含めて好きなので。」
「、、そうだよな。」
「あなたの好きな人はどんな人ですか?」
「そうだな。頭はいい、顔もいい、金持ちで、そして、ひどく優しいやつだよ。ただ、人嫌いなんだ。」
「人嫌い、ですか。それはまた面倒な人ですね。」
「たしかにな。」

なんとなく二人で笑う。
こんな風に隠すことなく好きな人の話を他人にしたことすら、初めてだったことに気づく。
きっと、この人も。
せめて、こんな風に誰かといつも話せたら、俺たちも少しは楽になれるのか。

じゃあ、話をするだけでもいいのか?

そんなことを思いながら、二人で歩く夜の道は、街灯も少なくて人通りもない薄暗い細い道。まるで俺たちの長い苦しみを表しているようだ。

俺たちは、この先に光の差す道を見つけることができるのだろうか

いつまでこの暗い道はつづくんだろうか


隣を歩く男をそっと見ると、少しの灯りに浮かぶ色の白い顔からは、ゾッとするほどの色気が滲み出ていた。

抱きたい

はっきりと感じる自分に驚く。



ホテルの部屋で向きあってから気づく。

「名前、聞いてもいいですか?」
「あぁ。弘樹。お前は?」
「芳雪です。」


俺たちは二人とも分かっている。

これは一晩限りの関係

それでも

それでも

それでも

今だけは

あいつを忘れるために

夜が明けるまでは
二人で



END


----あとがき-----
pixiv初投稿エゴss
2014.5.19
セカコイから始まった文字カキカキ。セカコイ絡みで書いたこのssがエゴ、というかヒロさんの出てくるのでは初投稿になりました。
設定は、一応年齢も公式を踏まえて?計算してますが、捏造です。
あったらいいな、世界。
まさか、この頃は、こんなにエゴにハマるとは思わず、、、。
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