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当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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カルピスレモン

上條弘樹の高校時代を完全妄想、捏造。モブ男の視点で語ります。
ヒロさん好きが、病いになってきました。

2014.7.10  pixiv投稿



「早くしねーと次の授業プールだぞ。」
まだ、座ってる上條に声をかけた。
「ああ、今行く。」
更衣室に連れ立って行く。
「お前さー青白いけど、泳げんのか?」
コイツは高校から友達になったやつだけど、色が白いし、なんか華奢な感じだ。
「バカにすんなって。」
「腕とかも細いなー。」
「うるせー。」
更衣室についた。先に着替え終わって、待ってる間、背中を見てたら、なんか肩甲骨のとことか、スッゲー色っぽかった。
思わず、後ろから羽交い締めにした。
「んだよ!ヤメろ。」
「あれ?意外と筋肉ついてるな。上條。」
「当たり前だろーが。」
じゃれあいながら、プールサイドに行った。

水泳の授業で教師がこっちを見て言った。
「上條、お前中学で記録もってるだろ。見本に泳いでみせろ。」
「はい。」
俺の隣に座っていた上條は立ち上がり、無表情でプールに入ると綺麗なフォームで泳ぎだした。

泳ぎ終わると、また俺の隣に座った。
「お前、スゲーな。」
「習ってたからな。」
「高校では水泳部入らないのか?」
「ああ、部活は入らない。」
「もったいねーな。」
そう言って見た横顔は髪から水が滴っていて、キラキラ光っていた。

昼休みとか、暇さえあれば上條は本を読んでいる。

最近の俺は暇さえあれば上條を見ている。
ただ、ぼんやりとあいつの顔を見ている。
そうして色々なことに気がついた。
隣のクラスの女子が、昨日、上條を呼び出していた。
「なあ、昨日告られただろ?」
昼休みに話しかけると、ああ、と気のない返事が返ってきた。
「どーすんの?つきあうの?」
「なんで?」
「けっこーかわいかったじゃん。」
「興味ない。」

[newpage]
期末テストが終わった。
「上條〜、今日暇?」
「悪ぃ、友達と約束してるから。」
友達?
「誰よ?」
「他の学校の奴。じゃ行くわ。」
なんかスッゲー嬉しそうに行きやがった。ムカつく。
そういえば、昨日は水泳部の3年生がやけにしつこく勧誘に来てたけど、あいかわらずの仏頂面で断ってた。
あいつ、あんな嬉しそうに会いに行く友達がいたんだな。
仕方ないから一人で帰ることにした。プールサイドを通りかかったとき、水泳部の部室から声がした。
「先輩、上條は諦めましょうよ。あいつ入る気ないですよ。」
「だって俺、上條が好きなんだよー。」
「それは公私混同ですって。」
そーいや、この3年生って、その手の噂があった。
ふざけんなよ。俺の上條に。
え?
「俺の上條」?????
いやいやいや、違う違う、俺は友達としてあいつを心配しているだけであって、けっして変な気持ちはない。
テスト明けで、寝不足だな〜俺。
今日は早く帰って寝よう。うん、そうしよう。
[newpage]
くっそー。なんか昨晩はあまり眠れなかった。
あ、上條みっけ。
「おっはよー。」
後ろから挨拶がてら頭に手を置くと、ビクッとして振り向いた上條の目元が赤くなっていた。
「おい、どうした?」
「なんでもねー。」
「大丈夫か?」
「なんでもねーから。」
俺の手を振りほどいて行ってしまった。
なんだあれ?
授業中はいつも通りの上條だった。
朝のは気のせいか?
昼メシを食べながら聞いてみる。
「上條〜、テストどーだったよ?」
「、、あ?何?」
俺の話、聞いてないじゃんかよ。なんか、ボンヤリしてる。
「だから、テストどうだったって。」
「あ、いや、普通だった。」
いつも学年トップクラスなのに、絶対自慢しないし。
「今日は遊べる?」
「いや、ちょっと、、。」
「なに、また昨日の友達かよ?」
なんだろ、ムカつく。
「違う。水泳部の先輩に呼び出されてる。」
「は?何それ?お前あの先輩の噂知らねーの?」
「、、知ってる。」
「知ってて行くのかよ。」
「別にお前に関係ないだろ。」
「関係ある!」
俺、何を言ってんだろ。でも、こんな状態のこいつをあの先輩のとこには行かせたくない。
「行くな。」
「、、わかったよ。」

放課後、俺は先生に書類を出しに職員室に行っていた。教室に戻ると上條はもういない。
「上條知らねーか?」
「ああ、水泳部の3年生が連れて行ったよ。」
?!
なんで。
水泳部の部室に走る。部室の中には誰もいない。
プールサイドを見ると水着を着た上條が飛び込み台に立っていた。
ストップウォッチを持った3年生がホイッスルを吹くと上條はプールの中に飛び込んだ。
揃えた指先から水の中に上條の身体が吸い込まれていくのが、まるでスローモーションのように見えた。僅かに上がった水飛沫がキラキラと光った。

泳ぎ終わって、水から上がってきた上條にストップウオッチを持った3年生が話しかけている。話し終わってこちらを向いた上條と目が合った。
「悪い。もうすぐ終わるけど、、。」
「いいよ。待ってるから。」
その後も何本かタイムを計る上條を俺は黙って見ていた。
ほんっと、キレイに泳ぐな〜。
「じゃあ、お疲れ様でした。」
泳ぎ終わって帰ろうとした上條の肩に3年生の男が手をかけている。
------さわるな。
心の中の自分の声に驚いた。
「上條〜、早くしろよ〜。」
わざと大きな声をかけて近づくと腕をひいた。
「あ、すみませんが、俺はこれで。」
帰りの挨拶をする上條の背中を部室のほうへ押しやりながら、振り向きざまに3年生を睨みつけた。
[newpage]
「なにしてたんだよ、さっき。」
「ああ、タイム計らせてくれってしつこかったし、俺も、やけに泳ぎたい気分だったから。それだけだよ。」
「上條、水泳部入るの?」
「いや。」
「どっちにしても、あの先輩だけは、気をつけろよ。」
「なんだよ、それ。」
いや、笑ってる場合じゃねーぞ。
道端の自販機で二人ともジュースを買って、飲みながら歩いた。
「これから暇ならうち寄って行けよ。」
「いいけど。」


「お邪魔します。」
「あ、親は仕事で留守だから、気にすんな。」
ダンボールだらけの家の中はだいぶガランとしてきている。
二人で入った俺の部屋もダンボールが増えていた。
「何か、、模様替えとかか?」
「ああ、引越し。」
「引越し?」
「俺さ、一学期終わったら転校するんだ。」
「え?!」
「親の仕事で海外に行くことになってさ、ついていくことにしたから。」
「そう、、なんだ。」
「だからさ、上條が何か悩んでること、俺にだったら言えるんじゃねーかなって思ってさ。」
「どういうことだよ。」
「だって、もうすぐ会わなくなるやつだから言えることってあるかなーとか。」
「、、、、。」
「いや、無理にとは言わないけど。」
ペットボトルに口をつける。レモン味の炭酸が喉を刺激していく。
蓋をして上條を見ると、真っ赤な顔でカルピスソーダを飲んでいる。

「実はさ、俺、好きなヤツがいるんだ。」
まさか、あの上條の悩みが、恋?!
嘘だろ。
「へー、どんな子?」
「幼なじみでさ、小学生の頃からずっと好きなんだ。」
ああ、まるで少女漫画だ。
「でも、そいつと高校は違ってさ。そしたらそこで好きな人ができたって昨日言われたんだ。」
それで、今日元気なかったのか。
「そっ、そっか。まあ、それは辛いな。でもお前モテるし、他にきっといい女が」
「あ、その、えっと、その好きなヤツって男だから。」
え?
えええ?
「、、、上條、お前、男が好きなのか?」
「、、ああ。」
一気に喉がカラッカラになった。ペットボトルの蓋をあけて流し込む。
「あの、さ、上條。」
「ん?」
「その人のこと、あきらめたのか?」
「無理。一番仲のいい友達だからしょっちゅう会うしな。」
なんだよ。まだ好きなんだ。でも、
「じゃあさ、二番目に仲のいい友達って誰?」
「んー、お前、かな。こんな話を他人にしたの初めてだ。」
俺は、もう一口ジュースを飲みこんだ。
「じゃあさ上條、とりあえず俺とつきあわねえ?」
「は?」
上條はペットボトルを持ったまま、固まっている。
「俺、上條のこと、好きみたいな気がするし、夏休みまでしか時間ないけど、お前ともっと仲良くなりたいし。」
「お前、何言ってんの?」
「本気なんだけど。」
「とりあえずって、、。」
「あ、いや、期間限定っていうかさ。」
「お前、それでいいわけ?」
「うん。俺の日本での美しい思い出にする。」
「美しいって、、、お前、。」
「ごめん。困らせてるよな。」
「いや、。」
「じゃあさ、キスしてみて、嫌じゃなかったらってのはどう?」
顔を寄せてみる。
ああ、前から思ってたけど、キレイな顔してる。目はちょっと茶色っぽいし、ウルウルしてる。肌なんてつるっつるじゃん。ヤベー、元カノより、いいわ。
「目、閉じて。」
閉じた瞼を縁取る長い睫毛が微かに揺れている。ううっ、写メ撮りてぇ。
そうっと唇を重ねる。
や、柔けえー。
一旦離れてから聞いてみる。
「どうだった?やだった?」
「嫌、じゃない、けど。」
もう一度、今度は噛みつくように唇を奪った。舌を入れて、口内を貪る。
カルピスとレモンの味が混ざり合う。


俺は絶対にこの夏を忘れない。

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