frown
当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。
「雨の日は純愛日和」
- 2018/06/08 (Fri)
- エゴss |
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静かに降り始めた雨に洗われて花菖蒲の色が一段と濃さを増した。
しっとりとた空気に誘われるままに本を開く。
穏やかで優しい音色を奏でながら落ちる雫が池にいくつもの円を描いていく。
水面に映る世界は現実世界よりも深く美しい。
本の中に映る自分の心もまた同じなのかもしれない
部屋の片隅に座りこんで読み耽った幼い日のように、雨のカーテンに閉じこめられた心は忙しない日常から解き放たれ、進むことを忘れた時間の中へと羽ばたいていく。
甘く切ない世界へ浸っていよう。せめてこの雨が止むまでは。
仲睦まじくぶら下がるてるてる坊主達に見守られながら、ゆっくりとページをめくった。
雨の日は純愛日和。
素直な自分に出会える日。
◇◇◇◇
子ども向けの本を探しに立ち寄った書店で貼られていたポスターの前で足が止まる。
「ヒロさん?」
この横顔、背中のライン、腰から足にかけての艶かしさ。俺が見間違えるはずがない。これは絶対ヒロさんだ。
けれど、どうしてヒロさんがポスターの中にいるんだろう。大学とも関係なさそうだし。
隅から隅まで目を凝らす。水郷市観光協会とMARUKAWA、の宣伝のポスターらしいことがわかった。
丸川書店、といえば宇佐見さんの本がたくさん出ているところだ。また何か宇佐見さんに頼まれたんだろうか。
こんな風にヒロさんを人目にさらしてほしくない、と一度はっきりと言った方がいいのかもしれない。
それにしてもプロはやっぱりすごい。
ヒロさんの可愛らしさが溢れている写真を改めて眺める。
この優しい微笑みは誰に向けられているんだろう。
花菖蒲の咲き誇るこの場所はいったいどこなんだろう。
聞きたいことが山ほど湧き上がる。
落ち着け。まず今やらなければいけないことを考えるんだ。
「すみません」
通りかかった店の人に声をかける。
「このポスター、もらうことはできますか?」
「それはちょっと…」
「そうですか」
「ですが、こちらの純愛シリーズをお買い求めいただくと、ポストカードがついてきますよ」
「ありがとうございます!」
何やら可愛らしい表紙の本を手に俺はレジへと向かった。
しっとりとた空気に誘われるままに本を開く。
穏やかで優しい音色を奏でながら落ちる雫が池にいくつもの円を描いていく。
水面に映る世界は現実世界よりも深く美しい。
本の中に映る自分の心もまた同じなのかもしれない
部屋の片隅に座りこんで読み耽った幼い日のように、雨のカーテンに閉じこめられた心は忙しない日常から解き放たれ、進むことを忘れた時間の中へと羽ばたいていく。
甘く切ない世界へ浸っていよう。せめてこの雨が止むまでは。
仲睦まじくぶら下がるてるてる坊主達に見守られながら、ゆっくりとページをめくった。
雨の日は純愛日和。
素直な自分に出会える日。
◇◇◇◇
子ども向けの本を探しに立ち寄った書店で貼られていたポスターの前で足が止まる。
「ヒロさん?」
この横顔、背中のライン、腰から足にかけての艶かしさ。俺が見間違えるはずがない。これは絶対ヒロさんだ。
けれど、どうしてヒロさんがポスターの中にいるんだろう。大学とも関係なさそうだし。
隅から隅まで目を凝らす。水郷市観光協会とMARUKAWA、の宣伝のポスターらしいことがわかった。
丸川書店、といえば宇佐見さんの本がたくさん出ているところだ。また何か宇佐見さんに頼まれたんだろうか。
こんな風にヒロさんを人目にさらしてほしくない、と一度はっきりと言った方がいいのかもしれない。
それにしてもプロはやっぱりすごい。
ヒロさんの可愛らしさが溢れている写真を改めて眺める。
この優しい微笑みは誰に向けられているんだろう。
花菖蒲の咲き誇るこの場所はいったいどこなんだろう。
聞きたいことが山ほど湧き上がる。
落ち着け。まず今やらなければいけないことを考えるんだ。
「すみません」
通りかかった店の人に声をかける。
「このポスター、もらうことはできますか?」
「それはちょっと…」
「そうですか」
「ですが、こちらの純愛シリーズをお買い求めいただくと、ポストカードがついてきますよ」
「ありがとうございます!」
何やら可愛らしい表紙の本を手に俺はレジへと向かった。
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プロフィール
HN:
さるり
性別:
女性
自己紹介:
ヒロさん溺愛中