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frown

当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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今日の間は楽しくあるべし ②

ヒロさんお誕生日おめでとう  ~朝~


2018.11.22
それなのに。
「おはようございます」
 耳障りな音を撒き散らす目覚まし時計を乱暴に止めてリビングに出て行くと野分が立っていた。
「…はよ」
 ちゃんと起きたはずだが、もしかしてまだ夢を見ているんだろうかと思いながらその笑顔に目を細めた。
「朝ごはん出来てますよ」
「ああ」
 洗面所へ行き、水で顔を洗い、重かった目蓋をこじ開けて鏡を見る。
 どうやら夢ではない、らしい。
 いつもより暖かいリビングのテーブルには炊きたての飯と味噌汁と焼いた鮭と山盛りのブロッコリーが待ち構えていた。
「どうしたんだ?」
「師長さんにブロッコリーをたくさん貰ったんです」
「そうじゃなくて」
「今年はブロッコリー豊作なんですかね」
「だからそうじゃなくて」
「嫌いでしたか?」
「いや」
 まだぼんやりとしたまま向かい合わせに座って手を合わせる。
「いただきます」
 二人の声が重なり、野分が嬉しそうに笑った。
「お前、なんでいるの?」
「仕事が終わったので」
「もしかして、今日、休みなのか?」
「はい!」
「マジか」
「お弁当も作りましたよ」
「あー、すまん。昼は外で飯食う予定がある」
「じゃあ俺が食べます」
「悪い」
「気にしないで下さい」
 窓から射しこむ秋晴れの光がリビングの床を温めていく。
「洗濯日和ですね」
「お前、夜勤明けだろ。洗濯なんていいからちゃんと寝とけよ」
「はい」
「やっべ、もうこんな時間かよ」
 穏やかすぎる朝に流されていたようだ。弘樹は時計の示す思いがけない時間に驚いて立ち上がった。
 バタバタと大慌てで洗面所と寝室を行き来した弘樹が鞄を掴んで玄関に向かうと野分もニコニコしながらついてきた。
「いってきます」
「いってらっしゃい」
 ひょいと顎を持たれて唇が重ねられる。
 いつものいってらっしゃいのキスよりも長かった上にちゃっかり舌まで入れてきた野分の背中に弘樹の鞄がクリーンヒットする。
「痛いです」
「なげぇっての!」
「今日は特別な日ですから」
「アホか」
 玄関のドアを開ける。熱くなった頬を宥めるように冷たい風が吹きつけた。
「帰りは迎えに行きますね」
「あ?」
「いってらっしゃーい」
 エプロン姿でぶんぶんと大きく手を振る野分に追われるように弘樹はエレベーターに飛びこんだ。
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