frown
当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。
走り続けるその先に
- 2019/11/23 (Sat)
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夜勤明けに見上げた空は、未だ夜の色が残っていた。
眠っている街なみの中を、朝刊を配達するバイクと競争するように自転車をこぐ。
「一週間ぶりだ…」
早く会いたい、という想いに押されながらヒロさんの待つマンションの部屋の前にたどり着く。起こしてしまわないように慎重に鍵を開ける。
「ただいまです」
囁き声で帰宅を告げた俺の目に、見覚えのないスニーカーが飛びこんできた。
暗い玄関でじっとソレと向かい合う。
やや厚底の、色々な色が使われているスニーカーが玄関の隅に揃えられている。
こんな派手な色、ヒロさんが履いているのを俺は見たことがない。もちろん俺のでもない。
(じゃあ……誰の?)
心臓がドクドクと音を立てる。混乱して動けず固まっている俺の耳に、水音が聞こえてきた。
これは……もしかして……。いや、もしかしなくても……シャワーの音だ。
靴を脱ぎ、急いで浴室へと向かう。
ガラス戸の向こうで、誰かがシャワーを使っていた。
見たことのない靴。
明け方のシャワー。
俺がいない間に、いったい誰が俺たちの部屋に入り込んでいるんだ。そして、ヒロさんと、何をして。
浮かんでくるのは最悪の想像ばかりで、冷たくて熱い血が頭に昇ってくる。
俺は湯気がこもる浴室のドアを勢いよく開けた。
「うわっ!」
「ヒロさん?」
「ンだよ。そんなに慌てて」
洗い場で髪の毛を洗っていたヒロさんがびっくりした顔で振り向いた。
「ヒロさんこそ、何でこんな時間に」
「汗かいたから」
「汗……」
「思ったより楽しくてついやり過ぎた」
「やり過ぎって」
「つか野分。突っ立ってねぇで早くドア閉めろよ」
「はい」
ドアを閉めて浴室の中に入りこむ。
「なんで入ってくんだよ」
泡を流しているヒロさんをガバッと抱きしめた。
「おいっ!濡れるだろーがコラ」
「誰とですか」
「あ?」
「誰としたんですか」
「一人に決まってるだろ」
「一人で?」
「こんな朝早くに誰か誘えるわけねぇだろ。何言ってんだよ」
「じゃああの靴は誰の」
「靴?」
「玄関に置いてある」
「ランニングシューズのことか?」
「ランニング?」
「玄関の靴って俺のランニングシューズのことだろ」
「ヒロさんのなんですか?」
「お前のじゃなければ俺のだろ」
「でもヒロさん、ああいう派手な色履きませんよね」
「あーあれは……貰ったから」
口籠る顔を覗きこむ。
「貰った?」
「そうだよ」
靴は好みはもちろんだけど、サイズののこともあるから、そう簡単に贈り物になんてできないと思う。ということは、仲の良い人からということで。
「宇佐見さんですか?」
「今日、研究室に来て置いていったんだよ」
「なんで」
「最近走ってるって話したからだろ」
「ヒロさん、ランニング続けてたんですか?」
前に俺が運動不足を指摘したことをヒロさんが気にしていたのは知っていたけれど、最近はもうランニングはしていないと思っていた。
「夏は暑くてやめてたけど、涼しくなったから。悪ぃかよ」
「悪くないです。でもよく起きれましたね」
するりと腰回りを撫でる。ヒロさんはもともと太ってはいないし、どちらかといえば痩せ型だ。見た目を気にしてというよりも、一緒に走った俺が平気で、自分だけ息が上がったことがよっぽど悔しかったんだろうか。
「シューズを試してみたかったんだよ」
「どうでしたか?」
「走りやすかった」
「じゃあやり過ぎたっていうのは」
「調子に乗って走りすぎたんだよ。わかったならとにかく!離れろ!!出てけ!シャワーの続きをさせろ」
宇佐見さんのことだ。きっと走りやすい靴なんだろう。悔しいけれど。
「俺、マッサージしてあげます」
「は?服着たまま何を寝ぼけたこと言ってんだよアホ」
「大丈夫です」
濡れてしまった服を素早く脱ぎ捨てる。
「今日はヒロさんも休みですよね。俺もです」
「おい」
湯気を立てている背中に手をまわし、唇を吸い舌を絡める。抱きしめる腕に力をいれるとシャワーで濡れた肌がぴたりと隙間なく重なる。もっと、離れなくなるくらい、ぴったりと一つになってしまえばいいのに、と脚も絡めるように覆いかぶさり、キスを続けた。
「野分……ちょっと」
息継ぎをするように離れたヒロさんが俺の腕の中から逃れようともがいた。
「あ、俺もシャワー浴びた方が良かったですか?」
「そうじゃなくて、なんでここで」
「でも」
「誕生日に風呂で盛んなバカ」
赤い顔で睨みつけられて、盛るなと言うのは無理な話だけど、確かにこんな慌ただしいのは良くない。
「そうですね」
ひょいと抱き上げて浴室を出る。
「うおっ、なんでそうなる!降ろせ!」
「ヒロさん」
暴れて落ちそうになったヒロさんを抱き直し耳に口を寄せる。
「お誕生日おめでとうございます」
「ん」
「せっかくだから、俺もヒロさんの運動不足解消に参加したいです」
「参加?」
「一緒に運動しましょう」
「いや、お前は走る必要ねぇだろ」
「走るだけが運動じゃないですよ」
「へ?」
ベッドに降ろして、きょとんと見上げた瞳を見つめる。
「誕生日なので特別大サービスします」
「いや、いい!サービスしなくても、んッ」
喚くヒロさんの足を掴んで口づける。
どんなに高級な靴を貰ったとしても。足の先まで、全て俺のものだと言う代わりに。
眠っている街なみの中を、朝刊を配達するバイクと競争するように自転車をこぐ。
「一週間ぶりだ…」
早く会いたい、という想いに押されながらヒロさんの待つマンションの部屋の前にたどり着く。起こしてしまわないように慎重に鍵を開ける。
「ただいまです」
囁き声で帰宅を告げた俺の目に、見覚えのないスニーカーが飛びこんできた。
暗い玄関でじっとソレと向かい合う。
やや厚底の、色々な色が使われているスニーカーが玄関の隅に揃えられている。
こんな派手な色、ヒロさんが履いているのを俺は見たことがない。もちろん俺のでもない。
(じゃあ……誰の?)
心臓がドクドクと音を立てる。混乱して動けず固まっている俺の耳に、水音が聞こえてきた。
これは……もしかして……。いや、もしかしなくても……シャワーの音だ。
靴を脱ぎ、急いで浴室へと向かう。
ガラス戸の向こうで、誰かがシャワーを使っていた。
見たことのない靴。
明け方のシャワー。
俺がいない間に、いったい誰が俺たちの部屋に入り込んでいるんだ。そして、ヒロさんと、何をして。
浮かんでくるのは最悪の想像ばかりで、冷たくて熱い血が頭に昇ってくる。
俺は湯気がこもる浴室のドアを勢いよく開けた。
「うわっ!」
「ヒロさん?」
「ンだよ。そんなに慌てて」
洗い場で髪の毛を洗っていたヒロさんがびっくりした顔で振り向いた。
「ヒロさんこそ、何でこんな時間に」
「汗かいたから」
「汗……」
「思ったより楽しくてついやり過ぎた」
「やり過ぎって」
「つか野分。突っ立ってねぇで早くドア閉めろよ」
「はい」
ドアを閉めて浴室の中に入りこむ。
「なんで入ってくんだよ」
泡を流しているヒロさんをガバッと抱きしめた。
「おいっ!濡れるだろーがコラ」
「誰とですか」
「あ?」
「誰としたんですか」
「一人に決まってるだろ」
「一人で?」
「こんな朝早くに誰か誘えるわけねぇだろ。何言ってんだよ」
「じゃああの靴は誰の」
「靴?」
「玄関に置いてある」
「ランニングシューズのことか?」
「ランニング?」
「玄関の靴って俺のランニングシューズのことだろ」
「ヒロさんのなんですか?」
「お前のじゃなければ俺のだろ」
「でもヒロさん、ああいう派手な色履きませんよね」
「あーあれは……貰ったから」
口籠る顔を覗きこむ。
「貰った?」
「そうだよ」
靴は好みはもちろんだけど、サイズののこともあるから、そう簡単に贈り物になんてできないと思う。ということは、仲の良い人からということで。
「宇佐見さんですか?」
「今日、研究室に来て置いていったんだよ」
「なんで」
「最近走ってるって話したからだろ」
「ヒロさん、ランニング続けてたんですか?」
前に俺が運動不足を指摘したことをヒロさんが気にしていたのは知っていたけれど、最近はもうランニングはしていないと思っていた。
「夏は暑くてやめてたけど、涼しくなったから。悪ぃかよ」
「悪くないです。でもよく起きれましたね」
するりと腰回りを撫でる。ヒロさんはもともと太ってはいないし、どちらかといえば痩せ型だ。見た目を気にしてというよりも、一緒に走った俺が平気で、自分だけ息が上がったことがよっぽど悔しかったんだろうか。
「シューズを試してみたかったんだよ」
「どうでしたか?」
「走りやすかった」
「じゃあやり過ぎたっていうのは」
「調子に乗って走りすぎたんだよ。わかったならとにかく!離れろ!!出てけ!シャワーの続きをさせろ」
宇佐見さんのことだ。きっと走りやすい靴なんだろう。悔しいけれど。
「俺、マッサージしてあげます」
「は?服着たまま何を寝ぼけたこと言ってんだよアホ」
「大丈夫です」
濡れてしまった服を素早く脱ぎ捨てる。
「今日はヒロさんも休みですよね。俺もです」
「おい」
湯気を立てている背中に手をまわし、唇を吸い舌を絡める。抱きしめる腕に力をいれるとシャワーで濡れた肌がぴたりと隙間なく重なる。もっと、離れなくなるくらい、ぴったりと一つになってしまえばいいのに、と脚も絡めるように覆いかぶさり、キスを続けた。
「野分……ちょっと」
息継ぎをするように離れたヒロさんが俺の腕の中から逃れようともがいた。
「あ、俺もシャワー浴びた方が良かったですか?」
「そうじゃなくて、なんでここで」
「でも」
「誕生日に風呂で盛んなバカ」
赤い顔で睨みつけられて、盛るなと言うのは無理な話だけど、確かにこんな慌ただしいのは良くない。
「そうですね」
ひょいと抱き上げて浴室を出る。
「うおっ、なんでそうなる!降ろせ!」
「ヒロさん」
暴れて落ちそうになったヒロさんを抱き直し耳に口を寄せる。
「お誕生日おめでとうございます」
「ん」
「せっかくだから、俺もヒロさんの運動不足解消に参加したいです」
「参加?」
「一緒に運動しましょう」
「いや、お前は走る必要ねぇだろ」
「走るだけが運動じゃないですよ」
「へ?」
ベッドに降ろして、きょとんと見上げた瞳を見つめる。
「誕生日なので特別大サービスします」
「いや、いい!サービスしなくても、んッ」
喚くヒロさんの足を掴んで口づける。
どんなに高級な靴を貰ったとしても。足の先まで、全て俺のものだと言う代わりに。
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プロフィール
HN:
さるり
性別:
女性
自己紹介:
ヒロさん溺愛中
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