frown
当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。
走り続けるその先に 後日談
- 2019/11/23 (Sat)
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「ちょちょ、ちょっと待て」
津森先輩の指が俺の鼻先をグイッと押した。
「なんですか?」
「俺が聞かされているのは、お前と上條サンとの誕生日ラブラブ惚気話なのか」
「惚気てましたか?」
「完全にな。つかお前がショックなことがあったっていうから聞いてやってたのに、どこにもそんな場面出てこないのはナゼ?」
「もう話しましたよ」
「どこだよ」
なぜだか津森先輩には伝わらなかったようだ。
「ヒロさんを疑った自分がショックだったんです。情けないです」
「そこかよー。別に浮気されてなかったんだからどーでもよくねー?」
「よくないです。俺はまだまだダメなんです。もっとちゃんとした大人の男にならないと」
「聞くんじゃなかった……」
先輩が冷めたコーヒーをがぶりと飲み干した。
「でも本当に玄関開けてスニーカーを見た時はすごい驚いたんですよ」
「お前のことだからその靴の匂いを嗅いでたら上條さんのだって分かったんじゃねぇのか」
「確かに……そうですね。次からは疑う前に匂いで確認するようにします」
「やめろよお前。マジで病気だぞ、それ。そんなことより、あの人ランニングなんてしてんの?」
「そうなんです」
「意外」
「そもそも、俺が運動不足だなんて言ったせいなんですけど」
そう。元はと言えば俺のせいだ。
最終に乗るために二人で駅まで走った時、ひどく息を切らして苦しんでいたヒロさんに、俺がついうっかり運動不足だなんて言ったことをヒロさんは気にしていたらしい。
「まさかお前も一緒に走ってんの?」
「一度だけ一緒に走りましたけど、それっきりです」
「だよなー。お前に足りないのは運動じゃなくて休息だしな」
ヒロさんも同じことを言っていた。
****
「はぁ」
違う意味での運動を終えて、ぐったりとベッドに横たわっているヒロさんの背中に手を這わす。
「俺も誘ってくれたらよかったのに」
「なに……に」
「ランニングです」
「お前は別に……運動不足じゃねぇ。寝たほうがいいだろ」
「一人で走ってるなんて、危なくないですか?」
「気を……つけ、りゅ……」
むにゃむにゃと語尾が緩んだ、と思ったら寝息が聞こえてきた。
「本当に気をつけて下さいね」
乱れた髪をそっと手で梳いた。
*****
「俺はなんでもヒロさんと一緒にやりたいけれど、なかなかそうもいかないですね」
「四六時中べったりしてたらいいってもんじゃねぇだろ」
「そうですね」
「しかしランニングねぇ。今度あの人にランニングパンツでもプレゼントしちゃおっかな」
「ランニングパンツ?」
「そ。こーゆーの」
先輩がスマホの画面に出して見せてきたのは、足全体にピッタリとフィットするタイツのようなものだった。
「こんなのあるんですか」
「あの人、似合いそうだろ」
「勝手に想像しないで下さい!」
「履かせたくね?」
「それは」
ヒロさんのすんなりときれいな脚に履かせたい、そして、脱がせたい。けれどもそれは俺だけが考えていいことだ。
「スポーツ用品だし。走りやすくなるって言って贈っちゃおっかなー」
「絶対にやめて下さい。あ、先輩呼び出しかかってますよ」
「はいはい。お前も行くぞ」
「はい」
休憩を終えて歩き出す。
窓の外は秋の空に赤く色づいた葉が輝いていた。
やっぱり俺も一緒に走りたい。
ヒロさんを守るために。そして前を見て走り続けるヒロさんに追いていかれないようにするために。
次の誕生日までに少しでも近くに。
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プロフィール
HN:
さるり
性別:
女性
自己紹介:
ヒロさん溺愛中
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