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当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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運命の人

出会った時の井坂さんと朝比奈さん。

2014.8.7




僕は、生きていても、よかったのかな

 

目を開けると、知らない天井が見えた。
どこ?
起き上がろうとしたけれど、体が痛くて動けなかった。
ここは?
目をキョロキョロと動かした。
白い布団、白い壁、白いカーテン、消毒の匂い。
きっと、ここは、、
バタバタと足音が聞こえた。
「薫っ!!」
お母さん。
「薫、ゴメンね。ゴメンね。ゴメンね。」
お母さん、どうして泣いているの?
どうして僕はここにいるの?

 

「今日からは、ここに住むんだよ。」
病院から出て、家に帰ると思っていたら、着いたのは見たこともない家だった

どうして自分の家に帰らないんだろう

前に住んでいた家に比べると、随分と小さな家だった
門から車で入って来た時は、大きな庭もあった。それに比べると、ちょっとおかしな位小さな家を前に黙って立っていると、お父さんに呼ばれた

ここは、井坂さんという人のお屋敷の中にある家ということ

僕たちは、家族みんなで、これからこのお屋敷の仕事をするということ

僕には、お屋敷に住んでいる一つ年下の男の子のお世話をする仕事があるということ

そして、それは、
僕たちが死のうとしていたところを助けてもらったからだ、ということ

死のうとした

僕はお父さんとお母さんと一緒に
死ぬはずだった?

だから、自分の家もなくなったの?

僕は、生きていて、よかったの?


連れて行かれた家は、とても大きくて、立派だった
お屋敷って、こういう家を呼ぶんだ
不思議な笑顔で僕の顔を見つめてきた男の人が、頭を撫でてくれた。
「君が薫君だね。龍一郎のこと、よろしく頼むね」
なんだろう。
僕は、胸の奥の方が温かくなるような、不思議な気持ちになった
「はい。」
返事をすると、もう一度頭を撫でてくれた
次に女の人の前に連れて行かれた
「朝比奈薫といいます。」
名前を言ったら、その人は僕の顔の大きなバンソーコーをそっと触って、
「怪我は大丈夫?」
と聞いてくれた
「はい。」
返事をすると、その人は目尻を押さえて涙をふいているみたいだった

泣いているのかな?
どうして?
僕のせいかな?
大きなお屋敷に優しい大人、きっととてもいいところなんだろう。
でも、僕は、ここにいてもいいのかな?

生きていても、よかったのかな?


「龍一郎さま」
そこにいたのは、僕と同じ位の男の子
ああ、この子が
黒くて大きな眼で僕のことを見ている
「朝比奈薫といいます。よろしくお願いします。」
「ふーん。かをるって言うんだ。女みたいな名前だな」
そんなこと言うなら君の方がずっと
「龍一郎さま、よろしくお願いします。」
お母さんが頭を下げていた
僕も一緒に頭を下げた
「じゃあ、かをるはこっちに来いよ」
手を引かれて子ども部屋に連れて行かれた
「お前は今日から俺の遊び相手なんだろ?」
「はい」
「なあ、その怪我、痛くないのか?」
「はい」
「ふーん、、」
そうっと、バンソーコーを触ってきた。その手の感触に僕は思わずビクッと体が震えた。
「ゴメン、痛かった?」
「いえ、大丈夫です」
どうしたんだろう
胸が  ドキドキする


「かをる」
「はい」
龍一郎さまは、僕の名前を呼んだ後に、必ずジッと顔を見てくる
僕の顔、どうかしたかな
確かにまだバンソーコーはついている
でも、見ているのはそこじゃないみたいだ
「お前、なんか欲しいものとか、ないのか」
「ないです」
欲しいもの?
「じゃあ、行きたいとことかは?」
「ないです」
「ふーん、、」

欲しいもの
行きたいところ
僕は
何がしたいんだろうか
僕は
生きていてよかったんだろうか
ここにいてよかったんだろうか
僕は、、、、、
「かをる、、かをる!」
「、、はい」
「、、だいじょうぶか?」
「はい、なにも、」
僕の両腕を掴んでいる手が震えていた
「どうしたんですか?」
「おまえ、どっかに、いっちゃうかと思った、、びっくりさせんな」

こんなに強く僕の腕を掴んでくれる人がいた

まだ 僕は 生きていてもいいんだね


「かをる、今日から同じ学校だな」
「はい」
「なんかあったら   オレに言うんだぞ!」
「、、、はい」

僕の方が年上なのに

いつも僕を守ってくれる

 

「かをる、これ貸してやる」
手にした鉢植えを、僕に渡してきた
それは、『元気を出して』という花言葉を持っているとさっきお母さんたちが言っていた。

たしか、、アマドコロ。

「お前、いっつも弱ってるじゃん。オレがいない時は、これが近くにあれば、大丈夫だから。ゆーなればオレの身代わり?だから、大事にしろ。わかったな。」

僕を真っ直ぐにみつめてくる瞳
僕に一生懸命話しかけてくれる唇
僕に差し出された腕

僕は生きていてよかったんだ

ここにいて よかったんだ


僕は 君のために生きていく

「はい!」

ずっと、大事にします。

 


********
「朝比奈、お前なんか欲しいものある?」
「ありません。」
「じゃあさ、行きたいところは?」
「ありません。」
「なんだよ、つまんないやつだなー」

私の欲しいものは
私の行きたいところは

あなたの隣だけです。
昔も今も
そしてこれからも

 

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