【草間野分×上條弘樹】

「懐かしいな」
嬉しそうに食べる顔が輝いている
「お前は食わねーの？」
「後からゆっくり食べようと思って」
「ふーん」
甘そうな色に変わっていく唇をじっと見つめる
「…帰るぞ」
「え？でも」
「寒ぃんだよ」
「はい！」
りんご飴を手に歩き出した
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【マフラー】

肌寒さに目を覚ます
「野分…？」
誰もいないアパートの部屋
本の山の上に忘れられたマフラーだけが見えた
「バカだな」
今日はこんなに冷えるのに
手を伸ばしてマフラーを引き寄せる
「バカは俺か」
次に会える日を待てずに野分の温もりにそっと顔を埋めた
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【いい夫婦の日】

「いいか野分、勘違いするなよ」
「はい！」
「お前が誕生日にくれた物だから今日つけてきただけで」
「はい！」
「今日はいい夫婦の日だから、とか絶対にそういう意味じゃねーから」
「はい！」
「だから！こういうところで手を繋ぐんじゃねぇッ」
「はい」
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【上條弘樹】

「すーぐ手が出るし」
「可愛いです」
「なーんかいっつも怒ってるし」
「可愛いです」
「あ、噂をすれば。ヒロさん来たぞ」
「先輩、ヒロさんのことをヒロさんって呼ばないで下さい」
「別にいいっすよねえヒロさん」
「ダメですよねヒロさん」
「…帰る」
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

「みんながヒロさんを愛してる同盟」さんの企画

揃いのパジャマにマグカップ
そして指輪
二人が一緒に過ごすためにと贈った物が年々増えていく
物欲なんてないと思っていたけれどヒロさんに関して俺は貪欲だ
ただ買えないものもあるわけで
「一緒に過ごす時間が欲しいです」
この願いを叶えてくれる神さまがいるのなら、と祈るように呟いた
#エゴ1ｈ

【ポッキーの日】 +α

「どれがいいですか？」
普通のに細いの、イチゴ味まである
「今日は散々食ったからいい」
「誰とですか？！」
「学生や教授と」
「そんな俺だってまだなのに」
「は？」
押しこむように咥えさせられたポッキーはすぐになくなって
「んッ」
互いの舌を貪った
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負


after


「帰ってくるなり盛りやがって」
「すみません…r
「俺が大学でポッキーゲームなんかするわけねーだろ」
「すみません…」
「こんなことすんのはお前とだけだっつーの」
「え？」
「ほら早く飯に」
「あの、もう1回お願いしてもいいですか」
「は？」
「今度はイチゴ味でゆっくりと」
「しねーよ！」

【看病】

ひんやりとした手のひらが気持ちいい
「大丈夫か？」
覗きこんでくる瞳をぼんやりとみつめる
「なんか欲しいもんあるか？」
「ヒロさんが」
「アホ」
ムギュッと鼻をつままれてコホと咳がもれる
「…治ったらな」
「はい」
よい子の返事をして再び目を閉じた
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【温泉】

「いい湯だな」
湯けむりを秋の風が揺らす
「そろそろあがりませんか？」
「やだ」
せっかくの温泉なのに野分ときたらやけに落ち着きがない
「ゆっくりしよーぜ」
ふざけて覗きこんだ顔が紅葉より赤くなっている
「のぼせたのか？」
「ヒロさんのせいです」
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【朝チュン】

見慣れない天井に思わず飛び起きた
鈍い痛みに顔を顰める
隣に誰もいない布団はやけに寒々しい
「野分？」
狭い部屋に満ちる味噌汁の匂い
『バイトに行ってきます』
朝メシの横に置かれたメモを握って布団にもぐりこむ
残り香を求めて大きく息を吸いこんだ
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

【女装】

「似合うかどうかは関係ありません。この服を着ているヒロさんを見たいだけです」
「この変態がッ」
野分からピンクの服を奪い取る
「やっぱり恥ずかしいですか？」
「は？たかが女の服を着るぐらい恥ずかしくもなんともねぇ」
「じゃあさっそく」
「え？」
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負