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当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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「ヒロさん」

「ヒロさん」としか野分に呼ばせない理由とは、、。

2014.7.28   pixiv投稿




このヒロさんという呼び方に関しては、いろいろな方が書いていらっしゃると思います。あくまでも私の考えた理由です。


「俺には特別な呼び方がある。この世でたった一人にしか呼ばせねー名前だ。」
「え?何ですか、それ、、、」
「ヒロさん」


随分前に、野分が俺の名前の呼び方で悩んでいたとき、俺はそう言った。
野分が俺のことを秋彦のように、「弘樹」と呼ぼうとしたが、俺は絶対に許さなかった。そして、その理由として野分に言った言葉。

これは、もちろん本当のことだが、理由は、もう一つあった。

そして、このもう一つの理由だけは、絶対に野分には知られたくなかった。


大学生の頃、俺は秋彦への片想いがあまりにも長く辛くて、耐えられないところまできていた。そのストレスの捌け口として、何人もの、その場限りの男と寝ていた。

もう、名前も顔も忘れたような相手。
「上條弘樹」じゃない単なる「ヒロキ」という名前だけを使い、欲望を吐き出す日々が、確かにあった。
だから、そいつらと寝た記憶なんて、俺にとっては、ないに等しい。今、道端ですれ違っても、分からない位の曖昧な記憶。

たった一つの俺の身体に絡みついている記憶は、その時に、譫言のように熱く呼ばれていた名前。
そう、男たちが俺の名前を呼ぶ声だった。
「ヒロキ」
それは、吐息とともに、俺の身体を撫で回しながら、俺の中に入りながら、俺の奥に吐きだしながら、繰り返し繰り返し耳元で呼ばれた名前。
「ヒロキ」「ヒロキ」「ヒロキ」

名前を呼ばれたからと言って、その名前を呼んで、果てた男たちのことが、フラッシュバックするわけではない。

日常生活で、本名を呼ばれて困ることはない。

ただ、今はたった一人だけにしか許していない身体を重ねる行為のときに、この名前を呼ばれることは、絶対に嫌だった。

だから、野分が俺のことを「弘樹」と呼ぶことだけは、俺は絶対に、許さない。

これだけは、俺は何があっても野分には言わない。墓まで持って行く秘密。

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