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当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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上條教授の夏休み

やはり、ヒロさんは可愛いです。


2014.8.7  pixiv投稿


大学も夏休みに入った。
それでもほとんど毎日大学には通う。

あいかわらず野分とはすれ違いが多いので、お互いの勤務時間を伝えることだけはかかさないようにしていた。
その日は野分の勤務時間が昼までだったので、俺は午前中だけ大学に行くことにした。
久しぶりに野分とゆっくり会える。
その想いだけで、夏の朝の陽射しさえ苦にならなかった。
「おはようございます。」
そう言って研究室を開けたとたん、ムワッとした空気に襲われた。
「なんですか、この部屋?」先に来ていた宮城教授に聞く。
「おはよう上條〜。クーラー故障だと。」
「マジですか、、、。」
午前中とはいえ、もう軽く30度近くまで気温は上昇している。窓を開けてても、研究室の中は蒸し風呂のようだった。
自分の机に座り、PCを立ち上げると、さらに暑くなってきた。
「教授、これ、いつ直るんですか?」
「もう頼んでるって言ってたけどなあ。あっついな。なあ、アイスでも食わねえ?」
「いえ、けっこうです。」
「上條〜、買ってきて〜。頼むよ。」
「なんで、来た早々に買い出しにいかなならんのですか!」
「暑くて仕事できなーい。」
「じゃあ帰っていいですよ。」
「んだよー。最近冷たいなあ。」
「アイスコーヒーが冷蔵庫にありますから、それで我慢して下さい。」
「わかったよ。」
教授が冷蔵庫に向かい、やっと静かになった。
「お前も飲む?」
「いえ、自分でやりますから、」
そう言いながらも、さすがの暑さにワイシャツのボタンを一つ外して、首もとを寛げた。
シャツをつかんでパタパタと風を送りこむ。
「あ、忘れてた!」
アイスコーヒーを飲み終わった教授が自分の机に戻らず、こっちに来たと思ったら
「お〜は〜よ〜」
と言って後ろから抱きついてきた。
「教授、、忘れてたって、なんですか?」
「え?そりゃあ、朝のスキンシップだよぉ。」
そう言って首元にグリグリと頭を押しつけてきた。
「あの、、、暑いんですが」
「、、、、。」
「教授?暑いんで、離れて、、」
「お前、いい匂いする、、」
汗ばんでいるところに顔を押しつけて、そんなことを言われ、羞恥で頭に血がのぼった。
「な、何言ってんですかっ!!」
教授の腕と頭をむりやり引き剥がす。
「本当に、セクハラで訴えますよっ!!」
「、、、、、。」
「、、教授?」
ぼんやりと立っている教授を呼ぶと、我に返って俺を見た。
「どうか、しましたか?」
「いや、、なんでもない。」
そう言うと自分の机に向かった。
俺も自分の席に着く。
突然、唸るような音とともにエアコンから涼風が流れ始めた。
窓を閉め、室内が快適な環境になったところで、ようやく自分の仕事に取りかかった。
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「んーっ」
キーボードから手を離し、腕を伸ばして固まった身体を解す。時計をみると、もうすぐ昼だった。
座ったまま教授に声をかける。
「すみません。俺、今日はお先に帰ります。」
「ああ、いいよ。なあ、上條、ちょっと。」
「なんですか?」
席を立って、教授の前にいくと突然、俺の肩を掴んだ。驚く間も無く、そのまま、俺の首元に顔を埋めてきた。
「な、何してんですか?」
俺はグイグイと手で押し返した。
「いやー、ほら、源氏物語よ。」
「はあ?」
「薫の君っているだろ?」
「そりゃ知ってますよ。」
源氏物語に出てくる「薫の君」は生まれつき身体に、えもいわれぬ芳香を帯びている。
「それがどうしたんですか?」
「お前も、それかな〜って思ってな。」
そう言うと、また首元に顔を押しつけてきた。
「ちょ、ちょっと、やめて下さい。何バカなこと言ってるんですかっ!」
「いいだろ、匂いを嗅ぐくらい〜。」

ガチャ
研究室のドアが開く音がした。

もつれた態勢のまま、二人でドアの方を向く。

「忍、、、。」

ドアを開けたのは文学部の学部長の息子の高槻忍君。今はT大学法学部の学生で、宮城教授の、恋人、。

研究室に、真夏とは思えないほど、冷たい空気が流れた。

ガチャ
静かにドアが閉まり、忍君の姿は見えなくなった。

「忍っ!!!」

ものすごい勢いで追いかけて行った教授を見送るも、同情する気にはならない。
全く、いつもふざけすぎなんだよ。

俺は荷物をまとめると、研究室を出て、家に向かった。
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暑い、、、。
大学から家まで歩いただけなのに、昼間の太陽に容赦無く照らされて、汗だくになっていた。
「ただいま」
家に帰って玄関を開けると、野分の靴がある。
「おかえりなさい」
リビングからニコニコしながら出てきた野分の顔を見たら、なんだか、ますます熱くなった。
汗臭い、、かな?
教授に言われたこともあって、なんだか自分から匂いが出ている気がして、落ち着かない。
くっついてこようとした野分を押しのけると、ションボリした顔でみつめてきた。
「いや、これは、その、汗かいてるから、」
「ヒロさんは汗かいても汚くなんかないですよ」
そう言って野分は腰に手を回すと、頭に顔をつけてきた。
「いや、でも教授が、」
と、言いかけたら、
「宮城さん、、ですか?」
気のせいか、硬い声で聞き返された。
「ああ。」
「なにか言われたんですか?」
話そうと思って、よく考えたらなんだか、ものすごく変なことを言われた気がする。
あんなこと、野分に言えるか。恥ずかしい。。
「い、いや、なんでもない、、」
「ヒロさん、、なんて言われたんですか?」
ああ、まただ。宮城教授の話をすると、いつも野分の大きな黒い目は、さらに黒くなり、俺は、まるで、すいこまれそうな気持ちになる。
この目には嘘はつけない。
「なんか、俺から、匂いがするって、、」
その途端、野分が俺を押し倒した。
廊下のフローリングに背中を打ち、ひじで身体をなんとか支えた。
「痛っ、なんだよ。急に」
「ヒロさん、匂いって、どこのですか?」
「どこって、、」
「俺に言えないような、場所ですか?」
「んなことねーよ」
「じゃあ言って下さい」
俺を見下ろす野分の黒い目が、俺の目を見つめる。
「、、首の、、」
言い終わる前に俺の首筋に痛みが走った。
「っつ!!」
野分が、首筋に噛みついていた。
痛みに逃げようとした頭を左手でおさえられる。
「おいっ!痛いって、、野分っ、やめ」
やっと首から離れると、今度は噛んだ跡を舌で舐め始めた。
「なんだよ、おい、野分、野分、」
「ヒロさん、ヒロさん、ヒロさん、ヒロさん」
そう言いながら首筋から、鎖骨まで舌を這わせて舐めていく。
「ヒロさんは俺のものです。」
「別に、ちょっと匂いを嗅がれたくらいで、大袈裟な」
「ヒロさん」
野分が真正面から俺の顔を見つめてきた。
奥二重の中の真っ黒な瞳に俺の顔が映る。
「ヒロさんは俺のものです。例え、髪の毛一本でも、匂いであっても、誰にも渡したくありません。」
「お前、何、バカなことを」
野分は俺の両頬に手を当てて、優しく撫でると、眉を顰めて耳元で囁いた。
「本当はね、ヒロさん。俺、ヒロさんをどこかに閉じこめてしまって、誰からも見えないようにしたい位なんですよ。」
そう言うと両腕で俺の顔を抱きしめて、首元に顔を埋めた。
「それなのに、ヒロさんは平気で、こんなにいい匂いをあの人にまで、、」
シャツのボタンが荒々しく外されていく。汗ばんだ肌に野分の唇が這う。

久しぶりの野分の熱さが心地良くて、身体のすみずみが震えてくるのがわかった。
野分の熱い手が、指が、唇が、舌が、触れていったところから、俺の皮膚も神経も、鋭敏になり、さらなる刺激を求めて立ち上がりはじめる。
身体も、心も、野分と一つになりたがる。
「野分、、」
俺はこの世でたった一人の愛しい男の名前を呼び、その背中に腕を回した。
「野分、」
お前は俺を閉じこめたいなんて、バカなことを言うけれど、俺だって、
「野分、」
お前と、深く、深く、身体を繋げて、俺の身体の中にお前の熱さを感じながら、そのまま、二人だけでいれたならいいのに、そんなことを願っている。
でも、そんなことは言えない。だからひたすらに想いをこめて呼ぶ。
「野分、、」

 

「ヒロさん、なんかいつもより、もっと、いい匂いがする、、」
結局、昼食も食べずに、夕方になっていた。俺を後ろから抱きかかえていた野分が、肩を甘噛みしながら言う。
「なんだよ、それ、、」
「あんまりいい匂いさせないで下さい。俺、心配になります。」
「何バカなこと言ってんだよ。そんなの、、」
「なんですか?」
「なんでもないっ!」
「教えて下さい」
「うるさいっ!!」
お前と一緒にいるからに決まってるだろうが。
アホが。

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