frown
当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。
月光
9月8日は中秋の名月ですね。ヒロさんは月がよく似合います。
2014.9.8 pixiv 投稿
喉の渇きに目を覚ました。
ベッドから身体を起こそうとしたが、野分の腕が絡まっていて動けない。
ゆさゆさと野分の肩を揺らした。
「野分、、野分、、悪い。水飲みたい。」
掠れた声で言う。
半分くらい目を開けた野分は、俺に巻きつけていた腕を解いて目をこすった。
「なんですか?」
「水飲みたいんだけど。」
「あ、はい。今持ってきます。」
そう言ってキッチンに取りに行ってくれた。
俺はゆっくりと身体を動かして、上半身を起き上がらせた。
いつ寝たのか思い出せない。
何時なんだろう?
ベッドサイドに目をやると、時計の針は午前2時を示していた。
ゆうべは久しぶりに野分が帰ってきて、それから、、、。
俺は、、、意識を飛ばしたのか?
何も着ていない自分の身体からは微かにボディソープの香りがした。
野分、俺のことを浴室まで運んでいったのか?
シーツも替えてくれたようだ。
俺はさらさらとしたシーツの感触を脚で確かめた。
「ヒロさん、お水です。」
野分がペットボトルのミネラルウォーターを持ってきた。
「ありがと。」
俺は受け取るとキャップを開け、そのまま口をつけて飲んだ。急いだせいで少し口の端から喉へと水滴が垂れていく。
「喉、大丈夫ですか?ずいぶん掠れてますけど、。すみません。」
野分がベッドに入ってきながら謝った。
「ん?何がだ。」
俺は手を伸ばして、ベッドサイドにペットボトルを置いた。
「その声、俺のせい、、ですよね?」
その言葉に、自分の痴態を思い出して顔が赤くなるのがわかった。
声が枯れるくらいに、、、、声を出したってことかよ。
自分の枕を掴むと、野分の顔を叩いた。
「痛っ!」
「アホっ!」
もう一度叩こうと振り上げた手を野分に掴まれた。
「ヒロさんの声、すごく可愛かったですよ。」
野分はそう言うとそのまま俺をベッドに押し倒して、唇を重ねてきた。
もっと言ってやろうと思っていた罵詈雑言は、そのまま俺の中に飲み込まれていき、野分の熱い舌が絡んでくる感触に夢中になっていく。
「ヒロさん、、」
唇を離すと、野分は俺の顔をじっと見た。
寝室の明かりは消えているのに、野分の顔がよく見える。
真っ黒い大きな瞳で瞬きもせずに俺を見つめている。
そういえば、まだ深夜なのに、部屋の中がやけに明るい。
首だけで窓の方をみると、カーテンが開けっ放しになっていた。
「野分、、、カーテン閉めろよ。」
「どうしてですか?」
「どうしてって、外から見えたら、、」
「ここは見えないですよ。それに今日は、わざと開けてるんです。」
野分は俺の顔を指でなぞりながら言う。
「なんでだよ?」
「今日は、、、満月ですから。」
そう言って薄く笑った。
「月の明かりの下で、ヒロさんを見たかったんです。」
満月か。
二人で窓を見る。
窓から射し込む青白い光からは太陽の光のような熱は感じられない。それは、冷たくて、硬い光。
野分の黒髪も、なんだかいつもと違う色に光って見えた。
俺は思わず手を伸ばして、野分の耳元の髪の毛を触った。
「ヒロさん、そんなことしないで、、」
野分が俺の首に顔を埋めながら唸るように言った。
「悪い、、お前、髪の毛触られるの、嫌いだったか?」
俺は慌てて髪の毛から手を離した。
「違います。」
「じゃあ、なんだよ。」
野分は起き上がり、膝立ちの状態で俺を見下ろした。
「すごく、綺麗です。ヒロさん。いつも綺麗だけど、今日は一段と。」
そう言う野分は窓の外からの月の光が逆光となって、黒い影のようになっている。
「野分、、」
俺はベッドに仰向けになったまま、掠れた声で野分の名前を呼び、両手を差し出した。
「すみません、ヒロさんの顔見てたら、俺、、。また我慢できそうもない。」
野分は俺の手を握ると指に口づけをした。
月の光が野分を照らしている。黒い髪が艶めいて揺れ、奥二重の目には情欲の光がきらめいている。
「来いよ、野分。」
俺がそう言って両手を野分の頬から目尻にはわせて、そっと撫でると、野分は、黒い瞳を大きく見開いた。
「でも、、」
「何度も言わせんなよ。バカ。」
そう。多分、月のせいだ。
「ヒロさん、、。」
俺にむしゃぶりついてくる野分の頭を強く抱きしめながら、俺は窓越しの月を見ていた。
ベッドから身体を起こそうとしたが、野分の腕が絡まっていて動けない。
ゆさゆさと野分の肩を揺らした。
「野分、、野分、、悪い。水飲みたい。」
掠れた声で言う。
半分くらい目を開けた野分は、俺に巻きつけていた腕を解いて目をこすった。
「なんですか?」
「水飲みたいんだけど。」
「あ、はい。今持ってきます。」
そう言ってキッチンに取りに行ってくれた。
俺はゆっくりと身体を動かして、上半身を起き上がらせた。
いつ寝たのか思い出せない。
何時なんだろう?
ベッドサイドに目をやると、時計の針は午前2時を示していた。
ゆうべは久しぶりに野分が帰ってきて、それから、、、。
俺は、、、意識を飛ばしたのか?
何も着ていない自分の身体からは微かにボディソープの香りがした。
野分、俺のことを浴室まで運んでいったのか?
シーツも替えてくれたようだ。
俺はさらさらとしたシーツの感触を脚で確かめた。
「ヒロさん、お水です。」
野分がペットボトルのミネラルウォーターを持ってきた。
「ありがと。」
俺は受け取るとキャップを開け、そのまま口をつけて飲んだ。急いだせいで少し口の端から喉へと水滴が垂れていく。
「喉、大丈夫ですか?ずいぶん掠れてますけど、。すみません。」
野分がベッドに入ってきながら謝った。
「ん?何がだ。」
俺は手を伸ばして、ベッドサイドにペットボトルを置いた。
「その声、俺のせい、、ですよね?」
その言葉に、自分の痴態を思い出して顔が赤くなるのがわかった。
声が枯れるくらいに、、、、声を出したってことかよ。
自分の枕を掴むと、野分の顔を叩いた。
「痛っ!」
「アホっ!」
もう一度叩こうと振り上げた手を野分に掴まれた。
「ヒロさんの声、すごく可愛かったですよ。」
野分はそう言うとそのまま俺をベッドに押し倒して、唇を重ねてきた。
もっと言ってやろうと思っていた罵詈雑言は、そのまま俺の中に飲み込まれていき、野分の熱い舌が絡んでくる感触に夢中になっていく。
「ヒロさん、、」
唇を離すと、野分は俺の顔をじっと見た。
寝室の明かりは消えているのに、野分の顔がよく見える。
真っ黒い大きな瞳で瞬きもせずに俺を見つめている。
そういえば、まだ深夜なのに、部屋の中がやけに明るい。
首だけで窓の方をみると、カーテンが開けっ放しになっていた。
「野分、、、カーテン閉めろよ。」
「どうしてですか?」
「どうしてって、外から見えたら、、」
「ここは見えないですよ。それに今日は、わざと開けてるんです。」
野分は俺の顔を指でなぞりながら言う。
「なんでだよ?」
「今日は、、、満月ですから。」
そう言って薄く笑った。
「月の明かりの下で、ヒロさんを見たかったんです。」
満月か。
二人で窓を見る。
窓から射し込む青白い光からは太陽の光のような熱は感じられない。それは、冷たくて、硬い光。
野分の黒髪も、なんだかいつもと違う色に光って見えた。
俺は思わず手を伸ばして、野分の耳元の髪の毛を触った。
「ヒロさん、そんなことしないで、、」
野分が俺の首に顔を埋めながら唸るように言った。
「悪い、、お前、髪の毛触られるの、嫌いだったか?」
俺は慌てて髪の毛から手を離した。
「違います。」
「じゃあ、なんだよ。」
野分は起き上がり、膝立ちの状態で俺を見下ろした。
「すごく、綺麗です。ヒロさん。いつも綺麗だけど、今日は一段と。」
そう言う野分は窓の外からの月の光が逆光となって、黒い影のようになっている。
「野分、、」
俺はベッドに仰向けになったまま、掠れた声で野分の名前を呼び、両手を差し出した。
「すみません、ヒロさんの顔見てたら、俺、、。また我慢できそうもない。」
野分は俺の手を握ると指に口づけをした。
月の光が野分を照らしている。黒い髪が艶めいて揺れ、奥二重の目には情欲の光がきらめいている。
「来いよ、野分。」
俺がそう言って両手を野分の頬から目尻にはわせて、そっと撫でると、野分は、黒い瞳を大きく見開いた。
「でも、、」
「何度も言わせんなよ。バカ。」
そう。多分、月のせいだ。
「ヒロさん、、。」
俺にむしゃぶりついてくる野分の頭を強く抱きしめながら、俺は窓越しの月を見ていた。
青く白く光る満月を。
月の光には人の心を惑わす力がある。
野分の熱に貫かれながら、俺は月から目が離せなかった。
「野分、、」
背中が反り、フワッと身体が浮いた。
月の姿がさらに大きく見えた。
きっとこのまま月に引き寄せられていくんだ。
海の潮が月に引かれて満ちるかのように。
身体の細胞のひとつひとつが膨らんで打ち震えている。
俺の目から溢れた雫が頬を伝わっていく。
大きな波が、俺を高く押し上げた。
怖い。
「ヒロさん。」
野分の呼ぶ声がした。
俺は野分の背中にまわしていた手に力を入れて、しがみついた。
二人で暗闇の中に浮かんでいる。
月が青く白く光っている。
俺は愛しい男の名前を何度も何度も、くりかえし呼んだ。
月の光が消えるまで。
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プロフィール
HN:
さるり
性別:
女性
自己紹介:
ヒロさん溺愛中
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