frown
当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。
西瓜
CHUBBYさんの描いたのわヒロの絵から、イメージした、夏の日のひとときです。
「ヒロさん」
名前を呼ばれて、思わず箸を止める。
「なに?」
「ヒロさん、西瓜は好きですか?」
食卓で向かい合わせに座っている野分が、聞いてきた。
「西瓜?嫌いじゃないけど、、」
そう言うと、今日のメイン、豚肉の生姜焼きを口に運んだ。
美味い。
大学病院の小児科で研修医をしている野分は普段、あまり家に帰れないくらい、忙しい。でも、家にいるときは手際よく食事の支度をする。
しかも、美味い。
出会ったばかりの頃も、飯作ってもらってたなあ、と思い出しながら、付け合わせのトマトを噛んだ。
「よかった。今日、西瓜を買ってきたんです。後で花火見ながら、食べましょうね。」
「ん。」
茄子の入った味噌汁を飲みながら返事をする。
野分は、いつも優しい。
西瓜だって、俺が好きかどうかなんて、どうでもいいだろうに、自分の買ってきたものが、俺が好きなものだったら、野分は嬉しいらしい。
そう思ったら、なんだかちょっと恥ずかしくなった。
ご飯腕を持ち、白飯を食べていると、野分の視線を感じて顔を上げた。
俺のことを、ジッと見ている。
「どうかしたのか?」
「いえ、ただ、」
「ただ、なんだよ。」
「可愛いなあと思っただけです。
俺はもう少しで白飯をむせそうになった。
「な、何言ってんだよ。アホか。」
「いえ、バカなだけです。」
そう言ってニコニコと笑いかける野分から目を逸らすと、俺は残りの白飯を口の中にかきこんだ。
「花火、まだですか?」
二人で窓から出てベランダに座る。
「もうすぐ、だろ。」
「じゃあ、先に西瓜食べましょうか。」
「うん。」
そういや初物だな
そう思いながら手を伸ばした。
シャク、シャク、
ああ、やっぱり。不思議だ。西瓜を食べるとどうして夏だなぁと思うんだろう。
西瓜特有の果汁を味わいながら、夏の夜空を仰ぎ見る。
こうして、花火大会の日に野分と一緒に家にいるのは、奇跡に近い。
ぼんやりとそんなことを考えていたら、西瓜を持っている手を野分に掴まれていた。
「なに?」
「ヒロさん、西瓜の汁が垂れてますよ。」
そりゃそうだろう。西瓜ってもんはほとんど果汁みたいな果物だから、食べていれば、垂れてくる。
「食べ物を粗末にしちゃ、ダメです。」
そう言うと、野分は俺の手首をペロリと舐めた。
「な、何してんだ?!お前。」
俺の言葉を無視して、野分はそのまま舌を肘に向かって舐め上げてきた。
「甘い、、。」
ぼそっと呟くと、俺の顔を見た。
「ヒロさんは、甘いですね。」
こいつは、30過ぎの男に何を言ってんだ。
「、、、アホ。甘くねえよ。」
そう言った俺の顔から視線を外さずに、ジッと見つめている。
野分が俺を見つめるとき、いつも、こいつの真っ黒な瞳はもっと黒くなるような気がする。
魅入られたように、俺もその瞳を覗き込む。
「ヒロさん、、。」
少し掠れた声で俺の名前を呼ぶ。
そういえば、ゆっくり会えたのは二週間ぶりだった。
そう思ったときには、俺の西瓜はもう手から取り上げられて皿に置かれていて、果汁がついている指が野分の口の中にあった。指の先を吸われた後、指のまたに舌を這わせてきた。
「おい、野分、西瓜、、。」
俺の指を口から出すと、俺を抱きしめて耳元で囁いた。
「先にヒロさんを食べます。」
そのまま耳殻を噛むと舌を入れてきた。
「んっ、、」
思わず声が漏れると、クスッと笑ってさらに強く抱きしめ
「ヒロさんは可愛いです。」
と言った。
ドーンという音が遠くから聞こえてきた。
花火が上がっている。
遠くに小さく見えるはずの花火を音だけ感じながら、お互いの唇を貪った。
西瓜の味がする。
今年も夏がきた。
名前を呼ばれて、思わず箸を止める。
「なに?」
「ヒロさん、西瓜は好きですか?」
食卓で向かい合わせに座っている野分が、聞いてきた。
「西瓜?嫌いじゃないけど、、」
そう言うと、今日のメイン、豚肉の生姜焼きを口に運んだ。
美味い。
大学病院の小児科で研修医をしている野分は普段、あまり家に帰れないくらい、忙しい。でも、家にいるときは手際よく食事の支度をする。
しかも、美味い。
出会ったばかりの頃も、飯作ってもらってたなあ、と思い出しながら、付け合わせのトマトを噛んだ。
「よかった。今日、西瓜を買ってきたんです。後で花火見ながら、食べましょうね。」
「ん。」
茄子の入った味噌汁を飲みながら返事をする。
野分は、いつも優しい。
西瓜だって、俺が好きかどうかなんて、どうでもいいだろうに、自分の買ってきたものが、俺が好きなものだったら、野分は嬉しいらしい。
そう思ったら、なんだかちょっと恥ずかしくなった。
ご飯腕を持ち、白飯を食べていると、野分の視線を感じて顔を上げた。
俺のことを、ジッと見ている。
「どうかしたのか?」
「いえ、ただ、」
「ただ、なんだよ。」
「可愛いなあと思っただけです。
俺はもう少しで白飯をむせそうになった。
「な、何言ってんだよ。アホか。」
「いえ、バカなだけです。」
そう言ってニコニコと笑いかける野分から目を逸らすと、俺は残りの白飯を口の中にかきこんだ。
「花火、まだですか?」
二人で窓から出てベランダに座る。
「もうすぐ、だろ。」
「じゃあ、先に西瓜食べましょうか。」
「うん。」
そういや初物だな
そう思いながら手を伸ばした。
シャク、シャク、
ああ、やっぱり。不思議だ。西瓜を食べるとどうして夏だなぁと思うんだろう。
西瓜特有の果汁を味わいながら、夏の夜空を仰ぎ見る。
こうして、花火大会の日に野分と一緒に家にいるのは、奇跡に近い。
ぼんやりとそんなことを考えていたら、西瓜を持っている手を野分に掴まれていた。
「なに?」
「ヒロさん、西瓜の汁が垂れてますよ。」
そりゃそうだろう。西瓜ってもんはほとんど果汁みたいな果物だから、食べていれば、垂れてくる。
「食べ物を粗末にしちゃ、ダメです。」
そう言うと、野分は俺の手首をペロリと舐めた。
「な、何してんだ?!お前。」
俺の言葉を無視して、野分はそのまま舌を肘に向かって舐め上げてきた。
「甘い、、。」
ぼそっと呟くと、俺の顔を見た。
「ヒロさんは、甘いですね。」
こいつは、30過ぎの男に何を言ってんだ。
「、、、アホ。甘くねえよ。」
そう言った俺の顔から視線を外さずに、ジッと見つめている。
野分が俺を見つめるとき、いつも、こいつの真っ黒な瞳はもっと黒くなるような気がする。
魅入られたように、俺もその瞳を覗き込む。
「ヒロさん、、。」
少し掠れた声で俺の名前を呼ぶ。
そういえば、ゆっくり会えたのは二週間ぶりだった。
そう思ったときには、俺の西瓜はもう手から取り上げられて皿に置かれていて、果汁がついている指が野分の口の中にあった。指の先を吸われた後、指のまたに舌を這わせてきた。
「おい、野分、西瓜、、。」
俺の指を口から出すと、俺を抱きしめて耳元で囁いた。
「先にヒロさんを食べます。」
そのまま耳殻を噛むと舌を入れてきた。
「んっ、、」
思わず声が漏れると、クスッと笑ってさらに強く抱きしめ
「ヒロさんは可愛いです。」
と言った。
ドーンという音が遠くから聞こえてきた。
花火が上がっている。
遠くに小さく見えるはずの花火を音だけ感じながら、お互いの唇を貪った。
西瓜の味がする。
今年も夏がきた。
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プロフィール
HN:
さるり
性別:
女性
自己紹介:
ヒロさん溺愛中
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