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frown

当ブログ、「frown 」は二次創作テキストブログです。 純情エゴイストが好きすぎて、その想いをひたすら吐き出しております。 女性向け、同人・BL要素が含まれておりますので、閲覧の際には何卒ご注意ください。 原作者、版権元、など公式のものとは一切関係ありません。 ブログ内の文章の無断転載・引用はお断りします。

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願い

野分の想いは、ひょっとしたらこれくらいあるかも?です。
いつも素敵なのわヒロをくださるひねこさんへ
お誕生日おめでとうございます!!

2015.1.16



穏やかな陽射しに誘われるように二人で通りかかった公園。
「どうするんだよー。」
子ども達の声が聞こえて、何気なく見ると木の枝にボールが引っかかって途方に暮れている子ども達と目が合った。
その眼差しは、あきらかな期待をこめて野分を見ている。
ちょうどいいサイズのお人好しが通りかかったとバレてるな。
俺がそう思ったとき、野分は俺の顔を窺ってきた。
まるで飼い主に許可を求めるようなその瞳に思わず頷くと、野分は子ども達のもとへと走っていく。
すぐに子ども達の歓声が聞こえてきた。
ボールの救出に成功した後、子ども達に捕まった野分を俺はベンチに座って待つことにした。
長くなりそうだ。
俺は本を出して読みながらも、時々本から顔を上げると、子どもと戯れる野分の姿を目で追った。
楽しそうだ。
口元が緩みそうになるのを慌てて本で隠す。
まもなく息を切らして、戻ってきた野分は遊んでいた子どもたちに手を振りながらベンチに座った。
走り回ったせいなのか、野分が座っただけで、ふわりと俺の横が温かくなる。
「お前は本当に子どもが好きだよな。」
野分の方を見ないで俺は言う。
「そうですね。」
そう言う野分も、まだ走り回っている子どもたちを目で追っている
その声は優しい。
俺も、走り回る子どもの方を見ながら聞いてみる。
「欲しくねえの?」
「何がですか?」
「子ども。欲しくねえのか?」
横を見なくても野分が俺の方を見たのが分かる。
「誰のですか?」
「だーかーら、自分の子どもだよ!」
「俺の子ども、、、ですか?」
野分の声が、変わったのを感じながら俺は続ける
「そうだよ。お前の子どもだよ。もし子どもが欲しいんなら、俺はいつでもお前のために、」
身を引いてやるよ、そう言おうとした俺の言葉が口から出る前に野分の嬉しそうな声が重なった。
「えっ!本当ですか?ついに?」
「は?ついにってなんだよ?」
予想外の答えに思わず野分の方を向いてしまった
野分が俺の顔を期待に満ちた目でみつめていて、ドキンとする。
やっぱり野分は、、子どもが欲しかったのか?
誰か好きな女でも、できたのか?
俺は、潔く身を引くべきなのか?
目の奥がじんっと熱くなった。
「ヒロさん。」
言うな、、。
「ヒロさん、ついに産む気になったんですか?」
「へ?」
想像もしなかった言葉にマヌケな声を出したまま、俺は固まった。
野分の視線が俺の下腹部に注がれる。
「産む?誰が?」
「え、だから、ヒロさんが、、。」
しん、と沈黙が二人の間に落ちた
「野分、念のため確認するがお前は医者だよな?」
「はい!」
「なら、知ってるとは思うが、俺は男だから子どもは産めない。」
「そうなんですか?」
「当たり前だ。」
野分は俺の言葉に肩を落としてため息をつく。
「ヒロさんなら、できると思ったのになあ。」
「そんなに言うなら一応聞いてやる。なんでそう思うんだよ。」
「だって、俺、ヒロさんに、あんなことやこんなことを散々してて、もう身に覚えありすぎますし、だいたいヒロさんは天使みたいに可愛いんだから、天使が天使みたいな子どもを産んでもおかしくないって前から思ってて、、。」
どんな理屈だよ、っつーか、俺を一体なんだと思っているんだ、こいつ。
俺は頭が痛くなってきた。
「もういい、それ以上言うな野分。」
「え、でも、、。」
「変なことを聞いた俺が悪かった。」
俺はため息とともに、白旗を上げた。
野分がすっと俺に近づいて座り直した。
「俺、子どもは好きですけど、ヒロさんの方がもっとずっと誰よりも何よりも好きです。」
「あっそ。」
「もしもヒロさん科があるのなら、小児科よりそっちを選びたいくらいです。」
「そんなのがあってたまるか、アホ。」
本を閉じると俺は立ち上がった。
「行くか。」
「はい。」
立ち上がった野分の左手の指輪が陽射しを反射してキラリと光る。
そういえば、野分と初めて会ったのも公園だった。
俺だって幸せになりてぇよ
そう思っていた自分を思い出す。
自分の指にも光る指輪を見て、手を握りしめた。
あの頃の自分に教えてやりたい。
幸せになれると。
「ヒロさん。」
歩き始めた野分の方へ、俺も歩き出した。
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