花束

大きな手が花を掴む
あの手が器用で優しいことを俺は知っている
ばらばらだった花が野分の手にかかると大きな１つの花になる
魔法みたいだ
花に嫉妬しかけた俺に向かって野分がニコリと笑いかけた
ガラス越しに目があった俺は魔法にかかったように固まった
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

キス

遮光カーテンの中で、死んだように動かない姿はまるで眠れる森の姫だ
「少し痩せた…か？」
野分の顔をじっとのぞきこむ
「…起きんなよ」
緩く開いた唇にそうっとキスを落とす
「いってきます」
静かにドアを閉めながら、久しぶりに会えたことを1人で喜んだ
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

ジューンブライド

「準備できましたか？」
「できたけど」
「けど？」
「やめないか」
「え？」
「ほら、雨降ってきたし」
「俺は雨も好きです」
「雨もって」
「1番好きなのはヒロさんです。早くしないと俺たちの式が始まりますよ」
雨音の中、2人並んで歩く
あの日のように
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

運命

「どうしたんですか」
「今日のラッキーアイテムが確かこの辺に」
「また占いですか」
「信じてないのか？」
「教授は信じてるんですか？」
「まあな」
運命ってもんはいつだって唐突で否応なくまきこまれてしまうものだから
「あった！」
この本雪崩の様に
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

キス

「急に何してんだよ」
キスしてきた野分の頭をポカリと殴る
「なんだかヒロさん、疲れているみたいだったので」
「お前まで元気になるおまじないとか言うんじゃねぇだろうな」
「ヒロさん…」
「ん？」
「そのおまじない、誰にされたんですか？」
「ゔっ」
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

ホテル

「狭い…」
「だからダブルにしましょうって言ったじゃないですか」
「男2人でダブルになんか泊まれるかって」
「俺はヒロさんと一緒なら広くても狭くても幸せですけどね」
「おい、何して」
「大丈夫です。狭くてもちゃんと頑張りますから」
「頑張るな！」
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

愛妻弁当

「これ…もしかしてヒロさんが作ったんですか」
「嫌なら食わんでいい」
「食べます！」
「言っとくけどたいしたもん入ってねぇぞ」
「ありがとうございます」
「じゃあな」
「待って下さい」
「何？」
「デザートを先に」
キスをかすめとられて殴り返した
#セカロマ深夜の真剣文字書き60分一本勝負

三連休 夜の部

時間が間に合わなくて書けなかった部分追加！

2020.11.22

三連休

ヒロさんお誕生日おめでとう。急いで書いたらタイトル浮かばなかった……

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2020.11.22

台風の日

野分の誕生日のおはなし。
今年は忙しくて書けないかと思ってました。でもやっぱりお祝いしたい、と短いながらもなんとか書けて良かったです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　2020.9.30